アートコラム

覆面画家バンクシーの姿が見られる映画

2020/06/09

2020年5月25日に起きた、白人警官が手錠をかけて拘束した黒人男性の頸部をおさえつけて窒息死させた事件に対して、全米で人種差別に対する抗議デモが2週間続いています。
著名人も抗議の声をあげるなかで、何とあのバンクシーも最新作で呼応しました。黒人の遺影の前に置かれたアメリカ国旗がろうそくの炎で燃えている絵を、自身のインスタグラムで発表したのです。

 

絵には次のような文章が添えられています。

 

「(私は黒人ではないので)当初は黙って黒人の声を聞くべきだと思っていた。けれどそれは間違いだった。これは彼らの問題ではなく、(白人である)私の問題だ。有色人種はシステムによって疎外されている。白人のシステムだ。壊れたパイプがアパートの下の階の住民を水浸しにするように、この壊れたシステムは有色人種の生活を悲惨にしている。直すのは彼らの仕事ではない。彼らにはできない。アパートの上の階に入れてもらえないからだ。これは白人の問題だ。もし白人が直せないのなら、誰かが上の階に来てドアを蹴破るだろう」

 

皮肉や揶揄ではないまっすぐなメッセージをバンクシーが発するのは珍しいことです。それだけ深刻な問題だととらえているのでしょう。

 

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インスタグラムとユーチューブの時代のヒーロー

ストリートアーティストは、だんだんと現代美術のメインストリームに近づいています。
ウォーホルは知らなくてもバンクシーは知っているという人も少なくありません。
2020年は横浜と大阪で「バンクシー展 天才か反逆者か(BANKSY GENIUS OR VANDAL?)」が開かれています。コロナウイルス感染拡大防止のため、開始直後の3月28日から5月29日までおよそ2カ月間休業していましたが、現在は展示を再開しています。

 

このバンクシーが、以前に映画を撮っていたことをご存じですか?
2010年にバンクシーが監督した映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は、その年のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされたほか、シカゴ映画批評家協会ドキュメンタリー映画賞受賞など、数多くの栄冠に輝きました。
いったい、どんな映画だったのでしょうか?

 

Banksy《愛はごみ箱の中に》

画家が映画を撮影することはそれほど珍しいことではありません。
アンディ・ウォーホルや草間彌生も、自らの芸術作品として映画を撮っていました。
2019年に日本公開された映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』の監督ジュリアン・シュナーベルは、もともとは新表現主義の画家でした。
ちなみに彼のデビュー作はジャン=ミシェル・バスキアの伝記映画『バスキア』です。これは、親交のあったバスキアの早すぎる死を悼んだものだそうです。

 

そのバスキアと同じくグラフィティアーティストから出発したバンクシーは、今や世界で最も有名な現代アーティストになりつつあります。
バンクシーの作品の多くは、街の壁などに描かれますが、バンクシー自身によるインスタグラムで、写真作品として公開されるため、誰でも見ることができます。

オークション会場で落札直後に細断された≪風船を持った少女≫(後に≪愛はごみ箱の中に≫と改題)も、インスタグラムに載せた映像によって種明かしがされました。
インターネット上のソーシャルメディアの普及によって、アーティストは必ずしも大手メディアの力を借りずとも、自作の絵や映像を多くの人に届けることが可能になったのです。

 

 

ドキュメンタリーか、アート作品か?

2010年の映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は、バンクシーの初監督作品という触れ込みで、アメリカのサンダンス映画祭で上映されて評判になりました。

映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』
DVDジャケット

 

この映画は当初、ストリートアート全般のドキュメンタリーとして始まります。映画の主役として登場するのはフランス系アメリカ人のティエリー・グエッタ。
アメリカで古着屋を経営してそれなりに成功しているティエリーは、偶然、自分の従兄弟がフランス人ストリートアーティストのインベーダーであることを知ります。そこからティエリーは、古着文化とも通じるストリートアートにはまっていきます。
このティエリーの趣味の一つがビデオ撮影でした。彼は毎日ビデオカメラを持ち歩き、友人から家族までいつも撮影しています。
ストリートアーティストが深夜に無断で「落書き」していく様子を、危険を冒して一緒に撮影するティエリーに「ドキュメンタリー映画を撮ってみたらどうだ」と提案したのがバンクシーです。
ストリートアーティストたちと親交を深めたティエリーは、いつしかバンクシーとも交流するようになっていたのです。

このように書くと、この映画はティエリーが撮影した素材をバンクシーがまとめたものであるかのように思えますが、実は違います。
ティエリーが作った映像作品は斬新すぎてまったく使い物にならず、匙を投げたバンクシーは、「ぼくがきみのドキュメンタリーを撮るから、きみが逆に現代アーティストになればいい」と、適当に煽るのです。
こうしてアーティスト名をミスター・ブレインウォッシュ(洗脳)として再出発したティエリーですが、バンクシー効果か何なのか、いつのまにか人気アーティストの仲間入りをします。その一部始終を記録したのが映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』です。
映画には、正体不明とされるバンクシー自身が出てきて喋るシーンもあります。もちろんフードを深くかぶって声も変えているので、その真の姿を知ることはできません。
また、バンクシーだけでなく、インベーダーやシェパード・フェアリーやロン・イングリッシュといった有名ストリートアーティストも出てきます(クレジットによれば、インベーダーは当時スペース・インベーダーの名前で活動していたようです)。

 

 

どこまでがウソかマコトかわからない

この映画は、実体が伴わないままに人気の出てしまう現代アートを揶揄したもののようにも見えます。
一方で、アートには実質的な価値なんかないと、アート業界そのものを批判しているように受け取ることもできます。
映画の真意はいったい何処にあるのでしょう。
ミスター・ブレインウォッシュには本当にアーティストの才能があったのか、それとも、アーティストの才能がないのにバンクシーの名前と大々的な宣伝で売れただけなのか、あるいは、そもそもこの映画自体がフェイク・ドキュメンタリーなのか。
映画の真実がどこにあるにせよ、この映画自体はいつもどおりのバンクシーの作品として、強烈なメッセージを発しています。
ちなみに映画のタイトルを直訳すると「出口はお土産屋を通って」になります。これは美術館などで必ず出口前にギフトショップが設置されていることを皮肉ったものです。
しかし、バンクシーが最初に考えていたタイトルは「クソのような作品をバカに売りつける方法」だったとか。

 

MADONNA『CELEBRATION』2009
(ミスター・ブレインウォッシュ)

 

バンクシーの名前が冠された映画作品は他にもいくつもありますが、バンクシー自身が監督した本作は出色の出来です。
あまりの面白さに、フィクションではないかと思った人もおおぜいいたようですが、調べたところミスター・ブレインウォッシュは実在のアーティストです。
2009年には、マドンナのベスト・アルバム『セレブレイション』のジャケットにも起用されて、話題を呼びました。
ウォーホルのマリリン・モンローや、バンクシーのケイト・モス、あるいはバーバラ・クルーガーの文字列を想起させるこの作品はフェイク臭がぷんぷんしますが、マドンナに認められたアーティストとしてミスター・ブレインウォッシュの名声は上がりました。
現在では、アートプライスの2019年ストリートアーティスト売上ランキングでも、堂々の10位にランクインしています(バンクシーは4位)。

 

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