資産運用コンサルタント
林敬一氏のコラム

Vol.12 絵画と資産運用 その8 アートへの投資とは

2014/10/06

前回はアメリカの中間的富裕層を例にとって、彼らは資産運用という観点からではなく、オカネを「使って楽しむ」一環としてアートを買い求めているということを申し上げました。彼らは絵画の価格を結構気にしますし、ある程度の富裕層ですから当然普通の資産運用もしています。その資産運用では資産の流動性(売りたい時にいつでも売れるか)や、資産がもたらすキャッシュフローの安定性などをしっかりと見極めて投資をしています。にもかかわらず流動性が低くキャッシュフローをもたらさない絵画に相当な金額を出す動機はどこにあるのでしょうか。それは、

「アートには他の資産にはない特別の魅力があるから」です。

魅力ある絵画はいくら見ていても飽きがきません。特に気に入って購入したものであればなおさらです。現金や金の延べ棒、そして株券や債券は飾って楽しむことはしません。観賞に耐えるものではないからです。

サンタフェで知り合った彼らは買い求めた作品について、何故気に入ったのか、作家のどこが好きなのか、作家の将来性はどうかというようなことについて、友人同士で延々と話を続けていました。絵を肴にしてお酒を飲み、会話を楽しみ、人生をエンジョイするための格好の素材にしている様子がうかがえました。

彼らの会話は一見資産運用で株式投資を行っている方々の会話にも似ています。自分で気に入った企業を選び、その魅力についてあれこれ友人達と議論を交わし、お互いに勉強し合う。そして時には専門家の意見を聞きながら相場の行く末を占って将来の値上がりを楽しみに待つ。投資先選びと絵画選び、どちらも共通するものがありそうです。

株式投資の場合、銘柄選びの方法にはいくつかあって、とことん理論にこだわり割安な銘柄を探すやり方もあれば、とにかく気に入った企業の株を買うやり方もあります。気に入った企業の株であれば現在の株価や業績などは二の次にして長く保有するために買い、将来の値上がりを楽しみに待つことになります。

しかし株式投資では投資判断がうまくいかず、塩漬けということが往々にして起こります。するとせっかく将来の楽しみのために投資をしたのですが、株式を保有していること自体が大きなストレスとなってみなさんに降りかかります。ところが絵画への投資(あえて言葉を合わせるために投資という言葉を使います)は、ストレスどころか保有し飾って鑑賞することが、ストレス解消にもなるほど楽しみをもたらしてくれます。

同じ資産運用だとしても、ここが株式投資と絵画投資の大きな違いです。

私は資産運用の専門家としては一風変わった投資法をお薦めしています。それはストレスを生じない「ストレスフリーの資産運用」というもので、相場に大きく左右される株式投資などは決してせずに、超安全な債券だけに投資をしましょうというものです。債券は100で買ったものが100で償還され、その間は約束された利子がプラスとして入りますので、かなりストレスフリーに近いのですが、それでも一切のストレスがなくなるかと申しますと、どうしても多少のストレスはかかってくることになります。買った債券を部屋に飾って楽しめるかと申しますと、もちろんそんなことはできません。株券も債券も最近は実際の券面は印刷されていなくて、銀行口座と同じく電子的に名義・金額が登録されるだけです。

その点、大好きな絵画への投資は実物を飾ることで日々の生活を豊かにし、価格変動に煩わされることもなく、本当のストレスフリー投資により近いのかもしれません。

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