アートコラム

ハンス・イヌメが人気になった理由

2019/05/28

翠波画廊代表・髙橋芳郎の新しい書籍が発売になりました。
タイトルは『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』。
6つの法則とは、「遊び力」「物語力」「俯瞰力」「観察力」「共感力」「類推力」のことです。
今回は、その中の「物語力」の章から、ハンス・イヌメについて書かれた部分を抜粋してご紹介します。

 

 

インフルエンサーが広める現代のストーリー

ストーリーや物語は太古の昔から強力な影響力を持っています。
文字がなかった太古の昔から口伝てで延々と伝えられてきたものが神話です。
そこには単にストーリーとしての面白さだけではなく、生き延びるための先人の知恵やコミュニティのあり方などが、ノウハウとして盛り込まれていました。
「汝、殺すなかれ」のような戒律を作って教え込むよりも「他人を辱めて殺した吉良上野介は47人の浪士たちに襲われて切り殺された(忠臣蔵)」といったストーリーのほうが人々の記憶にも残るし、クチコミで広がってより効果的だからです。
クチコミといえば、ユーチューブやツイッターやフェイスブックといったネット発のヒット事例が後を絶ちません。
これらは、そのもの自体が持つストーリーというよりも、影響力のある有名人(インフルエンサー)が紹介したという、メタ的なストーリーに反応している部分が強いでしょう。その事例を一つ紹介します。

 

 

ハンス・イヌメはどのように売れたのか?

クラウディア・シファーと作品

私たちの契約画家であるオランダのハンス・イヌメの作品を初めて見たのは、パリのヴォージュ広場にある画廊でした。かれこれもう20年ほど前のことです。
中に入ると、わりと広い画廊スペースに、大小の作品がところ狭しと飾られていました。
いったいどの位の値段なんだろうとプライスカードを見ると、価格の上に全て売約済みの赤いシールが貼られています。展示会の会期中に作品が完売するなんてすごい画家だと驚きました。
のちにその時のことをイヌメ自身が教えてくれました。
展示会前日に、オランダから作品を運んで翌日から始まる展示会の準備をしていたところ、画廊の外から様子を見ている女性がいることに気づきましたが、気にせずに作業を続けました。
持ち込んだ作品の梱包を解き終わって、壁に飾るために床に絵を並べ終わったところで、外から作業の様子を見ていた女性が入り口のドアを開けて顔を覗かせました。
そして「この作品は、今買うことはできるのですか」と聞いてきたそうです。
「もちろん、どうぞ」と招き入れたその女性をよく見ると、なんとスーパーモデルのクラウディア・シファーでした。
値段を聞かれたので伝えると、その場で11点の作品を選んで買ってくれたそうです。
しかし話はここで終わりません。 彼女はその日の夜のテレビに出演が決まっていて、生放送の番組で「私、今日とてもいい出会いがあってハッピーなの」と、イヌメの作品との出会いとその魅力をテレビで話してくれたそうです。
さすがにテレビの影響は大きく、翌日から人が押しかけ作品は完売したそうです。

 

 

よいものをお客様に届けるためのストーリー

 

これは1999年の話ですが、もし当時インスタグラムやフェイスブックがあったとしたら、作品の写真がネットにアップされて、インターネットを通じてもっと広くファンが増えたに違いありません。
このように「有名人がファンになった」、「通りがかって一目ぼれした」、「その場で11点を買い上げた」などのストーリーがあることで、その画家の作品に後光がかかって見えるようになります。
その絵を気に入って買ってくださるお客様であっても、作品自体がただあるよりも、何かしらのストーリーがあったほうが喜ばれます。
どのような画家が何を考えながらどのように描いたか、どのような思いでどのような人が買っていったか、そしてどのような人の手を経て、いまここにあるのかなど、絵にまつわるストーリーはいくらでもつむぐことができます。
絵に限らず、モノはただそこにあるだけではただのモノにすぎません。
しかし、売る人が自分の感情をまじえながらお客様にストーリーを伝えていくことで、この世界に立った一つの大切な宝物に変貌するのです。

 

現在、翠波画廊では「ハンス・イヌメ来日絵画展」を開催しています。2019年6月1日までなので、お見逃しのないようぜひ足をお運びください。

 

また、翠波画廊の新刊『アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」』は、全国の書店もしくはアマゾンなどのネット書店で購入できます。

 

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著者紹介 髙橋芳郎

株式会社ブリュッケ代表取締役。愛媛県出身。美術大学で彫刻を専攻する過程で、人々の生活に溶け込む平面表現の魅力に目覚め、絵画の世界へ転向。卒業後、都内の画廊での修業を経て、1990年に独立。東京・銀座に、故郷の秀峰の名を冠した「翠波画廊」をオープンさせる。以降29年の長きにわたり、ピカソ、マティス、藤田嗣治、ユトリロ、ローランサン等、絵画愛好家なら誰もが知っている巨匠の作品を数多く扱う。特に20世紀初頭に活躍したフランス近代の画家に造詣が深い。
2017年『「値段」で読み解く魅惑のフランス近代絵画』(幻冬舎)を出版。美術書としては異例の売り上げを伸ばしている。

 

 

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著者:髙橋芳郎

 

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