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ファッションブランドKENZOとアート
~高田賢三とアンディ・ウォーホルの接点

2020年9月、東京都足立区議会で一人の区議会議員が「足立区民が全員レズビアンやゲイになったら足立区が滅んでしまう」という趣旨の発言をしたことが話題になりました。
区議の発言は極論で、差別や偏見を広める危険性が高いと問題視されたのです。
奇しくもその9日後、パリでファッションデザイナーの高田賢三が、新型コロナウイルスの合併症で亡くなりました。
ファッションブランドKENZOの創業者として、フランスでレジオンドヌール勲章を受章した高田賢三は、フランスのデザイン界で最も有名な日本人でしたが、藤田嗣治と同様、長年フランスで暮らしていたので、日本では忘れられがちでした。
この高田賢三がゲイであったことはあまり知られていません。
しかし彼のフランスでの生活は、貴族出身の同性パートナー、グザビエ・ド・カステラの存在を抜きには語れないでしょう。
もしかすると、日本での差別的な視線が、高田賢三をパリに向かわせたのかもしれません。

 

 

ファッションデザインとLGBT

LGBTとはレズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)といった性的マイノリティの頭文字をつなげた略語で、その数は意外と多いとされています。
特にファッションデザインは、他に比べてLGBTの多い分野です。
たとえばフランス人では、クリスチャン・ディオールとイブ・サンローラン、そして宝塚歌劇団とのコラボレーションで有名なジャン=ポール・ゴルチエがゲイでした。
イタリア人では、誰もが知っているジョルジオ・アルマーニや、ジャンニ・ヴェルサーチ、そしてドルチェ&ガッバーナの2人組(ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナ)がゲイだと言われています。
イギリス人ではディオールのデザイナーだったジョン・ガリアーノと、ジバンシーのデザイナーだったアレキサンダー・マックイーンがゲイだったそうです。
アメリカ人ではグッチのトム・フォードと、ルイ・ヴィトンで村上隆とコラボレートしたマーク・ジェイコブスの2人がゲイを公言しています。
さらにシャネルのドイツ人デザイナーのカール・ラガーフェルドと日本人の高田賢三もゲイで、イブ・サンローランと3人のLGBT同士で仲が良かったそうです。

 

日経新聞に連載された「私の履歴書」で、高田賢三は次のように語っています。
「イブにはベルジェ、カールにはジャック、そして私にはグザビエというパートナーがいた。理解しにくい世界かもしれないが、パリでは決して珍しいことではない。それがモードの発信力にもなっていた。互いをつなぐ糸はさらにもつれてこんがらがってくる。ジャックとグザビエは大親友。だから私はジャックを通じて最愛の恋人グザビエと出会うことができた。イブとカールは……なんとジャックを巡る恋敵になる」
ここに出てくる6人は全員男性で、イブのパートナーのベルジェとは、「イブ・サンローラン」ブランドの共同設立者であるピエール・ベルジェのことです。
ベルジェはイブ・サンローランに出会う前に8年間、画家ベルナール・ビュッフェの恋人だったことでも知られています。後に女優アナベルと結婚するビュッフェは、LGBTで言えばバイセクシュアルだったのでしょう。

 

カールのパートナーであり、後にイブとの三角関係に陥るジャック・ド・バシェールも元貴族のゲイで、1989年にエイズによって38歳で亡くなりました。
ベルジェと別れてジャックを取ったイブ・サンローランは2008年に亡くなりました。
カール・ラガーフェルドも2019年に永眠しました。
高田賢三も亡くなり、モード界の一つの時代の終わりを感じます。
高田賢三のパートナーだったグザビエ・ド・カステラはジャックの親友で、ピカソの娘パロマ・ピカソの誕生パーティーで高田賢三と引き合わされました。
デザイナーとしてカール・ラガーフェルドと高田賢三が招待されていて、カールのパートナーとして参加したジャックが社交界の仲間であるグザビエを連れてきていたのです。
グザビエは公私にわたるパートナーとして高田賢三を支えましたが、残念ながらジャック同様、1990年にエイズで亡くなりました。
1993年に高田賢三がルイ・ヴィトンにケンゾーブランドの権利をすべて売却してしまったのは、グザビエの死から立ち直れなかったことが一因とも言われています。
まだエイズ禍が広まる前の70年代、賢三とカールとイブの3人がよく出入りしていたのがパリのオペラ座近くにあったセットというディスコです。
ここにはゲイのアンディ・ウォーホルやLGBTカルチャーに親しいミック・ジャガーやシルビー・バルタンなどが出入りしていて、パリのゲイカルチャーの拠点となっていました。

 

あの画家もLGBTだった?

ビュッフェやウォーホルをあげるまでもなく、アートとLGBTとの関わりは深いものです。
音楽でいえば、作曲家のチャイコフスキーやレナード・バーンスタインやジョージ・ガーシュウィン、ポップスターのエルトン・ジョンやレディー・ガガやリッキー・マーティンがLGBTだそうです。
文学でも、ギリシャのソクラテスに始まり、カポーティ、モーム、プルースト、ランボー、ヴェルレーヌ、オスカー・ワイルド、ジャン・ジュネ、ジャン・コクトー、三島由紀夫などが知られています。

 

DVD『カラヴァッジオ』IVC,Ltd.

もちろん画家にも多くいます。
ルネッサンスの画家でいえば、絵画の史上最高価格で知られるレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロがLGBTだったと言われています。二人とも生涯を独身で通しました。
本人のカミングアウトがあったわけではないので正確な真偽は不明ですが、描かれたモチーフや残された手紙などから、ゲイだった可能性が高いと言われています。
イタリアの画家としては、結婚していたカラヴァッジオもLGBTだったとの説があります。
そのため、ゲイの映画監督デレク・ジャーマンによる伝記映画『カラヴァッジオ』では、男性の恋人と女性の恋人との三角関係が創作されています。

DVD『天才画家ダリ 愛と激情の青春』角川書店

映画といえば『天才画家ダリ 愛と激情の青春』では、画家ダリと詩人ロルカの同性愛関係が描かれました。これも創作の部分が強く、ロルカとダリの間に親密な友情があったのは事実ですが、恋愛関係にあったかどうかは不明です。
ちなみにダリは友人の妻であったガラと、不倫からの略奪婚をしていますが、38歳で銃殺されたロルカは独身でした。
ロルカの死後、ダリは「ロルカは狂ったように私に恋していた。私は尻を二度狙われた」と冗談交じりに語っています。

 

そもそもセクシュアリティは固定的なものではなく、日本では織田信長、武田信玄といった戦国武将が、衆道といって若い男性を性の相手にしていた事例もあります。
ですから、人間の性的指向を簡単に言い表すことはできません。
ダリよりも少し前の時代には、エコール・ド・パリのマリー・ローランサンやジャン・コクトーも、それぞれ異性のパートナーがいた時期はありますがLGBTだとされています。もちろん、本人の口からカムアウトされたわけではありません。

また、現代アーティストのロバート・ラウシェンバーグは、サイ・トゥオンブリーやジャスパー・ジョーンズといった同性の芸術家仲間と恋愛関係にあったそうですが、そのことを長く秘密にしていました。
ラウシェンバーグとトゥオンブリーは後にそれぞれ異性と結婚しましたが、ジャスパー・ジョーンズは90歳のいまもなお独身だそうです。
ファッションデザインの分野に比べると、アートの分野ではLGBTの画家が特に多いというわけではありませんが、彼らの性的指向が作品にどのように反映されているかを考えてみると面白いかもしれませんね。

 

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