アートコラム

キース・ヘリングのコラボレーションが見られるジャケット

2020/06/23

絵は、基本的に画家が一人で描くものです。
近代以前、画家が職人だった時代には、徒弟制度と工房があって、複数人で協力して一つの絵を仕上げることもありました。
しかし、画家がアーティストとして自分の表現をするようになると、最初から最後まで一人で描くことが当たり前となりました。
一方、コマーシャルな商品は「自己表現」よりも「売れること」を重視します。
そのため、映画や音楽などのポップカルチャーでは、プロデューサーやディレクターやプレイヤーなど複数の人間が協力して経済的成功を目指します。
今回はコマーシャルなレコードから、コラボレート・ジャケットを集めました。

 

セックス・ピストルズのマネージャーとして知られた男

Malcolm McLaren『Duck Rock』(Charisma) 表面
1983年(ドンディ・ホワイト&キース・ヘリング&ニック・イーガン)

最初に紹介するのはマルコム・マクラーレンが1983年に出した初レコード『Duck Rock』です。
マルコム・マクラーレンは、ミュージシャンとしてよりもプロデューサー(企画屋)としての仕事が有名な人です。
ダミアン・ハーストやルシアン・フロイドを輩出したことで知られるゴールドスミス・カレッジでファッションを学んだマクラーレンは、当初はファッション・デザイナーとして世に出ます。
そして1971年、当時のパートナーであるヴィヴィアン・ウエストウッドと共にブティックを開店します。このブティックが、ウエストウッドをイギリスのファッション界の女王に押し上げました。
一方のマクラーレンは自分が手を動かすことよりも、世の中を動かすことのほうに興味を持ちます。

 

彼は社会現象としてのロックバンドに興味を持ち、ブティックに集まる若い子に声をかけてセックス・ピストルズを結成させ、自らのプロデュースで売り出します。
メディアを意識した挑発的なスタンスとファッションで、セックス・ピストルズは話題の的となり、マクラーレンの仕掛けたパンク・ファッションとパンク・ロックは、イギリスで大流行しました。
しかし、売らんがためのマクラーレンの干渉に嫌気がさしたバンドは1978年に解散。
マクラーレンは次の一手を求めてポスト・パンクのバンド、アダム&ジ・アンツのメンバーに14歳のアジア系少女をボーカリストに入れたバウ・ワウ・ワウを1980年にデビューさせます。
このバンドのプロデュースも成功し、日本でも資生堂のCMソングに起用されるほどの人気を得ました。

 

Malcolm McLaren『Duck Rock』(Charisma) 裏面
1983年(ドンディ・ホワイト&キース・ヘリング&ニック・イーガン)

辣腕プロデューサーとして評判を得たマクラーレンがその次に挑戦したのが、当時の最先端だったヒップホップ・ミュージックです。
世界中の数多くのレコードからのサンプリングで構成した自らのレコード『Duck Rock』は、トップ10ヒット曲を2曲も生むほどの成功を収めました。
このレコードは、音楽もサンプリングなら、ジャケットもサンプリングでした。
ジャケットの真ん中で奇妙な存在感を見せつけるラジカセに描かれたDUCK ROCKのレタリングはグラフィティ・アーティストのドンディ・ホワイトが制作し、背景の絵は同じくグラフィティ・アーティストのキース・ヘリングが描きました。

 


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80年代から活動するストリートアーティストの大御所

オムニバス『Rap It』(Celluloid)表面
1983年(キース・ヘリング)

キース・ヘリングは多くのアーティストとコラボレートしています。
同じく1983年には、ストリートアーティスト仲間のフューチュラ2000が参加したヒップホップのオムニバス・アルバム『Rap It』のジャケットの絵も手がけました。
いつものキース・ヘリングの絵とは多少違いますが、太くて伸びやかな線はヘリングらしさを感じさせます。

オムニバス『Rap It』(Celluloid)裏面
1983年(フューチュラ2000)

このアルバムの裏面のデザインは、フューチュラ2000自身が手掛けたため、表面と裏面とで、デザインの雰囲気が大きく異なります。
フューチュラ2000も、2019年現在ではストリートアーティスト売上ランキングで9位に入るほどの大御所です(キース・ヘリングは3位)。
しかし、36年前は二人とも無名の若手アーティストで、このアルバムも話題になることはありませんでした。
現在、フューチュラ2000は、フューチュラと改名して活動を続けています。

 

LGBTカルチャーとキース・ヘリング

次に紹介するのは、キース・ヘリングが裏面デザインに回った珍しいレコードです。
ミュージシャンはMan To Man。
日本ではほとんど知られていませんが、70年代ニューヨーク・パンクの人気バンドだったThe Fastのメンバーが後に結成したグループです。
セックス・ピストルズやクラッシュをはじめとするロンドンのパンク・ムーブメントと、海の向こうのニューヨークのパンク・ムーブメントとの違いは、前者は政治的・反体制的なメッセージが強かったのに対し、後者はアート的でLGBTカルチャーが色濃いことです。

 

Man To Man Featuring Paul Zone
『At The Gym』(Bolts Records)表面
1987年(写真:リー・ブラック・チルダース)

初期のニューヨーク・パンクに分類されるヴェルヴェット・アンダーグラウンドやニューヨーク・ドールズは中性的なファッションで魅力を醸し出していましたし、パティ・スミスやラモーンズは同性愛について歌いました。
そしてバンドの周囲には、アンディ・ウォーホルやロバート・メイプルソープやキース・ヘリングといったゲイのアーティストがいました。
The Fastは、マンディ・ゾーンとミキ・ゾーンとポール・ゾーンという3兄弟が中心になって作られたバンドです。
ゲイであった彼らが後に結成したバンドがMan To Man(男から男)であり、彼らのリリースした最大のヒット曲が「Male Stripper」(男性ストリッパー)でした。

Man To Man Featuring Paul Zone
『At The Gym』(Bolts Records)裏面
1987年(キース・ヘリング)

残念ながら、マンディとミキはエイズで亡くなり、一人でバンドを続けたポールが1987年にリリースしたシングルが「At The Gym」(ジムにて)です。
このレコードは、兄弟がまだ存命だったThe Fast後期の曲をレコーディングし直したものです。

 

ジャケットの表面デザインにはカメラマンのリー・ブラック・チルダースによる、ポール・ゾーンと半裸の男性たちの写真が使用されましたがが、裏面にはキース・ヘリングの描くマッチョな男性がレイアウトされています。
キース・ヘリングがエイズで亡くなったのは、このレコードのリリースの3年後の1990年でした。ヘリングの死は、80年代のポップカルチャーに終わりを告げるものとなりました。

 

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