資産運用コンサルタント
林敬一氏のコラム

Vol.6 絵画と資産運用 その3

2014/06/19

 前回は「欧米の本当の資産家はキャピタルゲインを目指す運用より、元本を安全資産に置いて、そこからインカムゲインを得ることを重要な目標にしている」という話をしました。そうした資産家にはたいてい資産運用のアドバイザーがついていて、資産家本人のリスク許容度を様々な尺度で推し量り、超安全な債券投資からスタートし、徐々にリスクの取り方を拡げ株式や実物資産であるゴールド、不動産などを含めるようにしていきます。その実物資産のひとつとして絵画などのアートが選択肢の一つに加わります。

 一方リスクをさらに分散するためには「オルタナティブ投資」と呼ばれる投資法が加わります。オルタナティブ投資とは従来の伝統的金融商品とは異なる金融商品への投資という意味で使われます。投資対象はリスクの大きなヘッジファンドへの投資だったり、プライベート・エクイティへの投資、商品相場への投資やアートファンドへの投資だったりします。

 オルタナティブ投資という言葉は直訳すると「代替資産への投資」となり、「超リスキーな賭け事」とのニュアンスが消えてしまいます。投資をされるみなさんが時々耳にする「ハイイールド債券」という言葉と同じです。ハイイールド債券とは、実はいわゆる投資適格以下の「ジャンクボンド」への投資なのに、それをオブラートで隠すために「ハイイールド」などという聞こえのよい言葉を使用しているのです。こうした投資銀行や証券会社の使う言葉には十分にご注意ください。

 話を戻します。個人がアートに直接投資するのはリスクが大きいため、欧米では「Art & Finance」という専門分野の知識を身につけたアドバイザーを頼ることになります。これはアートの専門家が資産運用に入りこむのではなく、資産運用の専門家がアートの知識を身につけてクライアントに投資アドバイスを行うものです。

 伝統的なプライベートバンカーは、富裕層に取り入るため様々なツールを身につけていました。典型的な例としては超一流のホテルやレストランを訪れる旅で顧客をもてなしたり、手に入りにくいバイロイトやザルツブルグの音楽祭のチケットを用意したり、一般には公開されていないアートを見る機会を提供したりしていました。ところが昨今は多くの規制で個人が接待を受けることが難しくなったため、より高度な専門知識を持ってクライアント・サービスを行う必要性が出てきました。

 そうなると伝統的プライベートバンカーの手には負えないため、例えばアートへの投資ではArt & Financeという分野を勉強したプロフェッショナルに頼ることになるのです。

 アドバイスの実例をいくつかご紹介しますと、

1.プライベート・バンクがアートの専門家と組んでアドバイスする

2.アート専門の投資銀行がアドバイスする

3.監査法人のアドバイザリー部門がアートへの投資アドバイスを行う

4.アート・オークション会社がアドバイスを行う

5.ギャラリーがアドバイスを行う

 では一体専門家は何をアドバイスするのでしょうか。

 大概の場合まず以下のようにアート市場の情報提供を行い、次に購入の手伝いをし、アドバイスに対する報酬を受け取ります。

①アート市場全体の動向を調査し、情報を提供する

②今後価格の上昇しそうな分野、アーティストを特定する

③投資対象を探し当て、購入に結びつける

 この手順、みなさんどこかで見たことありませんか。そう、株式投資のアドバイスと同じ手順です。

つづく

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