贋作版画の問題

コピー技術の発達で増える版画の贋作

近年のコピー技術の発達には目を見張るものがあります。そのため私がこの業界に入った30年ほど前には考えられない程の偽物版画が出回っています。 インターネットオークションのサイトを開くと一目瞭然偽物と解る作品や版画作品として見たこともない図柄の版画が掲載されています。画像だけでは私にも解りませんが、版画作品と称しながらカラーコピーという可能性もあります。 そうは言っても中には非常に低い確率で本物も混じっていて安く本物を手に入れることができるのかもしれません。 しかし、翠波画廊の仕事は贋作をより分け、本物だけをお客様にお届けすることが使命です。

偽物の見分け方

▲藤田の鑑定家であり美術史家、
藤田嗣治研究の第一人者シルヴィ・ビュイッソンさんと。
真作と確認できたものだけをご紹介しています。
私たちの仕入れは、海外のディーラーや業者間のオークション、また個人の方から買取をさせていただくことも多いのですが、昔買われて手放されるお客様からの買取仕入れはカビやシミなどのコンディションの問題を除けば真贋については問題になることはあまりありません。むしろ業者間のオークションに悪意のある偽物が多く混じっていることが多くなっています。 このところのコピーの再現性は目を見張るものがあって、額装されていて表面のアクリル越しに絵を見ただけでは真贋が分からないことがあります。版画の種類によっては、木版画、銅版画、シルクスクリーンはそれぞれ独自のテクスチャー(質感)が有りますからアクリル越しでもなんとか見分けは付きます。

リトグラフの見極め

▲1904~1972年の版画三巻とセラミック
一巻に作品を網羅したブロック編纂の
ピカソのカタログレゾネ。
問題はリトグラフです。しかし、額装を外してシートの状態で確認すればおおよその判断は付きます。 例えば、輪郭線のはっきりした絵の場合は、輪郭の色の滲み具合や、また色を重ねて下の色が隠れてしまっても、リトグラフであれば光の当て方で先に乗せた色の輪郭線がはっきりますが、カラーコピーの場合は上に載せた色が再現されるだけで絵具の重なりまでは再現できません。また、カタログレゾネ(作品総目録)のある画家であればレゾネに記載されている使用された紙の質や図版サイズと紙のシートサイズを比較して判断します。
他にも私なりの見分け方があるのですが、シートの裏面を見るという方法です。 リトグラフは基本的に油性の絵具を使用します。そのため、その絵具の油分が10年くらい経つとシートの裏面に染みてきます。絵具の質や乗せ具合によって必ずというわけではないのですが、ある年数を経たリトグラフはシートの裏面に絵具の油分が沈んできて絵の形の油染みができます。 それによって制作されてどのくらい経過したものか、リトグラフであるかを判断します。 このように専門性が問われる巨匠版画ですが、フランスやその他ヨーロッパの国のように偽物を作ったり売ったりすることが詐欺罪として罰せられるという法律がない日本では数多く出回っていることが残念でなりません。

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