アートコラム

存命アーティストの作品が100億円!

2019/05/21

2018年11月、デイビッド・ホックニーの絵画「芸術家の肖像画―プールと2人の人物―」が、現存アーティスト作品の最高価格である9030万ドル(約99億円)で落札されました。
そのニュースもいまだ記憶に新しい2019年5月15日、再び記録更新がなされました。
作品の名前は「ラビット」(ウサギ)。
価格は9110万ドル(約100億円)。
いったい誰の作品なのでしょうか?

 

ピカピカと光るステンレスの彫刻

ステンレス製の彫刻作品ウサギを作ったのは、現代アーティストのジェフ・クーンズです。
実はクーンズは現代美術界の頂点に立つような人気アーティストで、デイビッド・ホックニーが存命アーティスト作品の価格記録を更新する前の記録保持者でもあります。
以前の記録となっていたのは、クーンズ作品の「バルーン・ドッグ(オレンジ)」(風船の犬)で、大道芸人が風船で作る犬のかたちをステンレス彫刻で再現したものでした。

 

2013年に落札された「バルーン・ドッグ(オレンジ)」の価格は5840万ドル(約64億円)でした。
2018年にデイビッド・ホックニーが9030万ドル(約99億円)で記録更新したときには、しばらく安泰かと思われましたが、あっというまにクーンズが頂点を奪い返したかたちになります。

 

今回落札された「ラビット」も「バルーン・ドッグ」も、どちらも風船で作られた動物をモチーフにしています。写真を見れば、誰もが「見たことがある」と思うような普遍的なかたちをしています。
しかし、その大きさは実際の風船動物よりもはるかに大きく何メートルもあり、なおかつ金属製で光を反射します。
かたちのオリジナリティーではなく、存在の異物性を売りにした、コンセプチュアルな現代アート作品です。

 

アンディ・ウォーホルと村上隆をつなぐもの

クーンズは1955年生まれのアメリカのアーティストです。
同年代の作家には、1956年生まれのクリスチャン・ラッセン、1957年生まれの蔡國強(ツァイ・グオチャン)、艾未未(アイ・ウェイウェイ)などがいます。いずれも存命の有名アーティストですが、クーンズの知名度にはかないません。
マイケル・ジャクソンやエルビス・プレスリー、あるいはコミック・ヒーローの超人ハルクなどのイメージを引用したクーンズの作品は、しばしば「商業的」、「キッチュ」などと批判を受けることがあります。
もっとも商業的イメージの使用はアンディ・ウォーホルが始めたことであり、アメリカのポップアートの伝統です。
日本でいえば村上隆が同様の試みで成功しており、現代アートの一つの潮流として認められたものと言えるでしょう。
ポップといっても、クーンズの作品には毒もあります。
妻であったイタリア人ポルノ女優・政治家のチッチョリーナとの性生活を写真作品とした「メイド・イン・ヘブン」シリーズなどは、社会的な論争も引き起こしました。
クーンズの世間の常識に挑戦する姿勢は、10歳年下のイギリスのダミアン・ハーストに受け継がれています。
ちなみに、クーンズを資金面で支えているのは、クーンズより10歳年上の画商ラリー・ガゴシアンです。
ラリー・ガゴシアンは現代の錬金術師とも呼ばれる有名画商で、アメリカで村上隆や草間彌生を取り扱っています。

 


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サルバドール・ダリにあこがれて

誰が見てもわかりやすいクーンズの作品ですが、クーンズ自身は正当な美術教育を長年受けていますから、まったくのアウトサイダーではありません。
クーンズは幼い頃から美術が好きで、美術大学大学院を修了後、ウォール街で株式仲買人として働きながらアーティスト活動を始めました。
このあたりは、東京藝大で博士号まで取得した村上隆に通じるところがあります。
ちなみに、若い頃のクーンズが好きだったアーティストはサルバドール・ダリでした。
ダリもまた、目立ちたがりで商業的でキッチュだと批判されることがありましたが、その多くはあえて作ったイメージだと言われています。
クーンズはダリにならい、自分自身をアーティストとしてブランディングするためにコンサルタントを雇ったそうです。
また、クーンズは自らの広大なスタジオに何十人ものアシスタントを雇い、作品の制作を行っています。これはウォーホルのファクトリーにならったものです。
おそらくダリとウォーホルというアメリカの二大人気アーティストこそ、クーンズが目指したものでした。

 

誰もが知っているイメージを引用するクーンズの作品は、しばしば著作権侵害の訴訟の対象になっています。
有名税の支払いともいえるこれらの訴訟において、クーンズは勝つこともあれば負けることもあります。
最近では、2018年11月にフランスの裁判所から15.3万ドル(1750万円)の損害賠償支払い命令を受けました。
何かと話題の多いジェフ・クーンズ。次はどのような作品を発表するのでしょうか。

 

 

オークションの彫刻作品落札価格ベスト15(2019年5月現在)
1. ジャコメッティ「指差す男」1億4130万ドル(2015年)
2. ジャコメッティ「歩く男」1億430万ドル(2010年)
3. ジャコメッティ「二輪戦車」1億100万ドル(2014年)
4. ジェフ・クーンズ「ラビット」9110万ドル(2019年、存命作家最高額)
5. ブランクーシ「洗練された少女」7100万ドル(2018年)
6. モジリアーニ「頭」5959万ドル(2010年)
7. ジェフ・クーンズ「バルーン・ドッグ(オレンジ)」5840万ドル(2013年)
8. ブランクーシ「眠れる女神」5730万ドル(2017年)
9. 作者不詳(紀元前30世紀)「グエノルのライオン」5720万ドル(2007年)
10. ジャコメッティ「偉大な薄い頭」5330万ドル(2010年)
11. ジャコメッティ「偉大な薄い頭(ディエゴ)」5000万ドル(2013年)
12. アンリ・マチス「ヌードの背中No.4」4880万ドル(2010年)
13. ブランクーシ「マダムLR」3760万ドル(2009年)
14. ジェフ・クーンズ「チューリップ」3370万ドル(2012年)
15. ルイーズ・ブルジョワ「スパイダー」3206万ドル(2019年、女性作家最高額)
参考. 村上隆「マイ・ロンサム・カウボーイ」1516万ドル(2008年、日本人作家最高額)

 


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