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パロディとアート
~ウォーホルのバナナがアレになった?

万有引力の法則や微積分法の発見など、自然科学の分野に多大な貢献をした科学者のニュートンは、自らの偉業について「私が遠くまで見通すことができたのは、巨人の肩の上に乗っていたからです」と、先人の業績を持ち上げています。
アートの世界でも先人の影響は大きく、美術史を学べばその流れが見えるようになります。
先人の影響はさまざまなかたちで現れるものですが、なかでも最もわかりやすいのがパロディや引用と呼ばれる表現手法です。
パロディとは、他者の作品を模倣しつつ、皮肉やユーモアなどを付加して新たな作品にする手法を意味します。
たとえば、キース・ヘリングの吠える犬の絵に対して、その犬を鎖でつないだバンクシーの作品などは面白いパロディです。

キース・ヘリング 《Barking Dog》

バンクシー 《Choose Your Weapon―Lemon》 翠波画廊にて販売中

 

マリリン・モンローのパロディ

ウォーホル《マリリン・モンロー 31》

アンディ・ウォーホルには、《キャンベルのスープ缶》や《銃を構えるエルヴィス・プレスリー》など、数多くの有名作品がありますが、最もよく知られているのは《マリリン・モンロー》のポートレイトでしょう。
アンディ・ウォーホルやマリリン・モンローの名前は知らなくても、この作品は見たことはあるという人がいるくらい有名な作品で、肖像画としては《モナ・リザ》に次ぐほどの知名度を獲得しています。

Dirty Funker『Let’s Get Dirty』
(バンクシー《ケイト・モス》)

このウォーホル《マリリン・モンロー》を、パロディ化したのがバンクシー《ケイト・モス》です。1950年代のセックスシンボルであったマリリン・モンローの代わりに、2000年代のスーパーモデル、ケイト・モスの写真を使って、ウォーホルと同じような手法でシルクスクリーン作品を作りました。
2004年に制作された作品は、2020年のクリスティーズ・オークションで約1000万円の落札価格となりました。
この作品はDJユニットであるDirty Funkerのシングルレコード『Let’s Get Dirty』のジャケットにも使用されています。
なお、バンクシーについては、2021年12月5日まで、東京・天王洲の寺田倉庫G1ビルにて「バンクシーって誰?」展が開催されています。世界各地を巡回した「ジ・アート・オブ・バンクシー」展の日本版で、見応えのある作品が数多く展示されています。

 

バナナのパロディ

The Velvet Underground & Nico
『The Velvet Underground & Nico』
(アンディ・ウォーホル)

大量消費財であるレコードのジャケットは、人目に触れる機会も多いためにパロディの対象にもなりがちです。
過去に発売されたレコードの有名ジャケットでトップ10に入る知名度を誇るのが、ウォーホルのデザインしたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムです。このウォーホルの「バナナ」はありとあらゆるパロディの対象になっています。

The Dead Milkmen『Smokin’ Banana Peels EP』
(ジョージ・ムーア)

写真をイラストにして、「ゆっくり剥いて見てごらん」とシール加工したウォーホルの「バナナ」に対し、剥いたバナナの写真で勝負したのが、アメリカのパンクバンド、ザ・デッド・ミルクメンです。パロディというより愛情にあふれたオマージュでしょうか。

 

オマージュといえば、バンド名からしてダンディ・ウォーホルズと、アンディ・ウォーホルをもじったアメリカのバンドは、「バナナ・ジャケット」だけでなく「ジッパージャケット」をも組み合わせた秀逸なデザインのアルバムをリリースしています。
このジッパー・バナナのイラストを描いたのは、アメリカのストリートアーティストのロン・イングリッシュでした。

The Rolling Stones『Sticky Fingers』
(アンディ・ウォーホル)

The Dandy Warhols『Welcome To the Monkeyhouse』
(ロン・イングリッシュ)

 

レコードジャケットにバナナを使えば、それだけでウォーホルのパロディと思われてしまうのですが、あえてバナナを使わず、そのデザインでウォーホルの「バナナ」を想起させるチャレンジングなパロディもあります。いずれも一目で元ネタがわかる秀逸な作品です。
日本人にしかわからない食材をあえて使うのも、日本のバンドとしての良い異化効果をもたらしています。

Mama Rosin『Brule Lentement』
(デザイナー不詳)

バンバンバザール『新宿駅で待ってた』
(デザイナー不詳)

ちくわテイスティング協会『1st Demo CD』
(アンディ・タカナミ)

Milcs『ミラクルスマイル』
(濱口翼)

 

マウリツィオ・カテラン《コメディアン》

また、2019年のアート・バーゼル・マイアミでは、イタリアのアーティストのマウリツィオ・カテランが、ダクトテープで壁にバナナを貼っただけの作品を出展しました。本当にただそれだけのコンセプトアートなのですが、2つが約1300万円、最後の1つは約1600万円で売れたそうです。

カルフールがFacebookで公開したパロディ

この作品は、展示中にアメリカ人アーティストのデイヴィッド・ダトゥナが、作者に断りなく勝手に壁から剥がして食べてしまったことでも話題になりました。その日のうちに新しいバナナが貼りつけられ、ことなきを得ましたが、アーティストのパロディ精神が作品を深化させた好事例です。 この作品もすぐさまスーパーマーケット「カルフール」の広告でパロディ化されました。

 

ポップカルチャーのパロディ

The Beatles『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
(ピーター・ブレイク)

アンディ・ウォーホルのバナナよりも有名なレコードジャケットに、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』があります。 哲学者カール・マルクスや、画家オーブリー・ビアズリーなど、メンバーが好きな偉人の写真を並べて作ったこのジャケットは、真似をしたくなる魅力にあふれていて、さまざまなパロディの対象になりました。

Simpsons『The Yellow Album』
(ビル・メリーフィールド)

テレビアニメのシンプソンズは、ビートルズに負けず劣らずのポップアイコンで、そのサウンドトラックである『イエロー・アルバム』は、アルバムタイトルもビートルズの『ホワイト・アルバム』のパロディになっています。

このシンプソンズのアルバムをさらにパロディ化したのが、現代アーティストのカウズの作品《カウズ・アルバム》です。
ぱっと見はシンプソンズのアルバムにそっくりですが、よく見るとSIMPSONSの文字がKAWSのKを用いたKIMPSONSになっていたり、シンプソンズのキャラクターの目がKAWSのキャラクターの特徴である×印になっていたり、まるで間違い探しをしているかのような錯覚にとらわれます。
この作品は、2019年にサザビーズ香港のオークションにて約1480万ドル(16億4700万円)で落札されて、カウズ作品のオークション落札最高額を記録しました。
ちなみに、この作品を出品したのは日本人ファッションデザイナーのNIGOでした。
カウズは日本人の間でも特に人気の高いアーティストとして知られていて、2021年10月11日まで、六本木ヒルズ森タワー52階の森アーツセンターギャラリーにて、大型展覧会「KAWS TOKYO FIRST」が開催されています。

KAWS《THE KAWS ALBUM》

 

 

参考文献
『レコジャケジャンキー!デラックス・エディション』音楽出版社
『レコジャケジャンキー!ニュー・エディション』音楽出版社

 

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