モンマルトルでピカソになろう!
芸術家の街を舞台にしたボードゲーム
モンマルトルとは、パリのセーヌ河右岸にある丘です。
モンは、英語のマウンテン(山)と語源が同じで、丘や山を意味します。
モンマルトルは、セーヌ川左岸の丘モンパルナスとともに、20世紀初頭に芸術家が集まる街としてさかえました。
モンマルトルとモンパルナスの違いは画家のグループです。
モンマルトルのアパート「洗濯船」にはピカソを中心にキュビスムの一派が集まりました。
モンパルナスのアパート「蜂の巣」にはシャガールやモディリアーニなどエコール・ド・パリの一派が集まっていました。
今回紹介するのは、そんなモンマルトルで画家の卵となり、成功を目指すボードゲーム『モンマルトル』です。
パリの芸術界で名声を得るために絵を売りまくれ!
右の5枚は絵画カード。右から左に向かって、ピカソ風の絵、ロートレック風の絵、
モディリアーニ風の絵、ミュシャ風の絵となり、
同じ種類なら数字が高いほど完成度が高い。
出典:アークライト
ボードゲーム『モンマルトル』の箱の裏には次のような説明が書かれています。
20世紀の初頭、パリのモンマルトルには、一旗揚げようとする貧しい画家たちが集まっていました。彼らは著名な美術商アンブロワーズ・ヴォラールに認められ、彼を通じて富裕層に渾身の一作を高値で買ってもらうことで名声を得ることを夢見て、食に貧しながらも創作活動と売り込みに励んだのです。あなたもそうした貧乏画家のひとりです。さあ、自信作を描き上げ、夢をかなえましょう。
このゲームでは、あなたは画家として、毎ターン、自分の絵を描くか、あるいは富裕層のコレクターに自分の絵を売却するかを選ぶことができます。
ポイントは、両方を同時にはできないところです。
絵を描いた日には売却はできず、売却を行った日には自分の絵を増やすことができません。
より高額で売るチャンスを得るために絵を描きこんで腕を磨くか、あるいはライバルよりも早めに売り込みをかけて、少額でも現金を得ておくかが悩みどころです。
コレクターにも予算があるので、売り込みが遅いと絵を買ってもらうことができません。
なかなかリアルなゲームです。
絵を売るためにはコレクターの好みを知り、それに合わせて描くことが大切です。
ゲームに登場するコレクターは4名。
それぞれの好みは、ピカソ、ロートレック、モディリアーニ、ミュシャと別れています。
コレクターは、自分の好みの絵しか買ってくれません。
そこであなたは4種類の絵を描き分けて対応します。
自分の手札に合わせて、時にはピカソ風に描いたり、時にはモディリアーニ風に描いたりして、手持ちの絵を増やします。
よい絵が描けたと思ったら美術商アンブロワーズ・ヴォラールを通じて、コレクターに売却します。
気をつけたいのは、コレクターもまた成長することです。
ゲームの序盤では、コレクターは1枚の絵に対してわずかなお金しか払ってくれません。しかし、コレクションが増えていくにつれて目が肥えて、同じような絵であっても高額で買ってくれるようになります。
つまり後から売ったほうが絵を高く売ることができるのです。
だからといって売り惜しみをしていると、ライバルに出し抜かれてしまいます。
1人のコレクターは5枚までしか絵を買ってくれないので、ぼんやりしているとせっかく描いた絵が売れ残ったままゲームが終わってしまいます。
とはいえ、売りたいときにいつでも売れるわけではありません。
同じコレクターに連続して同じような絵を売ることはできませんし、絵を売る場合はそのタイプの絵をライバルよりもより多く描いておくか、あるいは完成度の高い絵を描いておく必要があります。
ゲームなので、あちらを立てればこちらを立たずのジレンマが常につきまといます。
現実のビジネスや人生でも同じでしょうか。
フリーの画家として生きる道を選ぶと最初のうちは低収入にあえぐかもしれません。
かといって定職につくと、今度は絵を描く時間が少なくなってしまいます。
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パリの丘で繰り広げられる画家たちの駆け引き
ボードゲーム『モンマルトル』のゲームデザイナーは、フランス人のフロリアン・シリエックスで、出版元もフランスのゲーム会社BLAM!社です。
日本ではライセンスを取得した株式会社アークライトが完全日本語版を販売しています。
フランス人のゲームデザイナーが作った『モンマルトル』は、細かいディテールにも目が配られています。
たとえば、コレクターに売りたくても売れないままにアトリエに絵が溜まってしまった場合、フリーマーケットで絵を売りさばくことができます。
その場合は、1枚あたり1フランと安くなってしまいますが、アトリエのスペースの都合上、手持ちの絵の上限枚数も決められているので仕方ありません。
また、ある程度コレクターに絵を売って名を売った画家は、新聞の連載小説の挿絵の仕事を得ることができます。まとまったお金を手に入れるチャンスです。
ここにもジレンマがあります。
名声のある画家になればなるほど高額で契約できるので、あまり早く新聞社と契約してしまうと報酬が低くなってしまいます。
かといって、名声が高まるまで待っていると、新聞社と契約する前にゲームが終わることもあります。
ゲームのすべてにいえることですが、リスクとリターンのバランスを見ながら、チャンスをつかまえて思い切って決断をする必要があります。
このゲームのルールブックで面白いのは「編註」があるところです。
たとえば、厳密にいえばロートレックは、モンマルトルの「洗濯船」にピカソやモディリアーニが住んでいた時代の画家ではありません。しかし、ピカソやモディリアーニに与えた影響が大きいため、ゲームではあえて採用したと書かれています。
ミュシャも「洗濯船」の住人ではありませんが、この時代の芸術家の象徴として採用されています。
箱の右上にはゲームデザイナーのフロリアン・シリエックスの名前だけでなく、イラストを描いた画家ジャンヌ・ランダールの名前も記載されていて、クリエイターへの敬意が払われているあたりも好感度が高いです。
機会があったら、ぜひ遊んでみてください。
2024年9月現在、翠波画廊では東京・大阪の2会場にて、パブロ・ピカソの作品を一堂に集め、展示・販売する展覧会を開催しています。
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