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アートの新しい波――ストリートアート
~バスキア、カウズ、キース・ヘリング、バンクシー

2019年は、バンクシーをはじめとするストリートアートがブレイクした年として知られることでしょう。
この10月には、横4メートル、縦2.5メートルの巨大なバンクシーの絵画≪Devolved Parliament(退化した議会)≫が、ロンドンにて1220万ドル(約13億円)で落札されて、バンクシー作品の落札価格記録を更新しました。
この作品は英国議会下院を描いたものですが、そこに並ぶ議員がすべてチンパンジーの姿になっているという、挑発的なメッセージを持つものでした。

バンクシー「Devolved Parliament(退化した議会)」

 

カウズ「THE KAWS ALBUM」

一方、4月には、ストリートアートからキャリアを始めたカウズ(KAWS)の作品≪THE KAWS ALBUM≫が、香港にて1480万ドル(約16億円)で落札されて、カウズ作品の落札価格レコードとなりました。
こちらの作品は、ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のパロディで、メンバーの代わりにカウズ風にアレンジされたテレビアニメ「シンプソンズ」のキャラクターが並んでいるものです。
出品者が、日本人のファッションデザイナーであるNIGOであったことも話題になりました。
波に乗るストリートアート作品は今後もさらなる価格上昇が期待されます。

 

今年はストリートアートが人気だった

フランスのアートマーケット情報会社アートプライスによれば、ストリートアートは今や街で取締りの対象となる違法行為ではなく、セレブにコレクションされるアイテムになったとのこと。
ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオといったセレブたちが、ストリートアートのコレクションに熱中しています。
アートプライスが、2019年のオークションでよく売れたストリートアーティストを集計したところ、次のようなランキングになりました。

 

1位 ジャン=ミシェル・バスキア(BASQUIAT):9385万ドル
2位 カウズ(KAWS):9030万ドル
3位 キース・ヘリング(HARING):2645万ドル
4位 バンクシー(BANKSY):2459万ドル
5位 インベーダー(INVADER):151万ドル
6位 スティック(STIK):118万ドル

 

 

ストリートアートだけでなく絵画全体でみても最高落札記録のランキングに入るバスキアが1位ですが、売れた作品数の多さではカウズも引けを取っていません。
また、長らく人気を保っているキース・ヘリングに対して、バンクシーが急追していることも見逃せません。 ちなみに、以降の順位は以下のとおりです。

 

7位は、アメリカ出身のヒスパニックで、カラフルな作風のジョンワン(JONONE)。
8位は、オバマ大統領の肖像画で有名なOBEYことアメリカのシェパード・フェアリー。
9位は、かつてはFutura2000の名で活動していたベテランのフューチュラ(FUTURA)。
10位は、インベーダーの従兄弟で、バンクシーの友人ミスター・ブレインウォッシュ。
11位は、ポルトガル出身で、ストリートの建物に顔の壁画を彫刻するヴィールス(VHILS)。
12位は、バンクシーと同じステンシルの技法で知られるフランスのブレック・ル・ラット。

 

1位、ジャン=ミシェル・バスキアの早すぎる死

ストリートの壁へのスプレーペインティングから活動を始めたバスキアは、キース・ヘリングに発見されて世の中に出てきました。
その後、アンディ・ウォーホルと出会ってからは作品を共同制作するほどの親交を結び、その仲は1987年にウォーホルが死去するまで続きました。しかし、若くして評価されたバスキアは、流行の移り変わりと作品制作のプレッシャーに苦しんで麻薬を常用するようになり、1988年、27歳で亡くなります。死因は薬物の過剰摂取によるものでした。ちなみにポップミュージックの世界には、酒や薬物の乱用などから27歳で命を落としたスターが多く、総称して27クラブと呼ばれています。そのメンバーは、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ、ドアーズのジム・モリソン、ニルヴァーナのカート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、エイミー・ワインハウスなどですが、バンド活動もしていたバスキアも、27クラブの一員と見なされています。

 

2位、アジアで人気急上昇中のカウズ(KAWS)

近年のカウズ人気の上昇には目を見張るものがあります。
2019年6月、ユニクロがカウズとコラボレーションしたTシャツとトートバッグ「カウズ:サマー」を発売した際には、先行販売された香港のユニクロに長蛇の列ができて、開店と同時になだれ込む群衆と、商品の奪い合いが、テレビや新聞で報じられるほどのニュースになりました。 香港でカウズが特別に人気を誇るのは、香港のスタジオ「All Rights Reserved」とカウズがタッグを組んだ巨大アート・プロジェクト“カウズ・ホリデー”が、アジア全域で開催されているからかもしれません。 2019年に行われた香港のビクトリア・ハーバーでの展示は、すぐ近くで行われていたアート・バーゼル香港よりも目立っていたほどです。韓国のソウル、台湾の台北(タイペイ)、香港に続いて、日本でも2019年7月、静岡県富士宮市に全長40メートルのカウズのキャラクター「コンパニオン」が上陸して、多くの人を楽しませました。

 

「バンクシー、ヘリング、カウズの年間オークション回転率」 出典:Artprice by ArtMarket Presents the Top 25 Street Artists: Banksy’s Success in Not a Market Anomaly

 

3位、ストリートアートとポップアートの後継者キース・ヘリング

キース・ヘリングは、地下鉄の広告に落書き(グラフィティ)を残した、最初期のストリートアーティストです。
また、シンプルな線と鮮やかな色彩で見る者の気分を高揚させる、アメリカのポップアートの正当な後継者でもあります。
1980年代、キース・ヘリングのアートは世界中で大人気となり、東京も含めて世界各都市の建物や壁に絵を描くパフォーマンスが行われました。
しかし、同性愛者であったキース・ヘリングは同時期にエイズに罹患してしまい、1990年に若干31歳で亡くなってしまいます。
ヘリングは、同じく同性愛者であったウォーホルとの親交も深く、2人が見出した新しい才能が、あのジャン=ミシェル・バスキアでした。
晩年のキース・ヘリングは、流行の移り変わりに伴う人気の陰りに苦しんでいたようです。
常に新しさを必要とするアートの世界は、時として酷なものです。

 

4位、ストリートアートの名を高めた功労者バンクシー(BANKSY)

現在のストリートアート隆盛のきっかけを作ったのが、覆面芸術家バンクシーであることに異論を持つ人は少ないでしょう。
2019年、東京都の防潮扉にバンクシー作品と見られるストリートアート作品が見つかってからは、日本でも「猫も杓子もバンクシー」というくらい、アート界を超えて話題になっています。 もちろん世界的な人気も非常に高くなっています。例えば、ノルウェーのエレクトロユニットRöyksopp(ロイクソップ)のアルバム『Melody A.M.』のプロモーション盤(100枚限定)には、バンクシー自身の手でステンシルアートが施されていました。そのうちの1枚が、このたび約111万円で取引されたことが明らかになりました。これは世界最大のレコードモールDiscogsにおける1枚のレコードの取引額としては歴代最高になります。バンクシーが手掛けていれば、レコードジャケットといえども、これほどの価格になるのですね。

 

5~6位、これから価格上昇が期待できる インベーダー(INVADER)とスティック(STIK)

バスキアとカウズがおよそ年間9000万ドル以上の取引額で、ヘリングとバンクシーが年間およそ2500万ドルというなかで、5位と6位に入ったインベーダーとスティックの年間取引額は年間100万ドル台と控えめな数字になっています。
5位と6位でこの金額ですから、7位以下は推して知るべしです。
これはインベーダーやスティックの人気がないわけではありません。2人ともストリートアーティストとしては活動歴が長く、すでに評価を確立したベテランです。
インベーダー(INVADER)は、インベーダーゲームに代表される昔のコンピューターゲームのドット絵を、タイルで再現するアートで知られています。
スティック(STIK)は、スティックメン(棒男)と呼ばれる、シンプルな線で描かれた哀愁ただようキャラクターの絵で有名です。
どちらも、マンガやゲームなどのサブカルチャーに通じるポップな作風が、現代を象徴しています。
上位4名がストリートアーティストとしては突出した知名度と人気を誇っているだけで、インベーダーもスティックも、ストリートアートの中では高い人気を誇ります。
特にスティックは、エルトン・ジョンやU2のボノといったアート好きのミュージシャンからの支持が高く、彼らによる作品の購入が話題になりました。
おそらく今後ストリートアートの人気が高まっていくにつれて、バスキア、カウズ、ヘリング、バンクシーの四天王以外のストリートアーティストも徐々に価格が高騰していくでしょう。その最右翼にいるのがフランスのインベーダーと、イギリスのスティックです。
翠波画廊ではさまざまなストリートアーティストの作品を取り揃えております。
カウズのようにいつ急激に価格が高騰するかわかりませんので、実際に作品を見て何か感じるものがあった方は、今のうちにご検討ください。

バンクシーだけじゃない! イギリスの若手ストリートアーティスト

ロンドン出身のディーフェイス(D*FACE)はバンクシーよりさらに後の2000年代から活動を始めた、新世代のストリートアーティストです。
1973年生まれで、アーティストとしてはまだ若いディー・フェイスは、10代の頃はスケートボードなどのストリートカルチャーに夢中で、なおかつキース・ヘリングなどの「サブウェイ・アート」にも興味を持っていたという、生粋のストリートアーティストです。

美術学校でデザインとイラストを学び、卒業後、フリーランスのイラストレイターとして働いていたディーフェイスは、仕事のかたわら、オベイを真似して街中にステッカーを貼るなどのストリートアートを始め、その楽しさからストリートアーティストとして生きていくことを決意します。
ディーフェイスは、ストリートアートが認められるようになった時代に活動を始めたニュー・ジェネレーションです。
ディーフェイス自身も、ストリートアート業界の確立と、ストリートアーティストの立場の向上に対して自覚的です。
2006年には、ストリートアーティストの仲間や若手作家のために、ロンドンにストリートアーティスト専門のギャラリーStolen Space Gallery(盗まれた空間画廊)を立ち上げました。
2010年には、アメリカを代表するシンガーソングライターであるクリスティーナ・アギレラのアルバムカバーも手掛けています。
それは、アギレラの写真の上にグラフィティ(落書き)を描いて別の作品とする、ストリートアートの精神にのっとったものでした。

Christina Aguilera『BI-ON-IC』2010(ディー・フェイス)

ディーフェイス(D*Face)ことディーン・ストックトンは2019年に西武渋谷店で開催される展覧会「Social DIScontent by D*Face(ソーシャルディスコンテント・バイ・ディーフェイス)」のために来日しています。
ディー・フェイスの作品は、カウズと同じく日本のホビー会社メディコム・トイから商品化もされています。 数多くの先達の業績の上に成り立っているディー・フェイスは、イギリスのストリートアートの最先端と言えるでしょう。

 

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