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存命芸術家のオークション落札記録その2【2020年版】
~ジャスパー・ジョーンズやデイヴィッド・ホックニーも

現存の芸術家の双璧としてそびえたつドイツのゲルハルト・リヒターとアメリカのジャスパー・ジョーンズ。
ですが2020年現在、すでにリヒターは88歳、ジョーンズは90歳を越え、次世代の作家の追随が激しくなっています。
作品の落札記録におけるリヒターの時代に終わりを告げたのは、前回(その1)にも登場したあのアーティストでした。

 

ジェフ・クーンズというトリックスター

DVD『アートのお値段』IVC
(左上がジェフ・クーンズ)

現代の高額落札記録は、ジェフ・クーンズの名を抜きにしては語れません。
2007年にも約2360万ドルの《Hanging Heart (Magenta/Gold)》で一時的にトップになりましたが、当時のジェフ・クーンズの記録は、ガゴシアン・ギャラリーによる作家の宣伝の様相が強いように感じられました。
しかし、それ以降、ジェフ・クーンズはアメリカの現代アートの旗手として注目を集め続け、名実ともに人気アーティストになりました。
2013年、彫刻作品《Balloon Dog (Orange)》が約5840万ドルで落札されたことで、クーンズは存命芸術家の落札価格のトップに返り咲きました。
クーンズの彫刻作品は、前回の《Hanging Heart (Magenta/Gold)》同様にピカピカのメタリックな彫刻ですが、モチーフにしているのが、大道芸でよく作られる風船の犬であるところがユニークでした。
アメリカの子どもなら誰でもよく知っているバルーン・ドッグを、金属の質感を持つ巨大な彫刻として再現したクーンズはそのわかりやすさで、他の現代アーティストから頭一つ抜け出ました。
2019年公開の映画『アートのお値段』では、ジェフ・クーンズとゲルハルト・リヒターの二人が現代アーティストの代表として登場し、アートの価値について語っています。
作品の価格が高くなることを望まないリヒターに対して、高額落札を喜んでいるようなクーンズの対比が印象的でした。

 

その後しばらく、クーンズの作品の記録は抜かれませんでしたが、2018年、デイヴィッド・ホックニーの絵画《Portrait of an Artist (Pool with Two Figures)》が、何と約9030万ドルで落札されて、5年ぶりの記録更新となりました。ざっと100億円です。
デイヴィッド・ホックニーは、ゲルハルト・リヒターよりも5歳年下のイギリスの画家ですが、アメリカに渡ってアンディ・ウォーホルと出会い、ポップアートの画家として人気を得ました。

 

ところが翌2019年には、またまたジェフ・クーンズが記録更新を達成します。今回の作品はやはりメタリックな金属彫刻の《Rabbit》で、価格は約9110万ドル。
クーンズの記録が塗り替えられるたびに、すぐにまたクーンズが新たな記録を打ち立てることには、意図的なものを感じないでもありませんが、その人気は認めざるを得ません。

 

ところで、このクーンズによる記録更新には、ちょっと面白いエピソードがあります。
実は、オークション会場におけるクーンズ《Rabbit》のハンマープライスは、ホックニーの《Portrait of an Artist》とまったく同額の8000万ドルだったというのです。
しかしながら、オークション会社のクリスティーズが、高額作品の落札手数料を12.5%に値上げしていたことで、最終的に落札者が支払う総額に約80万ドルの差がついて、クーンズ《Rabbit》のほうが高額落札ということになりました。
クーンズは運に恵まれたアーティストなのか、それともクーンズの1位にこだわる人がいるのか、真相はわかりません。

 

映画『ある画家の数奇な運命』
キノフィルムズ(モデルがゲルハルト・リヒター)

存命画家の絵画落札価格ランキング【2020年現在】

1. 《Rabbit》ジェフ・クーンズ:9110万ドル(2019年)
2. 《Portrait of an Artist (Pool with Two Figures)》デイヴィッド・ホックニー:9030万ドル(2018年)
3. 《Balloon Dog (Orange)》ジェフ・クーンズ:5840万ドル(2013年)
4. 《Hurting the Word Radio #2》エド・ルシェ: 5248万ドル(2019年)
5. 《Abstraktes Bild (599)》ゲルハルト・リヒター: 4450万ドル(2015年)

 

オークションと個人間取引の違い

では、2020年現在、存命芸術家による作品の最高価格はジェフ・クーンズで決まりなのかと言えば、そういうわけでもないのです。
実は、オークションではありませんが、2010年にジャスパー・ジョーンズの絵画《Flag》が、個人間取引にて約1億1000万ドルで売買されているのです。
アメリカ国旗を描いた絵は、ジャスパー・ジョーンズの最も有名な作品シリーズです。

 

Red Hot Chili Peppers『I’m With You』
2011年(ダミアン・ハーストによるアルバムジャケット)

また、イギリスのダミアン・ハーストも、ダイヤモンドをちりばめたプラチナの髑髏という高価な彫刻作品《For the Love of God》を2007年に制作して、およそ1億ドルで売却しています。これは購入者が、ダミアン・ハースト自身も会員である投資グループとなっているので、やや出来レースのような気もいたします。

 

存命芸術家のオークション価格というのは、そのアーティストの最良の作品がオークションに出るかどうかや、オークション当日の客の熱意に左右されます。
また、ダリやフロイドのように途中で死去して存命芸術家でなくなると、以降はどんなに高額で落札されても記録としてはカウントされなくなります。
たとえば、現代アーティストのロバート・ラウシェンバーグの《Buffalo Ⅱ》は2019年に8881万ドルで落札されましたが、残念ながら彼は2008年に亡くなっていました。
それに、最高価格がそれほど高くなくても、平均的に相場が高いアーティストもいますから、落札価格ランキングは、あくまでも参考程度にとらえるのが良いでしょう。

 

ちなみに、2012年にアメリカの雑誌『Complex』が独自調査した存命芸術家の長者番付によれば、1位がダミアン・ハースト、2位がジェフ・クーンズ、3位がジャスパー・ジョーンズの順番でした。
そのほか、前回と今回で名前の挙がった芸術家では、ゲルハルト・リヒターが9位、デイヴィッド・ホックニーが10位に入っています。
単体の作品の記録ではジェフ・クーンズに負けますが、リヒターとホックニーは、いまセカンダリー・マーケットで最も作品がよく売れている2人です。
たとえば、2019年にもホックニーの《Henry Geldzahler and Christopher Scott》が4956万ドル、《Sur la Terrasse》が2950万ドル、リヒターの《Vogelfluglinie》が2048万ドル、《Dϋsenjäger》が2041万ドルと、コンスタントに高額で落札されています。
ちなみにリヒターとホックニーの2人よりも上位の6位に日本の村上隆がランクインしています。
この長者番付は2012年のものですが、2020年現在であれば草間彌生と奈良美智の2人もいい線にいくかもしれません。

 

存命芸術家の長者番付TOP15(2012年『コンプレックス』誌調べ)

1位 ダミアン・ハースト(イギリス)- 10億ドル
2位 ジェフ・クーンズ(アメリカ)- 5億ドル
3位 ジャスパー・ジョーンズ(アメリカ)- 3億ドル
4位 デイヴィッド・チョー(アメリカ)- 2億ドル(Facebook社の壁にも絵を描いた)
5位 アンドリュー・ヴィカリ(イギリス)- 1億4200万ドル(現代の肖像画家)
6位 村上隆(日本)- 1億ドル
7位 アニッシュ・カプーア(インド)- 8500万ドル(インド出身の現代彫刻家)
8位 アントニー・ゴームリー(イギリス)- 5000万ドル(イギリスの彫刻家の重鎮)
9位 ゲルハルト・リヒター(ドイツ)- 4000万ドル
10位 デイヴィッド・ホックニー(イギリス)- 4000万ドル
11位 シンディ・シャーマン(アメリカ)- 3500万ドル(アメリカの女性写真家)
12位 リチャード・プリンス(アメリカ)- 3000万ドル(挑発的な作風で話題の作家)
13位 アンドレアス・グルスキー(ドイツ)- 3000万ドル(最も高額な写真作品)
14位 チャック・クローズ(アメリカ)- 2500万ドル(半身不随のリアリズム画家)
15位 ゲオルグ・バゼリッツ(ドイツ)- 2500万ドル(ネオ表現主義の大家)

 

 

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