アートコラム

藤田嗣治の親戚って誰?

2020/12/12

日本とフランスで合計5人の妻を持った藤田嗣治(レオナール・フジタ)ですが、生涯を通じて子どもを持つことはありませんでした。
晩年には子どもの絵をたくさん描いていた藤田ですが、そこには、ありえたかもしれない自分の子どもたちの姿が反映されているのかもしれません。
藤田嗣治(つぐはる)の父である藤田嗣章(つぐあきら)は、明治時代に陸軍軍医として最高位の総監にまでなった人物です。文豪の森鴎外の後任でもありました。
当時のエリートの家ですから、藤田嗣治の親戚には有名人がたくさんいます。
どんな方がいたのでしょうか。

 

藤田嗣隆『レオナルド藤田嗣治 覚書
レオナール・フジタとの散歩』(求龍堂)

明治維新の大物とつながる藤田嗣治

2019年に東京の聖徳博物館で開催された「フジタとイタクラ エコール・ド・パリの画家、藤田嗣治と板倉鼎(かなえ)・須美子」展では、藤田嗣治と板倉鼎の子孫が対面するイベントがありました。
登場したのは、藤田嗣治の姪の長男である藤田嗣隆(つぐたか)さんと、板倉鼎の姪である神崎眞子(みちこ)さんでした。藤田も板倉も子どもがいなかったからです。
その後、藤田嗣隆さんは2020年に『レオナルド藤田嗣治 覚書 レオナール・フジタとの散歩』を出版しました。
執筆の過程で藤田家のルーツをたどっていくと、江戸時代の文人画家、春木南湖(はるきなんこ)の血を継いでいることが判明したそうです。

 

木戸孝允(桂小五郎)

藤田嗣隆さんにとって、藤田嗣治は大叔父にあたります。嗣隆さんの祖父が、藤田嗣治の兄の藤田嗣雄(つぐお)だからです。
この藤田嗣雄の妻は旧姓が児玉モトで、明治時代に陸軍大将や文部大臣などを務めた軍人・政治家の児玉源太郎子爵の娘でした。
児玉源太郎は日露戦争で満州軍総参謀長を務め、日本を勝利に導いた英雄として知られています。
児玉モトは、父と同じ陸軍省に勤めていた官僚の藤田嗣雄に嫁いだわけですが、その妹の児玉ツルは厚生大臣や内務大臣などを務めた政治家の木戸幸一侯爵に嫁ぎました。
木戸幸一は太平洋戦争時に内大臣を務め、最後は終戦に尽力しました。
この木戸幸一は、西郷隆盛や大久保利通とともに維新の三傑と呼ばれた長州藩の木戸孝允(桂小五郎)の孫です。藤田嗣治は小学校教科書にも出てくる偉人と親戚だったのです。

 

日本にもいた貴族と華族

旧五百円紙幣(岩倉具視)

また、児玉モトの兄である児玉秀雄子爵も国務大臣や逓信大臣などを務めた政治家で、その娘の児玉貞子は、日本郵船社長を務めた広幡忠康と結婚しました。
この広幡忠康は、維新の十傑に数えられる太政大臣・岩倉具視(いわくらともみ)の曾孫にあたります。
ちなみに、公家である岩倉具視の先祖をたどると、平安時代の村上天皇に行きつきます。村上天皇の第七皇子の具平(ともひら)親王の子が臣籍降下して源師房(もろふさ)となり、その子孫の一人が岩倉具視だからです。
また、岩倉具視の玄孫の一人は、俳優の加山雄三さんです。つまり、加山雄三さんと天皇陛下は、遠い親戚にあたるのですね。
岩倉具視は、かつて五百円紙幣の顔となっていました。年配の方であれば実際に使った思い出があるでしょう。

 

展覧会ポスター
「DOUBLE FANTASY ― John & Yoko」

貴族や公家華族といった上流階級は、同じ階級で婚姻関係を結ぶことが多いので、芋づる式に有名人の親戚が増えていきます。
岩倉具視の孫の一人は西郷隆盛の姪と結婚していますし、西郷隆盛の親戚をたどっていくと、元総理大臣の竹下登をはじめ金丸信、小沢一郎などの政治家や、日産自動車創業者の鮎川義介、豊田自動車創業者の豊田喜一郎、三井財閥創始者の三井高棟、安田財閥創始者の安田善次郎などの実業家に行きつきます。
切腹自殺で有名な小説家の三島由紀夫も、藤田嗣治の遠い親戚の一人です。
財界富裕層の子孫は、その生まれ育ちを活かして芸術家になることも多く、親戚筋には現代アーティストのオノ・ヨーコも見つかります。彼女は、安田財閥創始者の安田善次郎の曾孫にあたります。
オノ・ヨーコはジョン・レノンと結婚したので、藤田嗣治はビートルズのジョン・レノンとも遠い親戚にもなります。
オノ・ヨーコといえば、2020年10月9日から2021年1月11日までジョンとヨーコの軌跡を辿る展覧会「ダブル・ファンタジー ジョン&ヨーコ」展がソニーミュージック六本木ミュージアムで開催されています。
この展覧会は、イギリスで70万人を動員したもので、二人の出会いを決定づけたオノ・ヨーコ≪天井の絵(YESの絵)≫も飾られています。

 

岡田三郎助≪あやめの衣≫
1927(ポーラ美術館蔵)

藤田嗣治は芸術家の家系?

以上は、藤田嗣治の義理の姉であるモトの家系をたどったものですが、藤田嗣治自身の係累をたどっていっても面白いことがわかります。
藤田嗣治の母親は小栗政(おぐりまさ)と言って、幕末に日米修好通商条約を批准するためにアメリカに渡った外国奉行の小栗忠順(ただまさ)の遠い親戚だと言われています。
この小栗政の甥の一人が、劇作家や演劇評論家として活躍した小山内薫(おさないかおる)です。藤田嗣治から見れば、従兄弟にあたります。
小山内薫の妹の岡田八千代も兄の影響を受けて女流劇作家として活動し、その夫は東京美術学校(現・東京藝術大学)教授の洋画家・岡田三郎助(さぶろうすけ)でした。

 

蘆原英了『僕の二人のおじさん、
藤田嗣治と小山内薫』(新宿書房)

また、小山内薫の長男の小山内徹(とおる)は外国の推理小説の翻訳家として有名で、次男の小山内宏(ひろし)は軍事評論家として活躍し、三男の小山内喬(たかし)は、市川扇升(いちかわせんしょう)の名で歌舞伎役者になりました。
さらに、次男・小山内宏の妻の富子は小山内繭(まゆ)の筆名を持つ随筆家でしたし、長男・小山内徹の娘は、小説家の立松和平と結婚しました。小山内家は芸術家ファミリーだったのですね。
藤田家も負けてはいません。
藤田嗣治の妹の藤田きくは、陸軍軍医の蘆原信之(あしはらのぶゆき)と結婚して、蘆原英了(えいりょう)を産みました。
蘆原英了といえば、パリに留学して、シャンソンやバレエをはじめとするフランス文化を日本に紹介した人物として知られています。
蘆原英了は藤田嗣治の甥にあたり、2007年には書籍『僕の二人のおじさん、藤田嗣治と小山内薫』も上梓しています。

 

家系図出典:小谷野敦
『日本の有名一族』幻冬舎新書

また、蘆原英了の弟は、建築家で東大教授の蘆原義信(よしのぶ)です。こちらにも『街並みの美学』や『外部空間の設計』といった著書があります。
藤田嗣治の親類には、芸術に造詣の深い方が多いようです。
さらに親戚を探していくと、俳優として活躍する千葉雄大(ちばゆうだい)さんが出てきます。
千葉さんは、スーパー戦隊シリーズ『天装戦隊ゴセイジャー』のゴセイレッド役で俳優デビューされた方です。母親が小説家・立松和平の従姉妹という関係のようです。

 

現在の人類の遺伝子をたどると、16万年前のアフリカで生まれた一人の女性に行きつくそうです。
この女性はミトコンドリア・イブと呼ばれています。
その意味では、すべての人類は遠い親戚にあたるわけですが、同時代を生きる近い親類には、どうしてもそれ以上の興味が湧いてしまうものです。
あなたの親戚にはどのような人がいますか?

 

藤田嗣治お勧め作品

お問い合わせ >>

藤田嗣治作品一覧はこちら >>

 

 

 


アートをもっと身近に感じてみませんか?

知ってて得するアートコラム、新入荷作品情報、お買い得の特別価格作品情報など、お役立ち情報をお届けしています。

 

【配信コンテンツ】

 

1. アートコラム(月3~4回配信)

 読むだけで最新のアートシーンや絵画の知識が身につくコラム。
 アート初心者からコレクターの方まで必読です。

2. イベント情報

 画廊でのワークショップやセミナーのご案内をいち早くお知らせ!

3. 新入荷作品情報

 ホームページ公開前の作品をはじめ、入荷したばかりの注目作品をご紹介!

4. メルマガ会員限定-特別価格作品情報-

 メルマガ限定でのシークレットセールをご案内。
 気になる作品をお手頃で手にしていただけます。

5. 展示会のご案内

 翠波画廊で開催する展覧会や、全国百貨店での作家来日展情報などをお知らせいたします。

 

お得情報満載!
無料配信メルマガ! ぜひご登録ください ↓↓

 


 

 

翠波画廊代表・髙橋 2作目はアートで学ぶビジネス

未来のビジネスに必要なアートの力、気になりませんか?
画廊経営歴30年だからこそ語れる、アートで学ぶビジネスのヒントをご紹介。

 

アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」

 

単行本:251ページ
出版社:サンライズパブリッシング
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,500円(税別)
amazon等ネットでもご購入いただけます。

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

 

 


芸術はよくわからない、アートは難しいなどと思っていませんか?

絵画の価格はどうやって決まるのか、画商の視点でわかりやすく解説。
読後はアートを身近に感じて美術館に行ってみたくなるはずです。

 

「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画

 

単行本:302ページ
出版社:幻冬舎
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,400円(税別)
全国有名書店、amazonでもご購入いただけます

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

新聞、雑誌でも紹介されました!

「サンデー毎日」

本とのふとした出会いで幼いころの自分を思い出す
幼いころ、絵画鑑賞が趣味だった母に連れられて、よく展覧会を訪れた。・・・

「週刊文春」

銀座で二十六年、近代絵画の作品を扱ってきた画廊オーナーが、「値段」を切り口に絵画の見方を提案。作品の価格は画家の人生の起伏をも表す。

「月間アートコレクターズ」

世に美術市場を扱った書は数あるが、印象的なタイトルと装丁家として日本を代表する鈴木成一の手になる雰囲気ある装丁の本書は、翠波画廊を構える髙橋氏の書き下ろし。・・・

「北日本新聞」

セザンヌ、モネ、ルノワールやゴッホ、ピカソ、シャガールら近代美術の巨匠たちの絵の値段について考えたことはあるだろうか。・・・

 

 

絵画購入をご検討でしたら、 翠波画廊にご相談ください。

~ 私たちにできること ~

1. 絵画購入のご相談

 

絵画購入について、ご質問やご不安なことはお気軽に翠波画廊にご相談ください。

 

ご購入の際には「購入に安心の3つの特典」をご用意しております。
30日以内の返品保証があるので、初めての方も安心。作品はすべて額装でお届けし、配送時の保険・送料は私たちが負担させていただきます。
購入後のアフタケア―のご相談も承っております。

 

お支払いは、クレジットカード・お振込み・代引きなどからお選びいただけ、
さらには10回分割無金利のサービスもございます。

 

2. お部屋やご予算に合わせた絵画のご提案

 

「この部屋のこの場所にあう絵を探している」そんなご相談も承ります。
サイズやお部屋の雰囲気、ご予算のご希望などお知らせください。
1,500点以上の豊富な在庫作品から、あなたのお部屋にぴったりの1枚をご提案させていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

3. 絵画を使った節税対策

 

2015年度から美術品に関する税制が変わり、取得価額が100万円未満の美術品が償却資産に出来るようになりました。
経費での絵画購入をご検討の場合は、まずは翠波画廊にご相談ください。
購入後の流れ、売却なども視野に入れた具体的な内容をアドバイスします。

 

お電話、メールでもお気軽にお問い合わせください。

TEL:03-3561-1152(平日土/10:00~18:00)

メール:info@suiha.co.jp

 

コラム一覧に戻る