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風の音が聴こえる作家ブラジリエ
~広大な大地を駆ける馬は何を語っているのか

画商にとって画家と良い関係を作ることはとても重要なことです。
世界的な有名画家から直接作品を仕入れることができると、質の良い人気図柄を選んで注文することができますし、作品の真贋を心配しなくてすみます。
セカンダリー・マーケットには有名画家の人気図柄の作品はなかなか出てきません。また、セカンダリー・マーケットでは、物故作家(亡くなった画家)の場合は正規の鑑定機関が発行する鑑定書を付けて売り買いがされますが、現存画家の作品は売り買いの際に鑑定書を付けなくても良いので、贋作が紛れ込んできます。
そのため翠波画廊では、カシニョールやブラジリエなどとお会いして直接作品を購入できるルートを作ってきました。ところが5年程前、ブラジリエから、油彩に関してはアメリカの大手画廊と独占販売の契約を結んだので、他の画廊に売ることができなくなったと言われました。

▲「空と馬」 2009年 油彩 20号

 

ブラジリエといえば、躍動感のある馬の絵が特徴的で、特に人気があります。印象派のドガ以来、上流階級の趣味としての競馬や乗馬が、絵画のテーマとして一般的になってきました。競馬や乗馬はお金のかかる趣味ですが、絵画を買うような富裕層にとっては馴染みの深いもので、それらが描かれた絵は世界中で好まれます。上流階級の出身であるブラジリエは、フランス貴族のたしなみであった競馬や乗馬などにも造詣が深く、自然とそれらを描くことができました。日本でも飛躍をイメージさせる縁起物として、馬の絵は人気があります。

ブラジリエは1929年、北フランスのソミュールにて、画家の両親のもとに生まれました。親戚には他に彫刻家や数学者や軍人がいるなど、上流階級の生まれだったので、幼い頃は何不自由なく育ちました。

 

1949年、20歳になったブラジリエは、パリの美術学校(エコール・デ・ボーザール)に入学します。ここの校長だった建築家のポール・トゥールノンが、ブラジリエ家の古い友人で、画家志望の少年の背中を押してくれたからです。順調に成長したブラジリエは、ローマ・グランプリ賞、シャルル・モレ賞など、20代でいくつかの賞を受賞します。順風満帆な船出でした。そして、29歳で結婚をした後は、パリのモンパルナスに住んで画家としてのキャリアをスタートさせます。30歳でパリのギャルリー・ヴェルにて初めての個展を開催した後は、ジュネーブやニューヨークなど、海外でも個展が定期的に開かれるようになります。東京での初個展は1974年、35歳のときです。まだバブル景気の始まる前の日本でも、ブラジリエは高く評価されました。

 

現在、ブラジリエの作品は、セカンダリー・マーケットではどのくらいの価格で取引されているのでしょうか。今回、紹介するのは、2017年時点で、ブラジリエ作品のオークション・レコードとなっている「ネプチューンの馬」です。2016年10月22日に上海のクリスティーズ・オークションにて手数料込み180万人民元で落札されました。これは、当時の為替レートで換算すると、約2800万円になります。

▲「ネプチューンの馬」 1977年 油彩 197 x 246 cm

 

実は、ブラジリエの作品の中でも、馬の絵は比較的高く取引される傾向があります。ブラジリエといえば「馬」のイメージがあるので、多くの人が馬の絵を欲しがるため、価格が高騰するのです。また、アジアでは馬は飛躍をイメージする縁起物として好まれます。馬ばかりでなく、淡麗な色彩で描かれる女性の絵や風景画も、ブラジリエの得意とする画題です。ブラジリエの絵は、数色の限定された色と単純化された構図が特徴ですが、対象の固有色を無視したピンクや青色の馬は、マティスの影響が見られます。色彩が与える心理効果がじつに良く考えられていて、眺めていると気持ちがよくなります。

 

2017年で88歳になるブラジリエ御本人は、あまり人と会うことはないのですが、マネジメントを行っている息子のアレクシ・ブラジリエとは親しい仲です。パリに出張したときには、リュ・デュ・バックにあるアレクシの店に必ず立ち寄って、情報交換を兼ねつつ、他愛のない会話を楽しんでいます。

 

ある時、うちのお客様からブラジリエの競馬場を描いた古い版画を探せないかと相談を受けました。版画については今でも直接購入することができるので、息子のアレクシにそのことを伝えてみました。アレクシは「申し訳ない、その版画は売り切れてしまった」と言いつつも「でも、何とかなるかもしれない」と前向きな返事をくれました。その話から10日程して、パリのアレクシからチューブ状の荷物が届きました。開けてみると、なんとお客様が探されていた版画が入っていました。すぐアレクシに確認すると、ブラジリエ本人がアトリエに保存していたEA版(作家保存版)の版画が数枚あったので、1枚くらいお客様に譲っても大丈夫だろうと、送ってくれたとのことでした。早速、お客様にその旨を伝えたところ、とても喜んでくださり、ご購入していただきました。

 

近年、ブラジリエはミュージアム作家(美術館に作品が飾られる作家)になりつつあります。
現在は、パリ美術館やオランダ美術館に作品が収蔵されているほか、2005年には、ロシアのエルミタージュ美術館で回顧展が開催されたことでも話題になりました。
まだブラジリエをじっくりと見たことがない方は、ぜひ一度、作品をご覧になっていってください。

 

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