アートコラム

アートの新しい波――ストリートアート

2019/12/23

2019年は、バンクシーをはじめとするストリートアートがブレイクした年として知られることでしょう。
この10月には、横4メートル、縦2.5メートルの巨大なバンクシーの絵画≪Devolved Parliament(退化した議会)≫が、ロンドンにて1220万ドル(約13億円)で落札されて、バンクシー作品の落札価格記録を更新しました。
この作品は英国議会下院を描いたものですが、そこに並ぶ議員がすべてチンパンジーの姿になっているという、挑発的なメッセージを持つものでした。

バンクシー「Devolved Parliament(退化した議会)」

 

カウズ「THE KAWS ALBUM」

一方、4月には、ストリートアートからキャリアを始めたカウズ(KAWS)の作品≪THE KAWS ALBUM≫が、香港にて1480万ドル(約16億円)で落札されて、カウズ作品の落札価格レコードとなりました。
こちらの作品は、ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のパロディで、メンバーの代わりにカウズ風にアレンジされたテレビアニメ「シンプソンズ」のキャラクターが並んでいるものです。
出品者が、日本人のファッションデザイナーであるNIGOであったことも話題になりました。
波に乗るストリートアート作品は今後もさらなる価格上昇が期待されます。

 

今年はストリートアートが人気だった

フランスのアートマーケット情報会社アートプライスによれば、ストリートアートは今や街で取締りの対象となる違法行為ではなく、セレブにコレクションされるアイテムになったとのこと。
ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオといったセレブたちが、ストリートアートのコレクションに熱中しています。
アートプライスが、2019年のオークションでよく売れたストリートアーティストを集計したところ、次のようなランキングになりました。

 

1位 ジャン=ミシェル・バスキア(BASQUIAT):9385万ドル
2位 カウズ(KAWS):9030万ドル
3位 キース・ヘリング(HARING):2645万ドル
4位 バンクシー(BANKSY):2459万ドル
5位 インベーダー(INVADER):151万ドル
6位 スティック(STIK):118万ドル

 

 

ストリートアートだけでなく絵画全体でみても最高落札記録のランキングに入るバスキアが1位ですが、売れた作品数の多さではカウズも引けを取っていません。
また、長らく人気を保っているキース・ヘリングに対して、バンクシーが急追していることも見逃せません。
ちなみに、以降の順位は以下のとおりです。

 

7位は、アメリカ出身のヒスパニックで、カラフルな作風のジョンワン(JONONE)。
8位は、オバマ大統領の肖像画で有名なOBEYことアメリカのシェパード・フェアリー。
9位は、かつてはFutura2000の名で活動していたベテランのフューチュラ(FUTURA)。
10位は、インベーダーの従兄弟で、バンクシーの友人ミスター・ブレインウォッシュ。
11位は、ポルトガル出身で、ストリートの建物に顔の壁画を彫刻するヴィールス(VHILS)。
12位は、バンクシーと同じステンシルの技法で知られるフランスのブレック・ル・ラット。

 

1位、ジャン=ミシェル・バスキアの早すぎる死

ストリートの壁へのスプレーペインティングから活動を始めたバスキアは、キース・ヘリングに発見されて世の中に出てきました。
その後、アンディ・ウォーホルと出会ってからは作品を共同制作するほどの親交を結び、その仲は1987年にウォーホルが死去するまで続きました。しかし、若くして評価されたバスキアは、流行の移り変わりと作品制作のプレッシャーに苦しんで麻薬を常用するようになり、1988年、27歳で亡くなります。死因は薬物の過剰摂取によるものでした。ちなみにポップミュージックの世界には、酒や薬物の乱用などから27歳で命を落としたスターが多く、総称して27クラブと呼ばれています。そのメンバーは、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ、ドアーズのジム・モリソン、ニルヴァーナのカート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、エイミー・ワインハウスなどですが、バンド活動もしていたバスキアも、27クラブの一員と見なされています。

 

2位、アジアで人気急上昇中のカウズ(KAWS)

近年のカウズ人気の上昇には目を見張るものがあります。
2019年6月、ユニクロがカウズとコラボレーションしたTシャツとトートバッグ「カウズ:サマー」を発売した際には、先行販売された香港のユニクロに長蛇の列ができて、開店と同時になだれ込む群衆と、商品の奪い合いが、テレビや新聞で報じられるほどのニュースになりました。
香港でカウズが特別に人気を誇るのは、香港のスタジオ「All Rights Reserved」とカウズがタッグを組んだ巨大アート・プロジェクト“カウズ・ホリデー”が、アジア全域で開催されているからかもしれません。
2019年に行われた香港のビクトリア・ハーバーでの展示は、すぐ近くで行われていたアート・バーゼル香港よりも目立っていたほどです。韓国のソウル、台湾の台北(タイペイ)、香港に続いて、日本でも2019年7月、静岡県富士宮市に全長40メートルのカウズのキャラクター「コンパニオン」が上陸して、多くの人を楽しませました。

 

「バンクシー、ヘリング、カウズの年間オークション回転率」
出典:Artprice by ArtMarket Presents the Top 25 Street Artists: Banksy’s Success in Not a Market Anomaly

 

3位、ストリートアートとポップアートの後継者キース・ヘリング

キース・ヘリングは、地下鉄の広告に落書き(グラフィティ)を残した、最初期のストリートアーティストです。
また、シンプルな線と鮮やかな色彩で見る者の気分を高揚させる、アメリカのポップアートの正当な後継者でもあります。
1980年代、キース・ヘリングのアートは世界中で大人気となり、東京も含めて世界各都市の建物や壁に絵を描くパフォーマンスが行われました。
しかし、同性愛者であったキース・ヘリングは同時期にエイズに罹患してしまい、1990年に若干31歳で亡くなってしまいます。
ヘリングは、同じく同性愛者であったウォーホルとの親交も深く、2人が見出した新しい才能が、あのジャン=ミシェル・バスキアでした。
晩年のキース・ヘリングは、流行の移り変わりに伴う人気の陰りに苦しんでいたようです。
常に新しさを必要とするアートの世界は、時として酷なものです。

 

4位、ストリートアートの名を高めた功労者バンクシー(BANKSY)

現在のストリートアート隆盛のきっかけを作ったのが、覆面芸術家バンクシーであることに異論を持つ人は少ないでしょう。
2019年、東京都の防潮扉にバンクシー作品と見られるストリートアート作品が見つかってからは、日本でも「猫も杓子もバンクシー」というくらい、アート界を超えて話題になっています。
もちろん世界的な人気も非常に高くなっています。例えば、ノルウェーのエレクトロユニットRöyksopp(ロイクソップ)のアルバム『Melody A.M.』のプロモーション盤(100枚限定)には、バンクシー自身の手でステンシルアートが施されていました。そのうちの1枚が、このたび約111万円で取引されたことが明らかになりました。これは世界最大のレコードモールDiscogsにおける1枚のレコードの取引額としては歴代最高になります。バンクシーが手掛けていれば、レコードジャケットといえども、これほどの価格になるのですね。

 

5~6位、これから価格上昇が期待できる
インベーダー(INVADER)とスティック(STIK)

バスキアとカウズがおよそ年間9000万ドル以上の取引額で、ヘリングとバンクシーが年間およそ2500万ドルというなかで、5位と6位に入ったインベーダーとスティックの年間取引額は年間100万ドル台と控えめな数字になっています。
5位と6位でこの金額ですから、7位以下は推して知るべしです。
これはインベーダーやスティックの人気がないわけではありません。2人ともストリートアーティストとしては活動歴が長く、すでに評価を確立したベテランです。
インベーダー(INVADER)は、インベーダーゲームに代表される昔のコンピューターゲームのドット絵を、タイルで再現するアートで知られています。
スティック(STIK)は、スティックメン(棒男)と呼ばれる、シンプルな線で描かれた哀愁ただようキャラクターの絵で有名です。
どちらも、マンガやゲームなどのサブカルチャーに通じるポップな作風が、現代を象徴しています。
上位4名がストリートアーティストとしては突出した知名度と人気を誇っているだけで、インベーダーもスティックも、ストリートアートの中では高い人気を誇ります。
特にスティックは、エルトン・ジョンやU2のボノといったアート好きのミュージシャンからの支持が高く、彼らによる作品の購入が話題になりました。
おそらく今後ストリートアートの人気が高まっていくにつれて、バスキア、カウズ、ヘリング、バンクシーの四天王以外のストリートアーティストも徐々に価格が高騰していくでしょう。その最右翼にいるのがフランスのインベーダーと、イギリスのスティックです。
翠波画廊ではさまざまなストリートアーティストの作品を取り揃えております。
カウズのようにいつ急激に価格が高騰するかわかりませんので、実際に作品を見て何か感じるものがあった方は、今のうちにご検討ください。

 

バンクシー作品一覧 >>

カウズ作品一覧 >>

バスキア作品一覧 >>

キース・ヘリング作品一覧 >>

スティック作品一覧 >>

インベーダー作品一覧 >>

 

 


アートをもっと身近に感じてみませんか?

知ってて得するアートコラム、新入荷作品情報、お買い得の特別価格作品情報など、お役立ち情報をお届けしています。

 

【配信コンテンツ】

 

1. アートコラム(月3~4回配信)

 読むだけで最新のアートシーンや絵画の知識が身につくコラム。
 アート初心者からコレクターの方まで必読です。

2. イベント情報

 画廊でのワークショップやセミナーのご案内をいち早くお知らせ!

3. 新入荷作品情報

 ホームページ公開前の作品をはじめ、入荷したばかりの注目作品をご紹介!

4. メルマガ会員限定-特別価格作品情報-

 メルマガ限定でのシークレットセールをご案内。
 気になる作品をお手頃で手にしていただけます。

5. 展示会のご案内

 翠波画廊で開催する展覧会や、全国百貨店での作家来日展情報などをお知らせいたします。

 

お得情報満載!
無料配信メルマガ! ぜひご登録ください ↓↓


配信希望のメールアドレスをご記入ください 

メールアドレス
※半角英数でご記入ください。

プライバシーポリシー >

※携帯、スマートフォンのメールアドレスに返信ご希望の方は、当画廊(info@suiha.co.jp)のメールアドレスからのメールを受信可能な状態にしていただきますようお願い致します。

 


 

 

翠波画廊代表・髙橋 2作目はアートで学ぶビジネス

未来のビジネスに必要なアートの力、気になりませんか?
画廊経営歴30年だからこそ語れる、アートで学ぶビジネスのヒントをご紹介。

 

アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」

 

単行本:251ページ
出版社:サンライズパブリッシング
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,500円(税別)
amazon等ネットでもご購入いただけます。

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

 

 


芸術はよくわからない、アートは難しいなどと思っていませんか?

絵画の価格はどうやって決まるのか、画商の視点でわかりやすく解説。
読後はアートを身近に感じて美術館に行ってみたくなるはずです。

 

「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画

 

単行本:302ページ
出版社:幻冬舎
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,400円(税別)
全国有名書店、amazonでもご購入いただけます

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

新聞、雑誌でも紹介されました!

「サンデー毎日」

本とのふとした出会いで幼いころの自分を思い出す
幼いころ、絵画鑑賞が趣味だった母に連れられて、よく展覧会を訪れた。・・・

「週刊文春」

銀座で二十六年、近代絵画の作品を扱ってきた画廊オーナーが、「値段」を切り口に絵画の見方を提案。作品の価格は画家の人生の起伏をも表す。

「月間アートコレクターズ」

世に美術市場を扱った書は数あるが、印象的なタイトルと装丁家として日本を代表する鈴木成一の手になる雰囲気ある装丁の本書は、翠波画廊を構える髙橋氏の書き下ろし。・・・

「北日本新聞」

セザンヌ、モネ、ルノワールやゴッホ、ピカソ、シャガールら近代美術の巨匠たちの絵の値段について考えたことはあるだろうか。・・・

 

 

絵画購入をご検討でしたら、 翠波画廊にご相談ください。

~ 私たちにできること ~

1. 絵画購入のご相談

 

絵画購入について、ご質問やご不安なことはお気軽に翠波画廊にご相談ください。

 

ご購入の際には「購入に安心の3つの特典」をご用意しております。
30日以内の返品保証があるので、初めての方も安心。作品はすべて額装でお届けし、配送時の保険・送料は私たちが負担させていただきます。
購入後のアフタケア―のご相談も承っております。

 

お支払いは、クレジットカード・お振込み・代引きなどからお選びいただけ、
さらには10回分割無金利のサービスもございます。

 

2. お部屋やご予算に合わせた絵画のご提案

 

「この部屋のこの場所にあう絵を探している」そんなご相談も承ります。
サイズやお部屋の雰囲気、ご予算のご希望などお知らせください。
1,500点以上の豊富な在庫作品から、あなたのお部屋にぴったりの1枚をご提案させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

3. 絵画を使った節税対策

 

2015年度から美術品に関する税制が変わり、取得価額が100万円未満の美術品が償却資産に出来るようになりました。
経費での絵画購入をご検討の場合は、まずは翠波画廊にご相談ください。
購入後の流れ、売却なども視野に入れた具体的な内容をアドバイスします。

 

お電話、メールでもお気軽にお問い合わせください。

TEL:03-3561-1152(平日土/10:00~18:00)

メール:info@suiha.co.jp

 

 

コラム一覧に戻る