奈良美智は世界的に有名な現代アーティストです。彼の作品の中でも特に人気が高いのが犬のモチーフです。
奈良美智の出身地である青森県の県立美術館には高さ8.5メートルの巨大な純白の犬の半身彫刻《あおもり犬》があります。
また、奈良美智の故郷の弘前市にある弘前れんが倉庫美術館にも高さ3メートルの白い犬の彫刻《A to Z Memorial Dog》が展示されています。
2023年4月、大阪府・大阪市が公開しているカジノなどの統合型リゾート（IR）のイメージ図に、奈良美智の《あおもり犬》と村上隆のフラワーデザインを無断で使ったと事業者が謝罪する騒動が起きて、注目が集まりました。

青森県立美術館は青森県青森市にありますが、奈良美智の故郷は正確には青森県弘前市です。そこで、弘前れんが倉庫美術館にある奈良美智のもう一つの犬の彫刻《A to Z Memorial Dog》もご紹介しましょう。
《A to Z Memorial Dog》は全長4.5メートル、高さ3メートルの作品で、四つ足で立ち、首をかしげた犬のかたちをしています。この彫刻は、2006年にれんが倉庫で開催された「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」展をサポートした地域のボランティアの方々への感謝の気持ちを表すために作られたものです。だからタイトルが「A to Z」のメモリアルとなっているのです。
弘前れんが倉庫美術館は、もともとは100年以上前の明治時代に建設された酒造工場の倉庫でした。「吉野町煉瓦倉庫」として知られたこの歴史的建造物が美術館として生まれ変わったのは2020年のことです。
それ以前に、建物を活用するために企画された奈良美智の三度にわたる展覧会、2002年の「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」、2005年の「From the Depth of My Drawer」、2006年の「YOSHITOMO NARA＋graf A to Z」などが何万人もの来場者を集めたため、正式に美術館としての再生が決まりました。
青森県は、東京や大阪の人には遠く感じられるかもしれませんが、奈良美智のルーツを感じられる場所への旅行となりますので、機会があればぜひ訪れてみてください。