草間彌生のコラボレーション商品
～ピンクと水玉の犬型携帯電話？

昨年も草間彌生は大人気でした。
たとえば、2021年の韓国の美術品オークション市場の落札総額は前年の3倍の約320億円にのぼり、そのうち23％を、日本を拠点とする李禹煥（リ・ウーファン）と草間彌生の作品が占めました。
落札総額の1位は韓国出身の李禹煥でしたが、単体での落札最高額は草間彌生の《南瓜》（1981）で、5億2800万円です。これは韓国の美術品取引における史上最高価格となりました。
韓国のみならず中国でも草間彌生は人気で、12月1日のクリスティーズ香港でのオークションでは、《南瓜》（2013）が手数料込み9億900万円で落札されて、草間彌生作品のオークションレコードを記録しました。
同オークションでは彫刻作品の《南瓜》（2017）も8億570万円で落札されて、草間彌生の彫刻作品のオークションレコードを更新しました。

草間彌生の高級シャンパン

「ヴーヴ・クリコラ・グランダム 2012
草間彌生ギフトボックス」

人気作家の草間彌生には、その人気にあやかろうと多くの企業がコラボレーションの話を持ちかけます。
近年では、2020年のヴーヴ・クリコとのコラボレーションが話題になりました。ヴーヴ・クリコはフランスの高級シャンパンのブランドです。
イギリス王室御用達としても知られるヴーヴ・クリコは18世紀から存在する老舗企業で、現在は、高級ブランドを束ねるLVMH（モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン）グループの一員です。
希少シャンパーニュを草間彌生デザインで売り出した「ヴーヴ・クリコラ・グランダム 2012 草間彌生ギフトボックス」は2012年の商品ですが、人気が高かったので2020年にも再発売されました。
完全予約制の商品でしたが、2022年現在でもセカンダリー市場で入手可能のようです。

草間彌生のケータイ

草間彌生《ドッツ・オブセッション、
水玉で幸福いっぱい》

草間彌生らしさが全開になったコラボレーションとして忘れられないのが、2009年に発表されたauのケータイです。
「iida」ブランドのArt Editionsモデルとして売り出された「ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい」、「私の犬のリンリン」、「宇宙へ行くときのハンドバッグ」の3種類のケータイは、そのユニークな形状で多くの人を驚かせました。

「ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい」は、折りたたみ式ケータイとケースがセットになったもので、1965年の作品《無限の鏡の部屋―男根の庭》をモチーフにしています。
表面にぶつぶつと男根がかたどられたケータイを鏡張りのケースにおさめることで、男根と水玉が無限に増殖するかのように見えるのです。

草間彌生
《私の犬のリンリン》

「私の犬のリンリン」は、水玉模様のピンクの犬のオブジェの背中に折りたたみ式ケータイが納められたもので、2004年の作品《ハイ、こんにちは（ハロー）！　ゴロー》をモチーフにしています。
ゴローは犬の名前でしょうか。ケータイ自体はシンプルなものですが、水玉の犬の置台がセットになることで一気に草間彌生っぽくなります。

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草間彌生
《宇宙へ行くときのハンドバッグ》

最後の「宇宙へ行くときのハンドバッグ」も、いかにも草間彌生らしい作品です。
1985年のシルクスクリーン作品《ハンドバッグ》がモチーフで、水玉模様も南瓜のような形状も草間彌生の作品そのままです。
写真右側にヒンジ部が見えるので、折りたたみ式ケータイであることがかろうじてわかります。

「ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい」と「私の犬のリンリン」は、ケースに草間彌生の直筆サインとエディションナンバー入りで1台100万円が、100台限定で販売されました。
「宇宙へ行くときのハンドバッグ」はケースと直筆サインがなく、エディションナンバーのみですが1台10万円、1000台限定で販売されました。
いずれもアート作品としての扱いなので、実物を見たことがある人は少ないでしょう。

草間彌生のグッズ

もっと手軽に草間彌生コラボレーション商品を手に入れたいとお考えの方には、東京・京都・大阪にあるMoMA Design Storeがおすすめです。
MoMA、つまりThe Museum of Modern Art（ニューヨーク近代美術館）は、MoMAコレクションとして20万点を超える作品を所蔵しています。
それらの作品をモチーフにしたグッズを販売しているのがMoMA Design Storeです。
MoMA Design Storeは美術館の建物内やニューヨークのSOHOにもありますが、日本では表参道の旗艦店をはじめ、京都と心斎橋、そして各地のロフト内にも展開しています。
日本のMoMA Design Storeでは、草間彌生や奈良美智、KAWS、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリングなどの作品が人気です。
2022年現在、トートバックが550円、手ぬぐいが1100円、Tシャツが3465円などといった価格で通信販売も行っているので、興味のある方はチェックしてください。
また、MoMAはユニクロとコラボレートしてファッションアイテムも開発しているので、ユニクロでも草間彌生シャツやバッグなどを入手することができます。

草間彌生の需要は底堅い

2022年3月で93歳になる草間彌生ですが、その人気は衰えを見せません。
2021年のオークション売上高は1億7400万ドルを超えて、10年前の10倍以上になりました。価格相場は20年前の8.5倍になっています。
また、アートオークション全体の平均落札率は70％未満ですが、草間彌生の作品は92％以上の落札率を誇ります。
さらに、通常のアーティストは自国での売上が顕著に高くなるものですが、草間彌生の売上高に占める国別の割合は、香港が37％、日本と韓国がともに18％、アメリカが13％と分かれています。全世界で需要が高いのです。
2014年のブラジルでの草間彌生の回顧展は70万人を集め、現在開催中のイスラエルでの回顧展は、前売りだけで10万枚のチケットをさばきました。
アートプライスによれば、2021年の草間彌生は、年間ベストセラーアーティストトップ10に入った初の女性作家となりました。

2000年以降の草間彌生のオークション売上高

出典：アートプライス

日本人作家の美術品オークション落札レコード（2022年2月現在）

1. 奈良美智《Knife Behind Back》　約27億円（2019年）存命作家最高価格
2. 奈良美智《Missing In Action》　約17億4000万円（2021年）
3. 村上隆《My Lonesome Cowboy》　約15億8000万円（2008年）彫刻作品最高価格
4. 奈良美智《Hot House Doll》　約14億円（2020年）
5. 白髪一雄《高尾》　約11億3000万円（2018年）
6. 藤田嗣治《La fête d’anniversaire》　約10億5000万円（2018年）
7. 奈良美智《Under The Hazy Sky》　約10億円（2021年）
8. 草間彌生《南瓜》　約9億900万円（2021年）
9. 草間彌生《無限の網 #4》約8億8100万円（2019年）
10. 草間彌生《無限の網　No. Red B》　約8億4500万円（2015年）
次点：草間彌生《無限の網　White No.28》　約8億2300万円（2014年）

参考記録：草間彌生《無限の網（MGPP）》、《無限の網（1959，c1979）》2点セットで約18億円（2021年）