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画家を歌う音楽家、ジョナサン・リッチマン
~ピカソからゴッホ、ダリ、フェルメールまで

「アート」という英語を直訳すると「芸術」であり、「アーティスト」は「芸術家」です。
「芸術」という言葉は、明治時代に欧米から入ってきたアートという概念を翻訳するために生み出されたもので、それ以前の日本にはアートも芸術もありませんでした。
そもそも欧米におけるアートとは、技術や才能といった意味があり、もともとは論理学や幾何学や天文学などの学問まで含むものでした。
現在は実用性から切り離されて美的価値を持つものをアートと呼んでいますが、それでも日本語でアーティストといえば、画家にとどまらず小説家や音楽家や舞踏家などさまざまな人を含みます。
今回は、音楽家(アーティスト)が歌う画家(アーティスト)をご紹介します。

ピカソはプレイボーイ?

現在、世界中のオークションで最も多くの売上をあげている画家といえばパブロ・ピカソです。1973年に亡くなってから50年近くが経ちますが、いまだにその人気は衰えません。
ピカソが亡くなる直前の1972年に、そのものずばりの「パブロ・ピカソ」という曲を書いて録音したアーティストがいます。
彼の名前はジョナサン・リッチマン。1951年生まれで、現在70歳の現役シンガーソングライターです。当時はモダン・ラヴァーズ(現代の恋人たち)というバンドのリーダーでした。
楽曲「パブロ・ピカソ」の歌は次のように始まります。
「ある種の人々は女の子をナンパしようとして、クソ野郎と呼ばれる。それはパブロ・ピカソには起こらなかった。彼が通りを歩くだけで、女の子はその視線に抗えなかった」
ロックンロールのリズムに乗せたラブソングと見せかけて、生涯に数多くの恋人を持ったピカソのモテぶりを歌う奇妙な曲です。

Modern Lovers – Pablo Picasso

ウォーホルに会った話

ジョナサン・リッチマンが画家の曲を作るのは、子供の頃に画家になりたいと絵を描いていた過去があるからかもしれません。後に音楽で自分を表現するようになったジョナサンですが、趣味として絵も描きます。天性のアーティストなのです。
音楽に目覚めたジョナサンは、1967年にアンディ・ウォーホルがプロデュースしたバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの熱狂的なファンになります。
数年後の1972年に「パブロ・ピカソ」を録音したとき、ジョナサンは元ヴェルヴェット・アンダーグランドのジョン・ケイルにプロデュースを頼みました。
さらに数十年後の2015年、アンディ・ウォーホル美術館でライブを行ったジョナサンは、次のように語ったそうです。

アンディ・ウォーホル
《キャンベル・スープ コンソメ》
(翠波画廊にて販売中)

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに夢中だったぼくは、彼らを通じてアンディに会った。
まだ16歳で、何も知らなかったぼくに、アンディはそれまでに会ったどんな人よりもきちんと対応してくれた。
“ハイ、アンディ、ぼくはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファンです”。ぼくは怖いもの知らずに続けて言った。
“でもアンディ、正直にいうと、ぼくはあなたのアートがよくわからないんです”。まだ16歳だったからね(笑)。
そしたら、アンディは言った。“きみはわかっているさ(Yes you do)”。アンディの言った意味をぼくは考え続けた。
ある日、スーパーマーケットに行ったとき、缶詰スープの前で立ち止まった。キャンベル・スープの缶が並んでいた。それを眺めていたら、突然思ったんだ。“この色とかたち! ぼくも色とかたちを表現したい”と。そしてぼくはギターを弾いた」
出典:松永良平「あの夏のフィーリングは続く 番組仕立ての新企画がスタートしたジョナサン・リッチマン 21世紀の歩みを辿る」(TURN)


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売れなかったゴッホへの共感

残念ながら、1972年に録音した楽曲「パブロ・ピカソ」はすぐに世に出ることはありませんでした。レコード会社と契約できなかったからです。
1974年にオリジナルのモダン・ラヴァーズは解散し、キーボード奏者のジェリー・ハリスンはトーキング・ヘッズに加入してスターとなり、ジェームス・リジィがレコードジャケットを手掛けたトム・トム・クラブを立ち上げます。
一方、ソロアーティストになったジョナサンは、新たなバンドを結成し、ジョナサン・リッチマンとモダン・ラヴァーズ名義で活動を続けました。
それが認められて、「パブロ・ピカソ」の古い録音がようやくレコードとしてリリースされたのは1976年のことです。
その頃のジョナサンがゆったりとした音楽を指向するようになったため、ロックバンドをやりたかったドラマーのデヴィッド・ロビンソンが脱退し、後にアンディ・ウォーホルがミュージックビデオを監督するバンド、カーズに加わってやはりスターとなりました。
一方、ジョナサン・リッチマンとモダン・ラヴァーズは、熱心なファンはいたもののヒット曲には恵まれませんでした。
そんな活動を続けて10年以上が経ち、1985年にリリースされた曲が「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」です。生きている間に絵が1枚しか売れなかったというゴッホに共感したジョナサンは次のように歌い上げます。
「画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホについて聞いたことがあるかい? 彼は人生を愛して、愛して、愛し続けたけど、その人生は最悪だった。世界はそれを知るべきだ」

Vincent Van Gogh

思春期の少年はダリが好き

10代でギターを弾き始めてから、ジョナサン・リッチマンは50年以上も音楽を演奏してきました。誰もが知るようなヒット曲こそありませんが、長年続けてきた活動とコアなファンのおかげで、1990年代にはときどきメディアに出演するようになりました。
キャメロン・ディアスの出世作となった1998年の映画『メリーに首ったけ』のタイトル曲「There’s Something About Mary」を担当した頃が最も世に知られていたかもしれません。
2004年のアルバム『Not So Much to Be Loved As to Love』(愛するほどには愛されない)の中に、ジョナサンは新たな画家の曲を収録します。「サルヴァドール・ダリ」です。
「ぼくが14歳のとき、サルヴァドール・ダリがいてくれた。ぼくはいつも悪夢にうなされていたけれど、ダリが夢の世界へのガイドをしてくれた」

Salvador Dali

唯一無二の個性フェルメール

ピカソ、ゴッホ、ダリと続いたので、ジョナサン・リッチマンはモダンアートの愛好家なのかと思っていたら、次に出てきたのはゴシック美術の巨匠でした。
2008年のアルバム『Because Her Beauty Is Raw And Wild』(彼女の美しさが野性的だから)には、ジョナサンが昔から敬愛する画家の曲が収録されています。
その画家の名前はヨハネス・フェルメール――曲のタイトルは「誰もフェルメールに似ていない」です。
「レンブラントの時代、ヤン・ステーンの時代に戻ってみよう。光と影の巨匠たちばかりだが、フェルメールみたいな人は他にいない。フェルメールは不気味だ。フェルメールは奇妙だ。彼は現代的な色使いをしていた。まるで別の時代に生まれたかのようだ。たぶん100年後かそれくらい」

Jonathan Richman- “No One Was Like Vermeer”

イスラエル博物館のピカソ・コレクション

ジョナサン・リッチマンは誰もが知るスターではありませんが、その活動はユニークで、音楽業界における功績は高く評価されています。
ジョナサンのことを「パンクのゴッド・ファーザー」と呼ぶ人もいます。誰もパンクなんて知らなかった時代に、ただひとりパンクのようなゆるい演奏で聴衆を魅了したからです。
とはいえ、ジョナサンはそのような名声にとらわれることなく、マイペースにギター一本での活動を続けています。
その中から一曲を選ぶとすれば、やはり「パブロ・ピカソ」でしょう。この曲は、ジョン・ケイルやデヴィッド・ボウイによってカヴァーされ、彼らのレパートリーとなっています。

いまパナソニック汐留美術館では、2022年4月9日から6月19日の会期で「イスラエル博物館所蔵 ピカソ/ひらめきの原点」展を開催しています。
イスラエル博物館の800点に及ぶピカソ・コレクションから版画を中心に、70年間にわたる画業を見渡せる展示となっています。ピカソ好きには見逃せません。

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