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モンパルナスの帝王・キスリング
~当時最も売れたのは藤田嗣治でもモディリアーニでもなかった

エコール・ド・パリの画家の中で、最も経済的に成功したのは誰でしょうか?
現在の作品価格から見ればモディリアーニです。しかし、モディリアーニが売れたのは彼の死後で、生前は極貧にあえいでいたことが知られています。ユトリロやローランサンや藤田嗣治も人気画家でしたが、当時もっとも羽振りが良かったのはキスリングではないでしょうか。
今回は、社交的で多くの芸術家に慕われた「モンパルナスの帝王」をご紹介します。

 

「モンパルナスのキキ」

キスリングが生まれたのは、1891年のクラクフ大公国(現在のポーランド南部)です。エコール・ド・パリの中では若手に属し、モディリアーニよりも7歳年下になります。
エコール・ド・パリ(パリ派)は、エコール・ド・ジュイフ(ユダヤ人派)とも呼ばれるようにユダヤ人画家が多かったことが特徴で、キスリングもモディリアーニやシャガールと同じくユダヤ人でした。しかし、キスリング自身は世俗的な人間で、ユダヤ教の教えには無関心でした。
少年時代、クラクフの美術学校で絵の手ほどきを受けたキスリングは、パリ仕込みの師匠の薫陶を受けて、1910年、19歳のときにパリに来ます。1912年からは、ピカソやモディリアーニが住んでいたことで有名なモンマルトルの安アパート「洗濯船(バトー・ラヴォワール)」に引越しして、前衛絵画の洗礼を受けます。
しかし、キスリング自身の描く絵は前衛や抽象ではありませんでした。色彩こそフォーヴィスムの影響を受けて鮮やかではありましたが、主題は人物画や静物画が多く、写実的といってもいいようなわかりやすいものでした。

 

当時のキスリングの自画像を見ると、藤田嗣治と同じようなおかっぱ頭をしています。モディリアーニのように横たわった裸婦を描くことも多く、同時代の空気を感じます。1914年、第一次世界大戦が勃発すると、キスリングはフランスの外国人部隊に志願して参戦します。その後、1917年には画学生だったルネと結婚するなど、今風の言葉で言えば「リア充」(リアルが充実)の生活を送ります。

 

リア充度は戦後も高まっていきました。1919年には28歳で初の個展を開催して好評を博します。妻が軍高官の娘だったので、その人脈を通じて社交界に顔を出すようになると、上流階級から肖像画の注文を直接受けるようになります。富裕層のクライアントから直で受注することで金回りが良くなり、名声も高まりました。
1920年に親友のモディリアーニが亡くなったときには、費用のすべてを負担して葬儀を取り仕切るなど、面倒見の良いところを見せます。

 

1922年には伝記が刊行され、二人の息子にも恵まれます。1924年にはフランス国籍を取得しました。当時、キスリングはいまだ33歳。最新のアメリカ製スポーツカーを乗り回す画家の姿に「モンパルナスの帝王」の称号が送られました。
しかし、パリの良き時代(ベル・エポック)にも、狂乱の時代(レ・ザネ・フォル)にも終わりが近づいていました。

 

1929年の世界大恐慌、1939年の第二次世界大戦の勃発は、キスリングの生活を大きく変えます。一時は召集されて軍隊に所属したキスリングですが、フランスが降伏すると、ユダヤ人として迫害されることを怖れてアメリカに亡命します。亡命しても、キスリングはキスリングでした。アメリカでの個展は好評で、ニューヨークの彼のアトリエは、亡命してきた画家たちのたまり場となります。キスリングは、アメリカでの収入から、フランスに残った画家たちへ支援物資を送るなど、社会的な活動にも精を出しました。

 

戦争が終わって1946年、フランスに帰国したキスリングは55歳になっていました。画家としてよりも、画壇での活動を優先せざるを得ないほど、社会的な地位も高まっていました。このあたりの社会性の高さが、孤高の芸術家とは異なるキスリングの特徴です。

 

キスリングが亡くなったのは1953年のことです。62歳とまだ若かったのですが、病に倒れてしまいました。
キスリングは、いわゆる芸術家らしいエピソードに事欠くためか、死後の人気は生前ほどではありません。その作品のオークション・レコードは、2016年にサザビースで落札された『ミモザ』で、価格は約53万ドルでした。しかし、キスリングの作品は流行の前衛運動とは無縁であるために、いま見ても古びない瑞々しさがあります。


参考文献
『週刊西洋絵画の巨匠37キスリング』小学館

 

 


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