fbpx
東京 アクセス 東京 アクセス 大阪 アクセス 大阪 アクセス お問い合わせ お問い合わせ

絵画の種類と描き方の秘密!
ダ・ヴィンチが嫌ったフレスコ画とは?

絵画を定義すると「キャンバスなどの支持体の上に絵具などの顔料を定着させた二次元の視覚芸術」となります。
この支持体と顔料の組み合わせによって、絵画の種類が異なってきます。
支持体と顔料の選定にあたって重要なのが、定着させるための方法です。たとえばガラスの上に水彩絵具で絵を描こうとしても、絵具が弾かれてしまってかたちが残りません。ガラスに描くなら油性ペンやアクリル絵具など、ガラスに定着する顔料が必要です。
紙やキャンバスがすぐれているのは、表面が適度にざらざらしているために顔料がひっかかって定着しやすいところです。水彩絵の具を使うなら紙の一択になるでしょう。
しかし薄くて軽くて持ち運びに便利な紙は、耐久性がいまひとつです。
そこでたとえば油絵は木枠に厚手の布を張ったキャンバスに描くのが一般的になりました。

壁画を描くならフレスコ画

ミケランジェロ・ブオナローティ《最後の審判》フレスコ画

キャンバスが中世に発明される以前は、建物の壁に直接描く「壁画」か、もしくは持ち運べるように木の板に描いた「板絵」の2種類がもっぱらでした。
支持体が石やレンガで作られた建物の壁の場合、湿気などにさらされつつ何十年、何百年も絵が保存されなければなりませんから、顔料をしっかりと定着させる必要があります。
そこで発明されたのがフレスコ画という技法でした。
通常の油絵具やアクリル絵具は、絵具の中に支持体への定着を行う固着剤が入っています。壁や床に油性ペンなどで文字などを書くとなかなか消えないのはそのせいです。
しかし中世にはまだ顔料を十分に定着させられる固着剤がありませんでした。そこで壁画を描く際には、まず砂と石灰を混ぜてつくった漆喰を塗り、その漆喰が乾く前に水で溶いた顔料を使って絵を描く方法がとられました。
フレスコ画と呼ばれるこの描き方であれば、漆喰が乾くと同時に顔料も乾いて壁の一部となりますから、壁を壊さない限り顔料が剥離することはありません。
問題は漆喰が乾く前に素早く絵を描かねばならないことです。フレスコ画を描くときには、あらかじめ下絵を用意して一日の作業範囲を決めて、スケジュールどおりに描く必要がありました。
この描き方を嫌ったのがレオナルド・ダ・ヴィンチです。
天才の常としてマイペースで気まぐれだったダ・ヴィンチは、漆喰の乾く速度に進行を左右されるフレスコ画を嫌い、壁画《最後の晩餐》は後述するテンペラ画の手法で描きました。つまり完成した壁の上に絵具を塗っていったのです。
しかしそのせいで《最後の晩餐》は経年劣化がはげしく、同時期に描かれたミケランジェロ《最後の審判》などと比べると、繊細な色彩や筆触などが失われてしまいました。


5分で読めるアートの教養を無料配信!

知ってて得するアートコラム、イベント・展覧会情報など、お役立ち情報をお届けしています。

無料配信メルマガへのご登録はこちら>>


テンプラではなく、卵を使ったテンペラ画

サンドロ・ボッティチェッリ《ヴィーナスの誕生》テンペラ画

ダ・ヴィンチが《最後の晩餐》を描くときに使ったテンペラ画の手法とは、壁画ではなく持ち運びのできる板絵などに使われた技法です。
当時はまだ布地のキャンバスがありませんでしたから、《モナ・リザ》なども木の板に描かれていました。
さすがに木の板の上に漆喰を塗ることはありませんから、顔料を定着させるためには別の固着剤が必要です。そこで使われたのがニカワと卵でした。
そもそも顔料というものは主に鉱物由来の粉末であり、そのままでは支持体に塗ることができません。
そこでなんらかの溶剤が必要になります。フレスコ画の場合は漆喰が固着剤の代わりになるため水で溶くだけでよかったのですが、テンペラ画の場合は木の板に定着させるための固着剤と溶剤とが必要になります。
卵は卵黄でも卵白でも、乾けば固まって水に溶けなくなり、また顔料の変色もないのでたいへん便利な溶剤・固着剤でした。卵黄のほうがよく使われましたが、薄い色を使うときには卵白も用いられました。
卵は長らく絵具の溶剤として使われてきましたが、15世紀になると卵の代わりに油を使用する方法が発明されました。油彩画の誕生です。

繊細なタッチが可能で使い勝手のよい油彩画

レオナルド・ダ・ヴィンチ《モナ・リザ》油彩画

ダ・ヴィンチは《最後の晩餐》をテンペラ画の技法で描きましたが、《モナ・リザ》や壁画《アンギアーリの戦い》は油彩画の技法で描きました。
テンペラ画と油彩画の大きな違いは、乾く速度です。
卵は粘着性が高く意外と乾くのが速いのですが、油は卵に比べればサラリとしていて乾くのに時間がかかります。
ダ・ヴィンチが何十年も《モナ・リザ》を手元に置いて手直しを続けたと言われているように、じっくりと考えながら描きたい人には、油彩画の技法が理想的だったのです。
しかし、油彩画の乾燥の遅さは技法としてはすぐれていますが、工法としては欠陥となります。
工学にも造詣の深いダ・ヴィンチはその欠点を克服するために壁画《アンギアーリの戦い》では、速く乾燥させるために熱を使ったのですが、失敗して絵具が流れてしまいました。
そのためダ・ヴィンチは最後まで壁画を完成させることなく中断してしまいます。
未完の状態でもその出来栄えを称賛されていた壁画《アンギアーリの戦い》ですが、数十年後に建物の改築とともに失われてしまいました。

チューブ絵具の発明が印象派を生んだ?

クロード・モネ《散歩、日傘をさす女性》印象派

私たちが一般的に知っている絵具とは顔料と溶剤を混ぜてチューブに入れたものです。
このチューブ絵具が発明されて屋外でも気軽に絵が描けるようになったのは19世紀になってからです。
それまでの絵具は粉末の状態で売られていて、自分で卵や油と混ぜて使用するものだったのです。
そこで自分で顔料と溶剤を混ぜたものを、豚の膀胱などの袋に詰めて持ち運んでいましたが、すぐに乾燥してしまうので長期保存はできませんでした。
19世紀になってチューブ絵具が一般的になると戸外での制作が簡単になって、太陽光の移ろいを描く印象派の誕生を促しました。

ちなみに、当時の油絵は木枠に張ったキャンバス(帆布)を支持体とするのが一般的でしたが、ルールはありませんでした。キャンバスが軽くて丈夫だからよく使われていましたが、ポスト印象派のゴッホはお金がなかったため、麻袋に使うジュートを買ってきて支持体として使っていたこともありました。ゴッホの油彩画《野の花とあざみを生けた花瓶》は、紙に描かれていると考えられていましたが、近年の調査の結果、麻布のタオルに描かれていたことがわかりました。

独自の発達をした日本画

横山大観《屈原》日本画

ここまでフレスコ画、テンペラ画、油彩画、そして水彩画について説明しましたが、これらはすべて「西洋画」の種類です。
一方、伝統的な「日本画」は、鉱石などから採取される顔料の岩絵具を、ニカワなどの固着剤と混ぜて和紙に描く技法を使っていました。
紙に墨だけを使って描く水墨画も中国から入ってきましたが、墨の原料は煤とニカワを混ぜたものなのでたいした違いはありません。
西洋と東洋で絵画は別々に発展したと思われていますが、結局、支持体の上に顔料を定着させるという基本は同じです。
とはいえ描き方は大きく異なります。

ごく簡単にいえば、「西洋画」が一点透視図法を使って二次元の平面の上に三次元の立体を描こうとしてきたのに対し、「日本画」はあえて立体的に描こうとせず、図式的なデザインのようにデフォルメした二次元の世界を描いてきました。
日本の漫画アニメ文化の源流は「日本画」にあるといっても過言ではないでしょう。

絵画のジャンルは定義次第

ちなみにいま「日本画」、「西洋画」と言いましたが、このほかに絵画のジャンルとして「洋画」があります。
近代になって開国した日本人が西洋画と出会い、その技法を学んで西洋画風に描いたものを「洋画」と呼びます。黒田清輝や東郷青児が洋画家の代表で、横山大観や上村松園が日本画の代表です。
近代以降はグローバリスムが進んで、さまざまな技法が混ざり合いました。ゴッホが浮世絵に感動し、ピカソがアフリカ美術を参照したように「日本画」、「西洋画」という単純な分類ができなくなりました。
そこで戦前のものを「近代絵画」、戦後のものは「現代アート」と時代で分けることもあります。
このように、絵画の種類やジャンルはどこに着目するかで異なってきます。
時代に着目するならルネサンス絵画、バロック絵画、現代アートなどと分けることができますし、技法に着目するなら油彩画、水彩画、版画などと分類できます。地域に着目するなら日本画、西洋画、アフリカ絵画などになりますし、モチーフに着目するなら風景画、肖像画、歴史画などに分けられるでしょう。


Amazonランキング1位!最新刊が好評発売中!!

アートの価値転換はどのように起こったのか
美術商の視点から読み解いた翠波画廊・髙橋の最新刊!

 

 

画商が読み解く 西洋アートのビジネス史

 

単行本:350ページ
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
著者:髙橋芳郎

 

価格:2,200円(税込)

全国書店、amazon等ネットでもご購入いただけます。

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中!
※翠波画廊にて本書をお求めいただいたお客様は、配送料無料、著者のサイン入り本をお届け!

 

 


翠波画廊代表・髙橋 2作目はアートで学ぶビジネス

未来のビジネスに必要なアートの力、気になりませんか?
画廊経営歴30年だからこそ語れる、アートで学ぶビジネスのヒントをご紹介。

 

アートに学ぶ6つの「ビジネス法則」

 

単行本:251ページ
出版社:サンライズパブリッシング
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,500円(税別)
amazon等ネットでもご購入いただけます。

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

 

 


芸術はよくわからない、アートは難しいなどと思っていませんか?

絵画の価格はどうやって決まるのか、画商の視点でわかりやすく解説。
読後はアートを身近に感じて美術館に行ってみたくなるはずです。

 

「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画

 

単行本:302ページ
出版社:幻冬舎
著者:髙橋芳郎

 

価格:1,400円(税別)
全国有名書店、amazonでもご購入いただけます

 

amazonページはこちら >>

 

翠波画廊でも発売中! ※通常配送料無料

新聞、雑誌でも紹介されました!

「サンデー毎日」

本とのふとした出会いで幼いころの自分を思い出す
幼いころ、絵画鑑賞が趣味だった母に連れられて、よく展覧会を訪れた。・・・

「週刊文春」

銀座で二十六年、近代絵画の作品を扱ってきた画廊オーナーが、「値段」を切り口に絵画の見方を提案。作品の価格は画家の人生の起伏をも表す。

「月間アートコレクターズ」

世に美術市場を扱った書は数あるが、印象的なタイトルと装丁家として日本を代表する鈴木成一の手になる雰囲気ある装丁の本書は、翠波画廊を構える髙橋氏の書き下ろし。・・・

「北日本新聞」

セザンヌ、モネ、ルノワールやゴッホ、ピカソ、シャガールら近代美術の巨匠たちの絵の値段について考えたことはあるだろうか。・・・

アートコラム一覧

私たちにできること

1

絵画購入のご相談

些細なこともお気軽にご相談ください。
30日以内の返品保証など
安心のサービスをご用意

2

お部屋やご予算に合わせた
絵画のご提案

お客様のご要望をお伺いし、
1,500点以上の豊富な作品から
最適な一枚をご提案いたします。

3

絵画を使った節税対策

経費で絵をご購入の方へ、
作品のご提案から購入の流れまで
ご案内いたします。

絵画を買って節税?