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ウォーホルの残したジャケットアート
~ローリング・ストーンズからラッツ&スターまで

アルバムジャケットを最も多くデザインした有名画家といえば、アンディ・ウォーホルの右に出るものはいないでしょう。
なぜなら、もともとウォーホルは商業デザイナーとして生計を立てていたからです。
ウォーホルのもとには、レコードジャケットをデザインしてほしいという仕事の依頼が数多くありました。 現代アートの画家となった後も、音楽の好きなウォーホルは、アート作品としてジャケットのデザインを続けました。
ウォーホルのデザインしたアルバムジャケットはどんなものだったでしょうか?

 

 

ジャズはおしゃれなイメージで

ポップアーティストとして成功する前に、ウォーホルは仕事でジャズのアルバムジャケットを多くデザインしていました。
その出来栄えをひとことで言えば「おしゃれ」です。
イラストも自分で描いたので、ものによっては「Andy Warhol」のサインが入っています。
奇をてらわずともウォーホルが凄腕のイラストレイターであったことを、当時のジャケットデザインから知ることができます。


 

Various Artists『Progressive Piano』1955年

 

KENNY BURRELL『BLUE LIGHTS』1958年

 

 

ポップアートはギミック重視で

60年代に現代アーティストになってからも、ウォーホルはアート作品としてアルバムジャケットを手がけました。
とはいえ、商業デザイナーだった時代と比べて違いが必要ですから、ジャズではなくポップミュージックの作品が多くなりました。
現代アートは新しさが大事なので、ギミック(仕掛け)にも凝りました。
たとえば、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムジャケットはバナナの絵ですが、このバナナは剥がせるシールになっていて「Peel Slowly and See(ゆっくりめくって見て)」の指示に従って黄色いバナナの皮シールを剥くと、その下にあるピンク色の身が見えるようになっていました。
このバナナは男性器のメタファーだと言われています。


 

The Velvet Underground & Nico『The Velvet Underground & Nico』1967年

 

Peel Slowly and Seeに従ってバナナのシールを剥がした状態

 

 

また、ローリング・ストーンズの『スティッキー・フィンガーズ』のアルバムジャケットは、ジーンズのジッパー部分が本物の開閉可能なジッパーになっていて、開いて中を覗くと、内側に印刷された白いブリーフが見られるようになっていました。
バナナにしてもブリーフにしても、ゲイだったアンディ・ウォーホルの男性器に対するセクシャルなこだわりがあるようで面白いです。
また、女性の下着姿は商業デザインとしてありふれていますが、あえて男性の下着姿を選択したことに、現代アーティストとしてのウォーホルの冴えが見られます。

 

The Rolling Stones『Sticky Fingers』1971年

 

内側には下着姿の男性の股間がプリントされている

 

 

アート作品としてのレコードジャケット

シールやジッパーなどのギミックはお金がかかるので、いつも使えたわけではありません。
他の低予算のアルバムジャケットでは、ウォーホルは二次元のアート作品として工夫を凝らしました。
たとえば、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退したジョン・ケイルのソロアルバムでは「反復」というウォーホル作品の特徴が見られます。
草間彌生によれば、ウォーホルはこの手法を60年代にアメリカで活動していた草間から学んだそうです。当時の二人はニューヨークの前衛アートの仲間でした。


 

John Cale『The Academy in Peril』1972年

 

John Wallowitch『This Is John Wallowitch』1964年

 

 

また、70年代の後半になると、マリリン・モンローの有名なポートレイトのような鮮やかな色使いの人物画を見せるようになります。
線の使い方の流暢さに、商業イラストレイターだった頃の名残りを見ることができます。


 

Paul Anka『The Painter』1976年

 

The Rolling Stones『Love You Live』1977年

 

 

セレブの肖像画を量産した晩年

80年代になると、ウォーホルは自分の作品を大量制作して商業的に販売するようになりました。
有名人の肖像画も、写真を利用してのシルクスクリーンではありますが、定価で依頼を受けるようになります。
ビジネスとしてアートを制作するようになったことで、ウォーホルの作品は一般的に馴染みの深いものになっていきます。
そうして、日本のレコード会社がウォーホルに依頼したのが、日本のバンド、ラッツ&スターのアルバムジャケットです。元はシャネルズとして活動していたこのグループは、鈴木雅之や田代まさしがメンバーだったことで有名です。
その後の、1986年のジョン・レノンのアルバムジャケットも、同じようなフォーマットで制作されています。 新しさに挑戦し続けたウォーホルも年を取ったのでしょうか。それとも、芸術は複製できるというウォーホル一流の諧謔を体現してみせたのでしょうか。
ウォーホルが亡くなったのは、ジョン・レノンのアルバムジャケット制作の翌年です。心臓発作による58歳での急死でした。
本来であれば今頃は日本で大回顧展「アンディ・ウォーホル・キョウト」が開催されていたはずですが、新型コロナ対策のため延期調整中となっています。皮肉屋のウォーホルはあの世で笑っているかもしれません。

 

Rats & Star『Soul Vacation』1983年

 

John Lennon『Menlove Ave』1986年

 

 

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