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時を経てなお、ベルナール・ビュッフェが選ばれ続ける理由

「チューリップのブーケ」油彩15号
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長く画廊の仕事に携わっていると、時代の流行とともに評価が大きく揺れ動く作家と、一時の評価を超えて、静かに残り続ける作家とがいることに気づかされます。
ベルナール・ビュッフェは、まさに後者の代表的な存在でしょう。

 

日本だけでなく世界各地で今なお多くの人に支持され、結果としてオークションにおいても安定した評価を保ち続けています。
それは偶然ではなく、長い時間をかけて積み重ねられてきた理由があります。

“ひと目で分かる”表現が生む価値

「アルバムニューヨーク 58」1964年 リトグラフ 150部
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まず第一に挙げられるのは、作品そのものが持つ圧倒的な分かりやすさです。

 

鋭く引かれた黒い輪郭線、痩せた形態、張りつめた画面は専門的な知識がなくとも、「これはビュッフェだ」と直感的に分かるほど、作家としての表現が確立されています。
この「ひと目で分かる」という特性は単なる個性にとどまりません。
市場においては、作品の識別がしやすく、評価が共有されやすいという極めて重要な意味を持ちます。

 

さらにビュッフェの場合、長年にわたり作品を取り扱ってきたパリのガルニエ画廊が鑑定機関として関わってきたという信頼の積み重ねもあります。
そのため、真贋や作品の位置づけが曖昧になりにくいという点も、評価が長く保たれてきた大きな要因です。

人間の弱さを映し出した普遍性

「サン・カースト」1963年 ミクストメディア、紙アクリル
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もうひとつ、ビュッフェの魅力として欠かせないのが感情の普遍性でしょう。

 

彼の作品に描かれているのは、特定の時代や国に閉じた物語ではありません。
ピエロ、静物、都市風景、そこに通底するのは、孤独、寂しさ、静けさ、そして人間の弱さです。

 

ビュッフェは派手な技巧や装飾で感情を説明することはありません。
むしろ余分なものを削ぎ落とし、「骨格だけを残す」ように描きます。
その結果、見る人は作品に自分自身の感情を投影することができる、
だからこそ、国や文化、世代を超えて共感が生まれ続けてきたのだと思います。

厚みのあるコレクション

「カルメン」1967年 リトグラフ EA
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三つ目に挙げたいのは、市場としての厚みです。

 

ビュッフェは生涯を通して多作であり、油彩だけでなく、水彩、版画と、幅広く作品を残しました。
また、モチーフも人物、花、風景、宗教や歴史と多岐にわたります。
この点は、コレクターの立場から見ると非常に重要です。

 

価格帯の入口が広く、自分の好みに合ったシリーズを選ぶことができ、同じ作家の中で作品を集めていく楽しみがある。
こうした条件がそろうことで市場に継続的な取引が生まれ、流動性が保たれてきました。

 

厚みのある市場は一時的なブームに左右されにくいのです。

「見られ続ける」ことが支える作品の価値

静岡県・駿河平「ベルナール・ビュッフェ美術館」

さらに日本においては、ビュッフェと美術館との関係も見逃せません。

 

静岡のベルナール・ビュフェ美術館をはじめ、長年にわたり作品が各地の美術館で展示され、多くの人が実際に作品に触れる機会を持ってきました。

 

美術館は、作家の評価を社会の記憶として定着させる装置です。
「見られ続ける」ことが、結果として市場の需要を下支えしてきた側面もあります。
こうした文化的な評価の積み重ねの上に、市場での現実があります。
完成度の高い油彩作品は決して多くはなく、良作ほど固定コレクション化し、市場に出にくくなります。

長い時間をかけて愛され続けること

「サントロペ―湾」1977年 リトグラフ EA
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一方で需要は、日本だけにとどまりません。
欧米はもちろん、近年ではアジアでも根強い人気があります。

 

実際、昨年訪れたパリのアートフェアでは、出展画廊の多くのブースでビュッフェの作品が展示されていました。
この供給の限界と需要の広がりが重なったとき、オークションで高値が生まれるのはある意味で自然な結果とも言えるでしょう。

 

ただし、ここで強調しておきたいのは、ビュッフェの価値は「値段が上がるから評価されている」のではない、という点です。
まず文化として受け入れられ、長い時間をかけて愛され続けてきた。
その結果として、市場が後からそれを評価してきたということです。

 

 

翠波画廊では、作品を紹介する際、「いくらになるか」よりも先に、「なぜこの作品が、今も人の心に残り続けているのか」をお伝えしたいと考えています。
ベルナール・ビュッフェという画家は、まさにその問いに真正面から応えてくれる存在です。
時代が変わっても、人の感情の本質は変わらない、その核心を描き続けたからこそ、ビュッフェの作品は、今も静かに選ばれ続けているのだと思います。

 

 

翠波画廊代表 髙橋芳郎

株式会社ブリュッケ(翠波画廊)代表取締役。
美術大学卒業後、都内の画廊での修行を経て、1990年に独立。 2001年、故郷の秀峰の名を冠した「翠波画廊」をオープンさせる。
以降長きにわたり、ピカソ、マティス、藤田嗣治、ユトリロ、ローランサン等フランスの近代巨匠から、
ウォーホル、キース・へリング等現代アートまで幅広く扱う。

【次回予告】ビュッフェの作品展が開催決定

ベルナール・ビュッフェ《チューリップのブーケ》油彩15号
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静かな線が語り続ける、世界の真実
―ベルナール・ビュッフェ 作品展

 

かつて、「ひと目で忘れられない絵」に出会ったことはありませんか。

 

鋭い線、張りつめた空気、華やかさとは異なる、静かな強さ
ベルナール・ビュッフェの作品は、説明する前に、まず感情に触れてきます。

 

時を経ても選ばれ続けるビュッフェの作品を、ぜひその目でご体感ください。

 

【東京銀座店】
会期|2月25日(水)〜3月14日(土)
出品予定|油彩・水彩・版画 約25点

 

【大阪梅田店】
会期|3月20日(金)〜4月5日(日)

 

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