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エコール・ド・パリに咲いた徒花
~映画『リリーのすべて』に見るLGBTの画家アイナー・ヴィーグナーの足跡

エコール・ド・パリの時代、パリに集まった外国人画家を調べたところ、ユダヤ人が多いためか、ロシアやポーランドなど東欧の画家が目立ちました。ところが、その隣にある北欧4か国の画家は意外と見つかりませんでした。北欧の画家といえば、ノルウェーのムンクが有名ですが、ロートレックと同世代のムンクがパリに住んでいたのは19世紀末で、20世紀初頭にはノルウェーに帰っています。

 

しかし、当時のパリの隆盛ぶりを考えれば、北欧の画家がいないはずがありません。
そう考えて探したところ、意外な画家が見つかりました。

 

アイナー・ヴィーグナー「湖畔の夕べ」1918年

映画にもなったその画家の名前は、アイナー・ヴィーグナー。デンマークの画家です。アイナー・ヴィーグナーは、一般的にはリリー・エルベという別名で知られています。このリリー・エルベは、画家としてよりも、世界初の性転換手術(性別適合手術)を受けた、性同一性障害の患者として有名になりました。
1882年に、デンマークで男性として生まれたアイナー・ヴィーグナーは、いつからか女性の格好で暮らすようになり、1930年に47歳で性転換手術を受けて女性の身体を持つようになったのです。
その生涯は、本人が1931年に出版した自伝のほか、小説の題材にもなり、2016年日本公開の映画『リリーのすべて』で広く知られることになりました。

 

性同一性障害を抱えた人は太古から一定数いたと思いますが、アイナーの場合は21歳で女性画家ゲルダと結婚して、手術を行った47歳までずっと結婚生活を続けていたところに時代のくびきを感じます。結婚が当然の社会であれば、性同一性障害であろうとも、社会の規範に従って結婚しなければならないからです。だからといって、お互いの気が合わなければ結婚生活は続きません。アイナーとゲルダは、とても仲の良い夫婦でした。映画によれば、アイナーが女性の格好をするようになったきっかけの一つは、ゲルダが頼んでいた女性モデルが現れず、線の細かったアイナーに絵のモデルになってもらうため、女装させたことです。以降、アイナーは妻ゲルダの公認のもとで、しばしば女装を楽しむようになります。1912年に、夫婦でパリに移住したことも、性癖を解き放つ契機になりました。当時のパリは、レ・ザネ・フォル(狂乱の時代)と呼ばれる文化の爛熟期でした。他の国に比べれば女装や同性愛が許容される土壌があったのです。

 

ゲルダ・ヴィーグナー「夏の日」1927年 中央のヌードのモデルが リリー・エルベ(アイナー・ヴィーグナー)

女性の親友同士のような、この風変りな外国人画家夫妻は、パリで受け入れられ、特にゲルダは、そのセクシュアルな絵が受けて、イラストレーターとしてかなりの成功を収めました。彼女の個展はパリだけでなく諸外国の都市でも開催されたそうです。ちなみに、1886年生まれのゲルダは藤田嗣治と同年齢、1882年生まれのアイナーはユトリロの1歳年長になります。

1930年から5回に渡ったアイナーの性別適合手術は、社会的な話題になりました。同性愛を犯罪としていたデンマーク国王は、アイナーが女性になったのならゲルダとの婚姻は無効であると判断し、二人は離婚させます。一方でアイナーは「リリー・エルベ、女性」と記された、新たなデンマークのパスポートを手に入れます。しかし、子どもを産めるように卵巣と子宮を移植した手術は、さすがに身体への負担が大きく、リリーは1931年に臓器の拒絶反応で亡くなります。享年50歳でした。残されたゲルダは、別の男性と再婚するものの、絵に残したサインは終生ゲルダ・ヴィーグナーだったと言われています。

 

商業イラストレーターとして成功したゲルダでしたが、晩年には時代遅れとされて注文がなくなり、絵葉書などを描いて生計を立てていました。再婚した夫とも別れ、1938年にデンマークへ一人帰国したゲルダでしたが、長年の外国暮らしで近所に友人もなく、親戚とも疎遠で、酒浸りの生活だったと言われています。1940年、ゲルダは54歳で亡くなります。ナチス・ドイツがデンマークとパリを占領した数か月後のことでした。

 

アイナーやゲルダの絵は、現在ではほとんど知られていませんが、初めて性別適合手術を世の中に知らしめた二人の功績は、現代にも広く影響を与えています。多くのトランス・ジェンダーがこの二人に力づけられたことでしょう。

 

 


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