アートコラム

奈良美智が描いたCDジャケット

2021/01/26

2019年、アートプライス社が調べた世界の現代アーティストの売上高で、奈良美智はバスキア、クーンズ、カウズに次ぐ4位でした。
過去の画家も含めた総合ランキングでも、奈良美智の順位は21位と、22位の草間彌生を抜いて日本人アーティストのトップに立っています。
10年前の2009年は208位でしたから、近年の人気の高まりには目を見張るものがあります。
10年前は村上隆のほうがランキング上位にいましたが、今や日本の現代アーティストといって名前があがるのは奈良美智のほうかもしれません。
1959年生まれの奈良美智と1962年生まれの村上隆は3歳違いの同世代ということもあり、さながら日本文学でいうところの村上春樹と村上龍のように常に比較されてきました(1949年生まれの村上春樹と1952年生まれの村上龍もちょうど3歳違いの同世代です)。
そんな奈良美智のアートを語るうえで欠かせないのが音楽です。
アートの制作現場にはBGMが欠かせないと語る奈良美智と、音楽とのかかわりについて調べてみました。

 

村上隆と奈良美智

Shonen Knife『HAPPY HOUR』
アメリカ盤(Universal)1998年

村上隆と奈良美智の二人が一般的な人気を得たのは1998年頃のことです。
その年、二人はともにカリフォルニア大学ロサンゼルス校に招かれて、非常勤の客員教授を務めました。
その前年の1997年、村上隆はプレイステーションのゲーム「攻殻機動隊」のサウンドトラックのアートワークを担当しました。
当時、アニメ映画『攻殻機動隊』のビデオは、アメリカのビルボード・チャートで週刊売上1位になるほどのグローバル・コンテンツでした。
翌1998年、奈良美智も、アメリカで活動する日本のガールズバンド「少年ナイフ」のファースト・フルアルバム『HAPPY HOUR』のアートワークを担当します。
このアルバムは日本語で歌われる日本盤と、英語で歌われるアメリカ盤とではボーカルの録音も収録曲も異なるので、もちろんジャケットの絵も別のものになっています。
少年ナイフもまた、世界的な有名バンドのニルヴァーナとともに全英ツアーを行うなどグローバルな知名度がありました。
後の村上隆と奈良美智のグローバルな人気を予言するかのようなスタートでした。

少年ナイフ『HAPPY HOUR』日本盤(MCAビクター)1998年

メジャーになる前の奈良美智

The Birdy Num Nums 『Mannaka Over The World』
(King Size Records)1991年

一般的に、奈良美智のレコード・ジャケット・デビューは1998年の少年ナイフだと思われていますが、実は、それよりもさらに7年前の1991年にドイツのインディーバンドのアルバムジャケットのアートワークを担当していました。
1987年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了した奈良美智は、1988年にドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学し、修了後もそのままドイツにアトリエを構えて制作活動を続けていました。
デュッセルドルフで学生をしていた頃の奈良美智が制作した、バーディー・ナム・ナムズのアルバム『真ん中Over The World』のジャケットがこちらです。
ドイツのバンドなのに、アルバムタイトルに「真ん中」という日本語が使われていることから、奈良美智とは単なる仕事ではない交際があったのかもしれません。
ジャケットを見ればすぐに奈良美智の仕事とわかりますが、後年の絵とは一味異なる作風が見られます。

 

音楽ファンとしての奈良美智

ドイツでの12年の生活を止めて2000年に帰国した奈良美智は、以降は日本での活動を始めます。
少年ナイフの次は、1977年に結成された日本のパンクロックバンドTHE STAR CLUBのアルバムジャケットを手掛けました。
1999年のメジャー17枚目のアルバム『PYROMANIAC』(放火魔)と、同年にリリースされたベストアルバム『KITTY MISSILES』(子猫のミサイル)の2枚です。
奈良美智は愛知県立芸術大学の学生だった19歳の頃に、名古屋のバンドTHE STAR CLUBの音楽と出会ってファンとなり、絵を描くときのBGMとして愛聴してきたそうです。
2006年のテレビ番組『情熱大陸』出演時にもTHE STAR CLUBのシャツを着るなど、共感を隠しません。奈良美智は、ここに紹介したアルバムジャケット以外にもTHE STAR CLUBの絵を作品として描いていて、かなりのファンであることがわかります。
THE STAR CLUBは2020年で結成43年になりますが、今も精力的に活動中で、オリジナルメンバーのボーカリストHIKAGEは奈良美智と同世代です。二人とも還暦を超えました。
奈良美智のディスクジャケットの仕事を見ると、少年ナイフやTHE STAR CLUBのようないわゆるインディーズバンドが多く目につきます。

 

THE STAR CLUB『PYROMANIAC』
(Speedstar)1999年

THE STAR CLUB『KITTY MISSILES』
(ビクターエンタテインメント)1999年

 

海外でも知名度の高い奈良美智

The Busy Signals『Pretend Hits』
(Sugar Free Records)2001年

少年ナイフやTHE STAR CLUBは日本のバンドですが、海外のバンドとの仕事もあります。
2001年にはThe Busy Signalsのセカンドアルバム『Pretend Hits』(ヒット集のふり)のジャケットのアートワークに起用されました。
このThe Busy Signalsもかなりマイナーなグループで、ミネソタ州セントポールのハワード・ハミルトンというシンガーソングライターが、友人と一緒に作った2人組で、ギターとシンセサイザーを使ったエレクトロポップソングを奏でています。
ハワード・ハミルトンはもともと一人で歌っていた人なので、The Busy Signalsとしての活動は2002年頃には休止されました。
ところが2005年にイリノイ州シカゴから、まったく違う5人組のパンクロックバンドがThe Busy Signalsという同じ名前でデビューしました。こちらのThe Busy Signalsも数年で解散しますが、ハワード・ハミルトンのグループよりは全国的な人気がありました。

 

世界的ロックバンドとのコラボ

R.E.M.『I’ll Take the Rain』(Wea International)2001年

奈良美智はインディーズバンドばかりを好んでアートワークしているのかといえば、その限りでもありません。
同じく2001年には、全世界的な人気ロックバンドであるR.E.M.のシングル『I’ll Take the Rain』(雨を受け入れる)のジャケットとミュージックビデオの絵を担当しました。
R.E.M.はロックの殿堂入りもしているアメリカのスタジアムバンドで、1980年から2011年までの31年間にわたって活動を続けました。
とはいえ、R.E.M.は商業的なポップバンドではなく、もともと文学的で政治的なメッセージの強いアート系のインディーズバンドでした。
アンディ・ウォーホルが結成にかかわったという60年代の伝説的なバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響も受けています。
R.E.M.はスタジアムを埋めるビッグバンドではあるけれども、インディーズ精神を強く持っていたバンドでした。
奈良美智が仕事を選んで受けている感がよく伝わってきます。

 

R.E.M. – I’ll Take The Rain (Official Music Video)

 

 

奈良美智お勧め作品

お問い合わせ >>

奈良美智作品一覧はこちら >>

 

 

 


アートをもっと身近に感じてみませんか?

知ってて得するアートコラム、新入荷作品情報、お買い得の特別価格作品情報など、お役立ち情報をお届けしています。

 

【配信コンテンツ】

 

1. アートコラム(月3~4回配信)

 読むだけで最新のアートシーンや絵画の知識が身につくコラム。
 アート初心者からコレクターの方まで必読です。

2. イベント情報

 画廊でのワークショップやセミナーのご案内をいち早くお知らせ!

3. 新入荷作品情報

 ホームページ公開前の作品をはじめ、入荷したばかりの注目作品をご紹介!

4. メルマガ会員限定-特別価格作品情報-

 メルマガ限定でのシークレットセールをご案内。
 気になる作品をお手頃で手にしていただけます。

5. 展示会のご案内

 翠波画廊で開催する展覧会や、全国百貨店での作家来日展情報などをお知らせいたします。

 

お得情報満載!
無料配信メルマガ! ぜひご登録ください ↓↓

 


 

 

翠波画廊代表・髙橋 2作目はアートで学ぶビジネス

未来のビジネスに必要なアートの力、気になりませんか?
画廊経営歴30年だからこそ語れる、アートで学ぶビジネスのヒントをご紹介。

 

アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」

 

単行本:251ページ
出版社:サンライズパブリッシング
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,500円(税別)
amazon等ネットでもご購入いただけます。

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

 

 


芸術はよくわからない、アートは難しいなどと思っていませんか?

絵画の価格はどうやって決まるのか、画商の視点でわかりやすく解説。
読後はアートを身近に感じて美術館に行ってみたくなるはずです。

 

「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画

 

単行本:302ページ
出版社:幻冬舎
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,400円(税別)
全国有名書店、amazonでもご購入いただけます

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

新聞、雑誌でも紹介されました!

「サンデー毎日」

本とのふとした出会いで幼いころの自分を思い出す
幼いころ、絵画鑑賞が趣味だった母に連れられて、よく展覧会を訪れた。・・・

「週刊文春」

銀座で二十六年、近代絵画の作品を扱ってきた画廊オーナーが、「値段」を切り口に絵画の見方を提案。作品の価格は画家の人生の起伏をも表す。

「月間アートコレクターズ」

世に美術市場を扱った書は数あるが、印象的なタイトルと装丁家として日本を代表する鈴木成一の手になる雰囲気ある装丁の本書は、翠波画廊を構える髙橋氏の書き下ろし。・・・

「北日本新聞」

セザンヌ、モネ、ルノワールやゴッホ、ピカソ、シャガールら近代美術の巨匠たちの絵の値段について考えたことはあるだろうか。・・・

 

 

絵画購入をご検討でしたら、 翠波画廊にご相談ください。

~ 私たちにできること ~

1. 絵画購入のご相談

 

絵画購入について、ご質問やご不安なことはお気軽に翠波画廊にご相談ください。

 

ご購入の際には「購入に安心の3つの特典」をご用意しております。
30日以内の返品保証があるので、初めての方も安心。作品はすべて額装でお届けし、配送時の保険・送料は私たちが負担させていただきます。
購入後のアフタケア―のご相談も承っております。

 

お支払いは、クレジットカード・お振込み・代引きなどからお選びいただけ、
さらには10回分割無金利のサービスもございます。

 

2. お部屋やご予算に合わせた絵画のご提案

 

「この部屋のこの場所にあう絵を探している」そんなご相談も承ります。
サイズやお部屋の雰囲気、ご予算のご希望などお知らせください。
1,500点以上の豊富な在庫作品から、あなたのお部屋にぴったりの1枚をご提案させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

3. 絵画を使った節税対策

 

2015年度から美術品に関する税制が変わり、取得価額が100万円未満の美術品が償却資産に出来るようになりました。
経費での絵画購入をご検討の場合は、まずは翠波画廊にご相談ください。
購入後の流れ、売却なども視野に入れた具体的な内容をアドバイスします。

 

お電話、メールでもお気軽にお問い合わせください。

TEL:03-3561-1152(平日土/10:00~18:00)

メール:info@suiha.co.jp

 

コラム一覧に戻る