アートコラム

草間彌生美術館がオープン!

2017/10/23

 

日本の人気現代美術家といえば、誰が思い浮かぶでしょうか?
メディアで話題になったのは奈良美智、村上隆などですが、その中でも翠波画廊で最も多く問い合わせがある人気作家は、草間彌生です。
2014年には、イギリスの美術専門誌「THE ART NEWSPAPER」が、全世界の美術館来場者数調査から、
「いま最も人気のアーティスト」として草間彌生を選出しました。
2015年10月のサザビーズ香港のオークションでは、代表作「無限の網」シリーズの「No. Red B」が
手数料込み8億4500万円で落札されました。これは日本人の絵画のオークションレコードです。
2016年、彼女はアメリカ「TIME」誌の「世界で最も影響力のある100人」に、唯一の日本人として選出されました。
そして2017年10月、本人による、地上5階地下1階の草間彌生美術館が開館しました。

 

 

草間彌生は1929年、長野県松本市の裕福な旧家の末娘として生まれました。アンディ・ウォーホルより1年遅く、ジャスパー・ジョーンズより1年早い、アメリカのポップアーティストとほぼ同世代です。

草間は幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされ、絵を描くことで精神の安寧を得てきました。
小学校卒業後、五年制の高等女学校に進学した草間ですが、絵画への情熱止みがたく、卒業後に美術工芸学校に編入して日本画の技法を学びます。
その後、実家に戻って絵を描き続けるものの、旧弊な日本では女性画家は認められないと感じ、1957年、28歳でアメリカへ渡ります。
渡米前の草間が、相談の手紙を送っていたのは、アメリカの女性画家、ジョージア・オキーフでした。オキーフは同じ女性として彼女を励まし、渡米を支援します。

草間がニューヨークに着いた1957年は、ジャクソン・ポロックが自動車事故で亡くなった翌年でした。
それは、抽象表現主義から、ミニマルアート、ポップアートへと、ニューヨークのモダンアート(近代美術)シーンが転換していく時代でもありました。
草間彌生が幼い頃からこだわり続けた水玉模様のポップ性や、反復して画面を埋め尽くす模様のミニマル性は、そうした時代の雰囲気によく合っていました。

1958年から制作している「無限の網」シリーズは、今もなお草間彌生の代表作として評価が高いものです。
飛行機から眺めた海の波にインスパイアされたともいわれる、画面を執拗に埋め尽くす網の目模様は、ドナルド・ジャッドやフランク・ステラといったミニマルアートの新進画家に高く評価されました。二人は草間の絵を自前で購入して、異国から来た若き女性画家を支援します。
こうして、草間彌生はニューヨークのアートシーンに確かな地位を築いたのです。

「コーヒーカップ」シルクスクリーン 3,800,000円(税別)

 

当時のアメリカのアートシーンは、公民権運動の盛り上がりもあって、過激なまでのリベラル(自由)を謳歌する雰囲気に満ちていました。草間も、単なる絵画からさらなる前衛へと足を踏み出していきます。
家具に柔らかい男根状の突起をいくつも取り付けた立体作品や、その中に横たわる裸に水玉模様だけをつけた草間本人の写真や、反戦をうたって国旗を燃やすパフォーマンスなど、フェミニズムやラブ&ピース運動ともかかわりを持った草間は、やがて「前衛の女王」とも呼ばれるようになります。
また、1968年には、草間のパフォーマンスを収めた短編映画『草間の自己消滅』を制作し、数々の国際映画祭で受賞します。当時の草間は多くの協力者を持ち、プロジェクトごとに会社を設立するほどの活躍ぶりでした。

1966年の現代美術の祭典ヴェネツィア・ビエンナーレは、草間彌生の真骨頂でした。新進作家である草間は、正式には招待されていなかったのですが、事務局に自主的な参加を打診して許可されます。
その作品は、1500個のミラーボールを屋外の芝生の上に敷き詰めた「ナルシスの庭」。覗き込むと、ぴかぴかのミラーボールの表面に、歪んだ自らの姿が幾重にも映って、眩暈がするようです。草間はさらに、作品の中に陣取り、ミラーボールを1つ1200リラ(2ドル)で観客に売るパフォーマンスを実行しましたが、さすがにこれは止めさせられました。

 

2017年春開催の「草間彌生 わが永遠の魂」より

 

2017年、88歳になり、公式の場には車椅子で登場する草間彌生は、もう当時のように裸で公道を駆けるパフォーマンスを行うことはないでしょう。
しかし、真っ赤なウィッグに、ピンクの水玉模様のドレスでテレビに出てくる草間彌生の精神は、今でも前衛(アヴァンギャルド)のままです。

2017年10月にオープンした草間彌生美術館には、そんな草間の魅力がぎゅうぎゅうに詰まっています。
入場者がゆっくりと楽しめるように時間制のチケットとなっていますが、すでに年内は予約が埋まっています。11月1日から2018年1月のチケット販売が始まりますので、気になる人はチェックしてみてください。

 

翠波画廊では草間彌生作品を多数揃えております!

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