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最近の絵画ってちょっと高すぎ?

 

いま、絵画の市場が急激に伸びています。
2017年のアート市場の売上高は、前年比12%増の約637億ドルになりました。
とはいえ、市場に参加する人が多くなったわけではありません。一つ一つの作品の価格が高くなっているのです。
なぜ、絵画の価格が上がっているのか?
それは、富裕層の間でアートへの投資がブームになりつつあるからです。

 

イギリスのコンサルティング会社ナイトフランクの調査によれば、2017年に最もリターンの高かった高級品投資はアート作品でした。そのリターン割合は21%にのぼります。
それだけ2017年のアート作品の価格上昇は急激だったのです。

といっても、過去10年間の指標で見ると、アート作品のリターン率は78%にすぎません。その10年の間、高級車は334%ものリターン率をあげていますから、常にアート作品が値上がりを続けていたわけではないのです。アート作品の価格上昇は近年に顕著なものです。
ですから、常にアートへの投資が最も効率が良いとはいえませんが、少なくともいまはアート市場に追い風が吹いています。
実際に、世界各地のオークションで次々と高額落札記録が更新されています。

まず、2017年11月に、ダ・ヴィンチ「救世主(サルバトール・ムンディ)」が、ニューヨークにて、約508億円で落札されました。それまでの記録は、ピカソの「アルジェの女たち(バージョンO)」で約215億円ですから、2倍以上の価格での更新になりました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバトール・ムンディ」

 

続けて2017年12月には、アジアでのオークション・レコードが出ました。中国の画家、斉白石(チー・バイシー)の書画「山水十二屏」が、北京にて約161億円で落札されました。それまでのアジア記録は、同じく斉白石の書画「「松柏高立図 篆書四言聯」で、約54億円でした。こちらは3倍近い価格での更新になりました。

斉白石「山水十二屏」

 

さらに2018年2月には、ヨーロッパ・レコードが更新されました。ピカソ「市松模様の服とベレー帽を着用した女性」が、ロンドンにて約73億円(5000万ポンド)で落札されたのです。それまでの記録は、2008年に落札されたモネの「睡蓮」(4600万ポンド)でした。アメリカの記録と比べると金額が低いように見えますが、ヨーロッパでは落札金額がそこまで高額になることは珍しいので話題になりました。

実は、絵画の高額落札の多くはニューヨークを舞台としています。アメリカは世界最大のアート市場で、2017年の売上高は266億ドル。これは全体の41%を占めています。
ちなみに、世界第2位のアート市場は中国です。その売上高は132億ドルで全体の21%にあたります。3位のイギリスも129億ドルで全体の20%ですから、アメリカと中国とイギリスの三カ国だけで、世界全体の売上の83%を占めているのです。アートの市場は、強国による寡占化が進んでいます。

 

ひるがえって、わが日本はどうでしょうか。
2017年は5月に、ZOZOTOWNで有名なスタートトゥデイの前澤友作社長が、バスキアの作品「無題」を約123億円で落札して話題になりました。しかし、これもニューヨークのオークションでの話であり、アメリカ市場での売上にカウントされます。サザビーズとクリスティーズの二大オークション会社は、東京では定期的なオークションすら開催していません。ニューヨーク、ロンドン、香港が彼らの主戦場です。

草間彌生のように世界的なアーティストは日本にもいますが、その草間ですらオークション・レコードは8億4500万円です。絵画に限らなければ、村上隆の彫刻「マイ・ロンサム・カウボーイ」が17億円で落札された記録もありますが、それでも中国のアーティストにはかないません。
母国の市場での応援がなければ、なかなか世界的な人気も上がりづらいのです。
現在、中国の現代美術家の作品が軒並み高額になっているのは、中国のアート市場の分厚さと、中国人コレクターの支援が基盤になっているからです。

 

と、この原稿を書いていたところ、嬉しいニュースが入りました。
2018年4月1日のサザビーズ香港の現代アートデイセールで、落札金額上位10作品のうち9作品が日本人アーティストのものだったそうです。ちなみにその多くは草間彌生の作品でした。
この6日間の香港オークションでは、合計で4億6650万ドルの売上があり、サザビーズのアジアでの売り上げ記録を更新したそうです。

全世界的なアート市場の盛り上がりは、いずれ日本にもやってくるでしょう。日本でのアート振興のために、翠波画廊でも何ができるかを考えていきたいと思います。

 

参考文献:アレン琴子「富裕層の「高級品投資」ワイン以上に注目されている高リターン投資とは?」

 

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