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映画『世界で一番ゴッホを描いた男』にみる真作と贋作と複製の違い
~その後の画家の姿とは?

ゴッホ《草地、背景に新しい教会とヤコブ教会》1882

行方不明になっていたゴッホの初期水彩画が、なんと日本で見つかりました。
見つかったのは、まだ20代のゴッホがオランダで画家を志した1882年頃のものです。
1903年に展示された記録がありモノクロ写真が残っていましたが、実物がどこにあるかは長い間わかっていませんでした。
絵はオランダのコレクター間を転々として、2020年に丸沼芸術の森館長に購入されました。
現在は埼玉近代美術館に貸与されているので、そこで見ることができます。
ゴッホの初期の絵画は非常に珍しく、よく知られているゴッホのタッチとは異なるので、一見の価値があります。

 

複製画を大量生産する村

DVD『世界で一番ゴッホを描いた男』TCエンタテインメント

今回はゴッホに関する映画『世界で一番ゴッホを描いた男』を紹介します。2016年に中国で制作されたドキュメンタリー映画です。
題材となっているのは中国南部深圳(シェンチェン)市にある大芬(ダーフェン)村。ここは世界最大の“油絵村”として知られています。
村では8000人の画工(職人)が油絵の「複製画」を年間100万点以上も製作していて、その年間売上は700億円を超えています。
「複製画」とは、有名画家の作品を人間の手で複製したものです。それを有名画家の作品だといってサインを入れると「贋作」になりますが、最初から複製だといって販売しているので違法ではありません。
複製でいいから安価に入手して自宅に飾りたいというニーズがあるので、職人が作った「複製画」もよく売れるのです。
大芬(ダーフェン)は、「複製画」の市場の6割を占める油絵村で、この村に行けば「複製画」のことをだいたい知ることができます。
映画は「複製画」の製作工房を営む趙小勇(チャオ・シャオヨン)にスポットを当てます。彼は絵の描き方も知らないままにこの村に来て、複製画の製作を始めて20年、いまはオランダの画商と契約して、ゴッホの複製画を年間何百点も描いています。

工房で大量生産される複製画

ゴッホ《星月夜》1889

工房で人を使って年間何百点もの油絵の複製画を製作しているチャオですが、その生活は裕福とはいえず、これまでにゴッホの原画の実物を見たことがありません。
取引先の画商から調子のいい言葉をもらったチャオは、一度オランダのアムステルダムに行きたいと願っているのですが、妻は「お金がない」と反対します。中国からオランダへの海外旅行は、一般庶民にとってはまだぜいたくなのです。
チャオは工房の主といっても、その実態は家内制手工業です。以前は他人を雇っていたこともありますが、現在はチャオと彼の妻、チャオの実弟と義弟の4人が主要な画工です。これは、事業を興して一家親戚を養っていた昔の日本の町工場のようです。
チャオは出稼ぎで大芬(ダーフェン)に来た人間で、本籍地はもっと田舎にあるので、娘はチャオの両親の家に住んで田舎の学校に通っています。家族が一緒に暮らせないのは寂しいことですが、生活のためには仕方ありません。

ゴッホの生まれたオランダへの旅

なんとか妻を説得したチャオは、工房の面々を引き連れてゴッホ美術館のあるアムステルダムに向かいます。オランダだけでなく、ゴッホの暮らしたフランスのアルルと、ゴッホの墓のあるオーヴェル・シュル・オワーズをめぐるツアーです。
アムステルダムで目にした現実はチャオにとって厳しいものでした。
まず、立派な画廊だと思っていた取引先は、観光客向けのお土産物屋でした。チャオの描いたゴッホの複製画は、絵ハガキやTシャツと一緒に売られていました。 さらにチャオが約8千円で卸していた複製画は、9倍の約7万円で売られていました。もう少し卸値をあげてほしいと交渉するチャオですが、うまくいくかどうかはわかりません。
そして、美術館で観た本物のゴッホ作品は、チャオの描いた「複製画」とは「比べものにならない」ほどのオーラをはなっています。
取引先の社長は「夜中にこっそり美術館に忍び込んで本物とすりかえても絶対に誰も気づかないよ」とチャオの複製画を褒めそやしますが、それが社交辞令であることはチャオ自身がいちばんよくわかっています。

 

絵を描くとは何か

チャオにはコンプレックスがありました。田舎生まれで貧しい育ちのチャオは、中学1年で学校を辞めて働きはじめました。
「自分は中卒ですらない」と酔っぱらったチャオはこぼします。だからこそ、子どもたちには大学進学してほしいと、一緒に暮らせないことを我慢しているのです。 その一方で、娘は「田舎の学校は先生も方言で何を言っているのかわからない」、「大学じゃなくて専門学校で英語かITを学びたい」と嘆きます。親子の間にすれ違いがあるのはどこの世界でも同じです。
一方でチャオには、裸一貫で工房を興し家族と親戚を養ってきたという自負があります。20年間ふるい続けてきた絵の技術は円熟し、ゴッホ本人とは比べられなくても、人々が欲しがるものだと感じています。
ヨーロッパ旅行から帰ってきたチャオは、尊敬する祖母の肖像画や故郷の街並みなどのオリジナル作品を描き始めます。そのタッチはゴッホ風ではありますが、複製画を製作していた頃よりも繊細で美しいものです。
チャオの挑戦に対し、仲間は「画工(職人)が画家(芸術家)になるのは難しい」と批評しますがチャオは気にしません。通りすがりの人に「絵なんて描かずに写真を撮ればいい」と冷やかされても笑って受け流します。
やりたいことをやれることがチャオにとっては一番の幸せなのでしょう。

チャオに限らず、ゴッホは多くの絵描きに敬愛されています。「現代の印象派」の異名で知られるギィ・デサップも、若い頃はアルルに移住するほどゴッホにはまっていました。
ゴッホの人気は現代でも非常に高く、日本でも毎年のように展覧会が開催されています。現在は2021年12月12日まで、上野の東京都美術館でも『ゴッホ展——響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が人気を集めています。

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