資産運用コンサルタント
林敬一氏のコラム

Vol.16 絵画と資産運用 その11

2014/12/24

前回まで3回にわたり私の友人でアメリカ人の典型的サラリーマンであるAさんの資産運用の中身を覗かせていただきました。サンタフェに住む比較的裕福なアメリカ人のリタイアした方々とは違い収入も中程度の方ですが、これまでの運用がとてもうまくいっているため、65歳くらいまで働けば自分で作り上げた年金で悠々自適のリタイア生活を楽しめそうです。アメリカ人の場合、この方がたまたまラッキーというわけではなく、ごく普通に積み立て運用した結果がとても良好なのです。その基礎は長期に渡るアメリカ経済の好調さにあると思います。

ニューヨークの郊外に住むAさんは実はアート好きで、特に絵画を家に飾るのを楽しみにしています。ご自分でギャラリー巡りをしては気に入ったアーティストを見つけ、年に2-3枚は購入されているとのこと。彼の家のリビングや廊下は、絵画であふれかえるほどです。アートの選択はどうされているか話を聞きますと彼はギャラリーを巡るのが大好きで、ご自分の住む郊外の町や働いているニューヨーク市内だけではなく、旅行先でもギャラリー巡りが最大の楽しみの一つだとのこと。そして信頼のおけるギャラリーのオーナーの顔見知りが何人かでき、その方々からアドバイスを受けているのだそうです。

彼の家のリビングには一枚のご自慢の絵が掛っています。それはモダンアートで、若手のアーティストの絵です。1枚を数千ドルで購入したのですが、そのアーティストの絵の値段は毎年値上がりが続いていて、遂に数万ドルの単位になってしまったのだとか。彼は決して投資のつもりで購入したのではなく、あくまでお気に入りの一枚を買っただけなのですが、たった数年で10倍もの値上がりをしたのです。彼は一番お気に入りの絵画がたまたま大きく値上がりしたことで、自分の鑑識眼も捨てたものではないと自慢していました。

こうしたことがしょっちゅう起こるものではないと思いますが、自分の鑑識眼を磨くこともまた絵画鑑賞の楽しみの一つになると思います。私の絵画鑑賞の楽しみの一つを申し上げますと、街のギャラリー巡りをするときに目に留まった絵画の値段を当てることです。東京でギャラリーがたくさん集まっている銀座や八重洲のギャラリーの場合もあれば、旅行先のサンタフェやカーメル、そして家内とときどき行くフランスの田舎町のギャラリーでも同じことを試みます。

具象画ですと筆の確かさや色彩感覚などで腕の巧拙が出やすく値踏みしやすいのですが、面白いのはモダンアート、それも抽象画です。抽象画を好きでない方にとっては何を書いているか全くわからない絵画に価値があること自体が奇怪なのかもしれません。しかしそうした絵画でもギャラリーではそれなりの値段が付いています。それを当てるのは実に面白いのです。

例えばギャラリーのたくさんある界隈を歩きながら絵画を店の外から見ては勝手に値段を付け、お店の中で値段を聞いてみます。面白いですよ、みなさんも是非試してみてください。そうしたことを長く続けると有る程度絵画の値段を見極める鑑識眼が養われていきます。

それが楽しみになってきたら是非次のステップに進んでみましょう。それはご自分の鑑識眼を頼りに、割安な絵画を探すのです。私は自分が購入する絵画を選定する第一の基準はその作品が好きかどうかです。しかし資産運用のコンサルタントである私の第2の基準は、付いている値段が妥当であるか、もしくは作家の将来を見据えて割安であるか否かです。自分が気に入り20万円の価値ありと踏んだ絵画の値段が10万円と付いていたら、迷わず買ってみましょう。10万円も得するのですから(笑)。

こうしたことも楽しみの一つとすることで、みなさんの絵画鑑賞の楽しみが大きく拡がることをお祈りし、私の連載を終了させていただきます。

これまでこの連載をご覧いただき、誠にありがとうございました。

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