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シェパード・フェアリーは何者か?
~それはアンドレ・ザ・ジャイアントからはじまった

イギリスのストリートアートといえばバンクシーですが、アメリカのストリートアートを代表する作家はシェパード・フェアリーです。

現役のストリートアーティストの売上高ランキングでいえば、カウズ、バンクシー、インベーダー、スティックに次いで5位につけているのがシェパード・フェアリーです。
このシェパード・フェアリーはバンクシーとは異なり、顔も明かしていて本名で活動する芸術家です。
そのため、街の建築物にステッカーを貼ったり落書きをしたりといった器物損壊の罪で20回近く逮捕されています。
ストリートアートに対する取り締まりは珍しいものではなく、あの奈良美智も2009年にニューヨークの駅での落書きで警官につかまり、24時間拘束されました。
シェパード・フェアリーをはじめとするストリートアーティストが、違法性を知りながら街中に作品を発表するのは、美術館やギャラリーと違って、多くの人の目に触れて影響力が高くなるからでしょう。
実際、シェパード・フェアリーはストリートアートによって大きく名を上げました。

 

 

遊びからはじまるストリートアート

≪ANDRE THE GIANT HAS A POSSE≫
1989年(シェパード・フェアリー)

1970年生まれのシェパード・フェアリーは、1992年にロードアイランド州の美術学校を卒業して学士号を取得しています。
しかし聡明なフェアリーは、卒業を待たず、学生の頃からストリートアート活動を行っていました。
1989年、19歳のフェアリーは、フランス人プロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントの肖像画のステッカーを作って、多くの都市に貼り始めました。
ステッカーには肖像画とともに「ANDRE THE GIANT HAS A POSSE(アンドレ・ザ・ジャイアントには仲間がいます)」と書かれていました。
このPOSSEとは、ヒップホップでよく使われるスラングで「仲間」を意味します。
もともとは「(ANDRE THE GIANT 7′ 4″, 520 lb)アンドレ・ザ・ジャイアント 2.24メートル、236キログラム」と書かれていたものに、手書きで文字を加えてストリート感を出しています。
後にフェアリーは「友人にステンシルの作り方を教えるために素材を探していて新聞でたまたま見つけて、面白いと思ったからステンシルとステッカーを作った」と語っています。
このステッカーがストリートで非常に受けて、シェパード・フェアリーを有名にしました。
1995年に作られたシェパード・フェアリーの最初のドキュメンタリー映画も『Andre the Giant Has a Posse』と名づけられています。

 

 

印刷されたステッカーはどんどん増殖する

 

≪OBEY GIANT≫
1994年(シェパード・フェアリー)

1994年、シェパード・フェアリーは有名になりすぎたこのステッカーに変更を施します。
アンドレ・ザ・ジャイアントの名前と肖像を無断で使用しているために、訴えられるリスクがあったからです。
新しいステッカーは、シェパード・フェアリーによるデフォルメ・デザインが施され「アンドレ・ザ・ジャイアント」の文字は消えて、その代わりにただ「OBEY(従え)」と記されていました。
広告デザインのキャッチコピーにはいろいろな表現がありますが、結局は「(私の言うことに)従え」と言っているだけだという皮肉がこめられています。
これは、選挙ポスターのパロディでもあり、バンクシーと同様、政治的なメッセージを発することを厭わないシェパード・フェアリーの特徴がよく表れています。
新しいステッカーは「オベイ・ジャイアント(巨人に従え)」と呼ばれてさらに人気になりました。
作者の名前が明記されていないため、シェパード・フェアリーは一時、オベイのニックネームで呼ばれていたこともあります。バンクシーのような匿名性をまとっていた時代もあったのです。
しかしステッカーの人気と前述のドキュメンタリー映画の上映は、シェパード・フェアリーを匿名のままにとどめてはおきませんでした。
なお、2017年に動画配信サイトHuluが作ったシェパード・フェアリーのドキュメンタリー映画のタイトルは『OBEY GIANT』と名づけられました。

 

 

政治的なメッセージを果敢に発信

≪HUG BOMBS AND DROP BABIES?≫
2004年(シェパード・フェアリー)

学校を卒業後に印刷会社を設立し、Obey Clothing ブランドのTシャツとステッカーを作りつつアート活動を始めたフェアリーは、商業デザイナーとしても売れていきます。
その一方で、アーティストとしての活動も充実していきました。
2004年、シェパード・フェアリーは仲間とともにイラク戦争に異議を唱える反ブッシュキャンペーンの「Be the Revolution」を行い、いくつかのポスターを制作しました。
ポスターの一つでは、赤ちゃんの代わりに爆弾を抱いたブッシュ大統領が描かれ、アメリカの子どもたちを守るために力を使うのか、それとも力を守るためにアメリカの子どもたちを使うのかと問いかけられています。
人気者であるブッシュ大統領に反対する政治的なメッセージはアーティストとしてのシェパード・フェアリーの立場を危うくする可能性がありましたが、やらずに後悔するよりはやって後悔するほうがいいと、恐れずにチャレンジしました。

 

民主党を応援するリベラリスト

≪HOPE≫
2008年(シェパード・フェアリー)

2008年、ブッシュ大統領は2期8年の任期を満了して退陣することになり、その後任として共和党はジョン・マケイン上院議員を立てました。対する民主党の大統領候補は黒人のバラク・オバマ上院議員です。
反ブッシュキャンペーンで政治的な立ち位置を鮮明にしたシェパード・フェアリーは、2008年の大統領選挙で民主党のオバマ候補を応援するためにポスターを制作しました。
自由・平等・博愛を意味するフランス国旗の三色(トリコロール)を基調に、OBEY(従え)の代わりにHOPE(希望)とだけ書かれたオバマの肖像画のポスターは大人気となり、シェパード・フェアリーをアメリカのストリートアートの第一人者に押し上げます。
このポスターは、当初はシェパード・フェアリーが個人的にオバマ候補を応援するために制作したものですが、あまりの出来の良さに公式ポスターに採択されたものです。
フェアリーはこのポスターで、ロンドンデザインミュージアムの2009年デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
この2009年には、初めての美術館での個展「需要と供給」(ボストン現代美術館)も開催されました。
個展の初日、挨拶のためにボストン美術館に向かったフェアリーは、待ち構えていたボストン警察に過去の落書きの件で逮捕されました。人気が出て有名になるのも大変です。
しかし、2010年に公開されたバンクシー監督のドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』でも、シェパード・フェアリーは顔を出して出演し、街中に大きなステッカーを貼りまくっていますから、まったく後悔していないのでしょう。
2021年のアメリカは、4年間続いた共和党のトランプ政権に代わって民主党のバイデン大統領が誕生しました。シェパード・フェアリーも喜んでいることでしょう。

 

 

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