アートコラム

奥深き美術切手の世界

2020/07/13

郵便切手って、いま、いくらだかご存じですか?
消費税が10%になってから、封書で84円、葉書で63円となっています。
調べてみたところ、戦後すぐの1945年には、なんと封書で10銭(0.1円)、葉書で5銭(0.05円)だったそうです。
その後、急激なインフレで6年後の1951年には、それぞれ100倍の10円と5円になっています。
それから徐々に値上がりして1972年には20円と10円、1976年には50円と20円、
1981年から60円と40円になっていたものが、2020年現在は84円と63円になっていました。
ところで切手と言えば、さまざまなアートやデザインをお手軽な価格で楽しめるものとして、昔はよく収集の対象になったものです。
時代は変わりましたが、切手コレクターの情熱は変わらないようで、最近もさまざまな美術切手が発売されています。

 

日本にある美術品を集めました

日本郵便「美術の世界シリーズ 第1集」より84円切手

2020年3月19日に日本郵便株式会社が発売したのが、「青の世界」をテーマにした「美術の世界シリーズ 第1集」です。
日本にある美術品から青が美しい作品を集めたもので、84円切手10枚のシートが840円、63円切手10枚のシートが630円で販売されています。
2020年7月現在、まだ郵便局でも売っていましたし、郵便局のネットショップで購入することもできます。10枚が2シートで20枚の切手がありますが、84円と63円それぞれ10枚のうち7枚は同じ作品なので、全部で13点の美術品が収録されたことになります。
内訳は、翠波画廊でもおなじみの西洋名画が5点、浮世絵を含む日本画が6点、陶磁器・七宝が2点となっています。

日本郵便「美術の世界シリーズ 第1集」より63円切手

いずれも日本の美術館や博物館に所蔵されているので、気になった作品は現物を見に行くことができます。

 

伊万里焼に見られる職人技

両方のシートの上段左に位置するのは、東京国立博物館所蔵の伊万里焼「染付兎水葵図大皿」(そめつけうさぎみずあおいずおおざら)です。伊万里焼は、佐賀県伊万里市の特産物で、江戸時代初期から作られはじめた磁器です。
染付とは、白い磁器に青い酸化コバルトで絵を描き、焼成することで定着させる技法のことです。絵ではわかりづらいですが、味わい深い表情をしている二羽のウサギは、実物ではレリーフ状に盛り上がっています。

 

江戸琳派(りんぱ)の代表的作品

上段左から二番目に位置するのは、酒井抱一(さかいほういつ)(1761~1829)の「四季花鳥図巻」(東京国立博物館)です。酒井抱一は江戸時代後期に、姫路藩主の孫として江戸に生まれました。長男ではなかったために国元に戻ることが少なく、江戸で育った酒井抱一は芸術や文化に親しみ、長じてからは尾形光琳(おがたこうりん)に傾倒します。この作品にも、尾形光琳の「燕子花図屏風」(かきつばたずびょうぶ)の影響が色濃く見えます。

 

世界で通用する日本画家

上段左から三番目に位置するのは、すみだ北斎美術館所蔵の、葛飾北斎(1760~1849)「冨嶽三十六景 甲州石班沢」(ふがくさんじゅうろっけい こうしゅうかじかざわ)です。2020年に日本国パスポートに図案が採用されたことでも話題になった葛飾北斎は、海外で有名な日本人画家の一人です。「冨嶽三十六景」は1831年頃に出版された代表作ですが、当時の北斎はなんと70代です。老いてなお盛んで次々と代表作を生み出した北斎は、高齢者の希望の星でもあります。

 

美しい日本の洋画

左端に位置するのは、黒田清輝(1866~1924)の「湖畔」(東京国立博物館)です。東京美術学校時代の藤田嗣治の先生としても知られる黒田清輝は、フランスに留学して、印象派の影響を受けたラファエル・コランに学びます。「湖畔」は1897年の作品で、箱根の芦ノ湖の湖畔で、照子夫人をモデルに描いたものです。印象派のような外光と、古典的な描写が特徴的な、日本の洋画の傑作です。

雲海に浮かぶ青富士

左から二番目に位置するのは、東京国立博物館所蔵の、横山大観(1868~1958)「雲中富士」(うんちゅうふじ)です。横山大観は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の一期生で、岡倉天心に師事して日本画を学びました。1913年頃に描かれたこの作品は、日本の風景の象徴である富士山を、尾形光琳を意識した金地に濃い青で大胆にデフォルメしたもので、横山大観の革新性がよく表現されています。

横山大観作品一覧はこちら >>

 

日本の工芸品として隆盛した七宝焼

右端に位置しているのは、清水三年坂美術館所蔵の並河靖之(1845~1927)の「紫陽花図花瓶」(あじさいずかびん)です。
並河靖之は七宝焼の大家で、皇室関係の制作も行いました。七宝とは、金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)の七つを指す仏教用語ですが、七宝焼とは金、銀、銅、青銅、鉄などの金属を素地にした焼物を指します。近代の日本では七宝焼の工芸品が輸出品として流行し、技術が向上しました。

エコール・ド・パリの青

下段に位置している女性の肖像画は、マリー・ローランサン(1883~1956)の「ヴァランティーヌ・テシエの肖像」(ポーラ美術館)です。マリー・ローランサンは、エコール・ド・パリの時代に活躍した女性画家です。この作品は1933 年に、女優ヴァランティーヌ・テシエをモデルに描いたもので、パステルカラーや幻想的なポーズが、いかにもローランサンらしい佳作です。

マリー・ローランサン作品一覧はこちら >>

パステルで描かれた幻想的な青

フランスの画家オディロン・ルドン(1840~1916)は、84円と63円でそれぞれ別々の作品が収録されています。84円切手シートには「グラン・ブーケ(大きな花束)」(三菱一号館美術館)、63円切手シートのほうには「ペガサス、岩上の馬」(ひろしま美術館)が掲載されています。どちらも青色の美しいパステル画が幻想的で美しい作品です。ルドンはモネやルノワールと同世代ですが、印象派とは異なる道を歩みました。

水面の青と色とりどりの光の競演

クロード・モネ(1840~1926)は日本で大人気の印象派を代表するフランスの画家です。モネといえば睡蓮です。晩年には、パリ郊外のジヴェルニーに日本風の庭園を設け、池に浮かべた睡蓮の絵を数多く制作しました。両方の切手シートに「睡蓮」の絵が収録されていますが、84円切手シートのほうは国立西洋美術館所蔵の「睡蓮」で、63円切手シートのほうはアサヒビール大山崎山荘美術館所蔵の「睡蓮」です。

深さを感じさせる日本画の青

最後に紹介するのは、近代を代表する二人の日本画家です。84円切手シートのほうは竹内栖鳳の「アレ夕立に」(髙島屋史料館)で、63円切手シートのほうは上村松園の「待月」(足立美術館)が収録されています。両方ともに女性の美人画ですが、男性の竹内栖鳳が女性のかわいらしさを強調する一方で、女性の上村松園は強く気品ある姿を描いています。

上村松園作品一覧はこちら >>

 

 


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