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元永定正の絵本の世界
~詩人・谷川俊太郎とのタッグでロングセラーに

最近、翠波画廊は現代美術の取扱作家を拡充しました。
話題のバンクシーに、抽象絵画のフランク・ステラ、先日亡くなったばかりの「もの派」関根伸夫、フランスで活動したアンフォルメルの今井俊満、そして「具体美術協会」の元永定正です。
元永定正は画家としての活動だけではなく、商業出版の絵本作家としても活躍しました。
今回は元永定正の絵本を紹介します。

 

絵本作家・元永定正の出発点は英語絵本?

元永定正は1922年生まれの現代美術家です。
海外で言えば、同じく翠波画廊取扱い作家のサム・フランシスやロイ・リキテンスタインと同世代になります。
当初は漫画家を志していたそうですから、ポップカルチャーよりの気質もあります。当時の漫画といえば「のらくろ」や「冒険ダン吉」でしょうか。
その後、洋画を学び始め、具体美術協会創設者の吉原治良に認められて、協会員になります。この具体美術協会は日本の前衛美術運動の団体です。
元永定正の他には、足で絵を描いた白髪一雄や、草間彌生やオノ・ヨーコに並ぶ女性パフォーマーとして有名な田中敦子などが参加していました。
元永も「これまでに見たことのないものを作ろう」と意気込んで、抽象表現絵画の制作に取り組みました。ビニール袋に色水を入れてぶらさげた「水の彫刻」を発表したのもこの頃です。

 

元永の初めての絵本は、1973年の英語絵本『ポアン・ホワンけのくもたち』でした。
文章を書いたラクダ・コブニは、詩人の谷川雁です。
続けて『うみがたずねてきた』もラクダ・コブニとのコンビで出しています。
当時の元永は、海外に名前を売ろうとしていた時期でした。

 

『ポアン・ホワンけのくもたち』1973

『うみがたずねてきた』1975

 

谷川俊太郎とのコンビで話題を呼ぶ

絵本画家としての元永定正の名前を高めたのは、1977年、詩人の谷川俊太郎と一緒に作った『もこ もこもこ』です。
カラフルな抽象画の世界に、もこもこ、にょきにょきと現れる怪物たち。そこからお話は意外な方向へと転換し、やがて始まりのシーンにつながっていきます。
絵本業界のニューウェーブともいえる『もこ もこもこ』は当初こそ賛否両論でしたが、現在ではロングセラーの定番絵本として年代を問わず幅広く親しまれています。

『もこ もこもこ』(文研出版)1977

 

文章の力に頼らずに、赤ちゃんでも楽しめる絵の力を持つ元永の絵本は、幼児向けとして出版されるようになります。
絵本に強い福音館書店が、2~4歳児向け絵本「年少版こどものとも」として『ころころころ』、『せん』、『がちゃがちゃ どんどん』を続けて出版しました。いずれも、文章まで元永自身が作りました。
幼児でも楽しめるように、ほとんど擬音だけで構成された楽しいシリーズです。

 

 

年少版こどものとも『ころころころ』(福音館書店)1984

年少版こどものとも『せん』(福音館書店)1988

年少版こどものとも『がちゃがちゃ どんどん』(福音館書店)1990

 

 

言葉遊びと抽象絵画の幸福な出会い

次に話題になったのが、ジャズ・ピアニスト山下洋輔と組んだ『もけら もけら』です。
当時の山下洋輔一派はタモリとつるんでハナモゲラ語というナンセンスな言葉遊びを楽しんでいました。「外国人の耳に聞こえる日本語」をモチーフに、ユニークな音感と言語センスが炸裂した傑作絵本です。

『もけら もけら』(福音館書店)1990

 

しばらく間をおいて5~6歳児向け絵本「こどものとも」として出版された『カニ ツンツン』は、「イーニ ミーニ ムー ロッシーニ シショーニ スプモーニ トトーニ スイート トスカニー」といった言葉がすべてのページに並ぶナンセンス絵本で、リズムが良いので声に出して読みたくなります。
谷川俊太郎の友人の英文学者・金関寿夫が文章を書きました。

こどものとも『カニ ツンツン』(福音館書店)1997

 

私が個人的に最も好きなのは『いろながれ かたちうごいて ぱぴぷぺぽ』です。
これまで抽象画絵本とはいっても、子ども向けにユーモラスなかたちで、彩度の高いカラフルな絵を描いてきた元永が、福音館書店を離れて、水彩画のにじみやぼかしを活かした新しい表現に取り組んでいます。見ていて不安になるような狂気も感じられます。

『いろながれ かたちうごいて ぱぴぷぺぽ』(光村教育図書)1999

 

 

幼児向け絵本で大活躍した晩年

2000年代になると、また福音館書店から幼児向け絵本のシリーズに取り組みました。
幼稚園児向けの「こどものとも」よりさらに年少の0~2歳児向けの「0.1.2えほん」シリーズが新たに創刊され、そこにも起用されました。
ようやく時代が追いついたのか、元永は絵本を量産しています。

 

こどものとも年中向き『かげひかり』(福音館書店)2004

0.1.2えほん『しろろん くろろん』(福音館書店)2005

0.1.2えほん『きたきた うずまき』(福音館書店)2005

 

 

こどものとも『いろ いきてる!』(福音館書店)2006

『ちんろろきしし』(福音館書店)2006

 

 

0.1.2えほん『おおきい ちいさい』(福音館書店)2008

0.1.2えほん『わ』(福音館書店)2010

 

2010年代には、『もこ もこもこ』を制作した詩人の谷川俊太郎と再びコンビを組んで、いくつかの絵本を出版します。
しかし、この頃にはすでに身体が病にむしばまれていました。
2011年、元永定正は惜しまれながら88歳で亡くなりました。
その後に出た『どん』は、元永定正の絵に、俳人・坪内稔典が言葉を付けた絵本です。
生前に描き貯めていた絵に、谷川俊太郎が後から文章を付けた『あみだだだ』が、最後の絵本となりました。

 

『ココロのヒカリ』(文研出版)2010

『おははししましょう』(福音館書店)2011

 

 

こどものとも年中向き『どん』(福音館書店)2012

『あみだだだ』(福音館書店)2014

 

 

元永定正作品一覧はこちら >>

 

 


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