資産運用コンサルタント
林敬一氏のコラム

Vol.13 絵画と資産運用 その9 アメリカ人の資産運用

2014/11/07

前回はアートへの投資の魅力とはなにかという問いに対し、

「アートには他の資産にはない特別の魅力があるから」

という回答をいたしました。では、それを楽しんでいるアメリカ人は、実際の金融資産の運用はどのようにしているのでしょうか。今回からアートを楽しむための裏付けとも言える資産運用について書いて行くことにします。

資産運用で最も大事なことはまず次の二つだということを以前申し上げました。

①資産が十分な流動性を持つこと

②資産がコンスタントなキャッシュフローをもたらしてくれること

そしてそれにプラスして私は独自の考え方として、

③超安全でストレスフリーであること

これが私が唱え、私のブログのタイトルにもなっている「ストレスフリーの資産運用」です。株価の上下によって毎日の気持ちが浮き沈みしたりすれば、耐えがたい苦痛をもたらします。現役の方は仕事に差しつかえるかもしれませんし、リタイアされた方は楽しいはずのリタイア生活が台無しになってしまうかもしれません。中にはそれによってうつ状態になってしまう方がいらっしゃいます。私のブログには、読者の方が実際に経験をされた経験談がたくさん載っていて、私の提唱する資産運用に方針変更することで「人生が変わった」とまでおっしゃる方が多数いらっしゃいます。

サンタフェで出会ったリタイアメント・コミュニティで暮らす裕福な方々は、私の唱える「ストレスフリーの資産運用」に近い運用をしている方が多かったのです。もしそれらの方々が日本の個人投資家同様、相場に大きなストレスを感じながら資産運用をしているとしたら、絵画投資どころではないはずです。

今回からみなさんも興味をお持ちだと思いますので、アメリカ人の資産運用をご紹介しましょう。アメリカ人の典型的な資産運用の例として、2人の実例を紹介します。

リタイアする前にどうやって資産を築いてきたのか見てみます。まず典型的サラリーマン生活を送ってリタイアに近付いてきた50歳代のAさんの実例を取り上げます。もともと運用する資産などなかったAさんの資産運用は、給与を積み立てリタイアに備えるごく一般的資産運用です。アメリカでは古くから導入され、10年数年前から日本でも導入された確定拠出年金制度である401Kに長年加入してきました。確定拠出年金とは、毎月給与のうちの一定額を非課税で積立ますが運用は自主判断で行い、あとで取り崩す年金額は運用の巧拙により左右されるものです。

本家アメリカの401Kは、ほとんどのいわゆるサラリーマンが加入している年金制度です。この制度のポイントは運用をどうするかです。私の友人は小売業界に勤め、資産運用はおろか金融の知識などほとんどないため、一括して専門のアドバイザーに運用を依頼しています。アドバイザーは毎年一定のフィーを取りますが、年齢に応じたリスクの取り方のアドバイスと共に、具体的投資対象を提案します。提案を採用するか否かは加入者の判断によりますので、強制されることはありません。

年齢に応じたリスクの取り方の典型的方針は、年齢の若いうちはリスクのある株式での運用を多目に、安全な債券での運用を少な目にします。比率は本人の考え方にもよりますが、3分の2くらいを株式、3分の1くらいを債券というのが若いころの目安です。年齢を経るに従って株式比率を低下させ、安全な債券にシフトしていきます。50代では半々くらい、60歳を過ぎたリタイア世代なら少なくとも3分の2、多ければほとんどを債券にして確実な金利収入を得るようにします。

そしてここが一番肝心なのですが、アドバイザーは個別株式の銘柄を薦めることはしません。本人もアドバイザーも、個別銘柄の先行きを的確に予想する能力などないと思っているからです。そのかわりアドバイザーは成績のよいファンドを選定する目を売り物にしています。私もその選定眼には驚かされました。

次回は私の友人が実際にどのような運用をしてきたか、具体例をお示しします。

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