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バンクシーの中の人の正体!
大学の研究で判明した答とは?

先月は、アメリカのストリートアーティストを紹介したので、今回はイギリスです。
オベイやカウズを生んだアメリカ、そしてインベーダーやJRのいるフランス、そしてイギリスが、ストリートアートの盛んな3つの国になります。
イギリスのストリートアーティストといえば、なんといってもバンクシーです。その代表作《風船と少女》(愛はごみ箱の中に)は、2021年のオークションで約29億円で落札されています。
正体不明の覆面アーティストのバンクシーですが、初期にブリストルで活動していて、のちにロンドンに拠点を移したことからブリストル出身のイギリス人だろうと言われています。
しかしバンクシーは1990年頃にストリートアートを始めたのですから、その活動期間は30年以上にも及びます。どうやってその素性を隠し続けることができるのでしょうか。おそらくバンクシーの正体を知っている人物が業界内には複数存在していて、ブランドイメージのために彼を守っているのだと思われます。


バンクシーの素顔が映像に残されている

バンクシーが作品の販売や鑑定、メディアへの対応などをどうやっているのかといえば、現在は主にSNSなどのネットでの対応になりますが、かつては代理人(エージェント)がいました。
90年代から2008年までスティーブ・ラザリデスという写真家がバンクシーのエージェントを務めていました。
1969年生まれのラザリデスはブリストル出身で、バンクシーのストリートアートを写真に撮って売り始め、バンクシーとともに「Pictures on Walls(POW)」というウェブサイトを立ち上げて版画作品なども販売するようになります。
2006年にはギャラリーを開いて多くのストリートアーティストの作品を紹介しました。フランスのインベーダーのイギリスでの初個展もラザリデスのギャラリーで開催されました。

スティーブ・ラザリデスとバンクシーとの関係は2008年に解消されましたが、バンクシーの正体を知る人間として、あるいはイギリスのストリートアートの黎明期の功労者として、ラザリデスはしばしばメディアに登場してバンクシーについて語っています。
もちろん、その素性を明かすような野暮な真似はしませんが、バンクシーの正体を知る人間は意外と多いのです。当時のバンクシーは今よりもずっとガードが緩く、顔の下半分こそマスクで覆っていますが、素顔でテレビや雑誌のインタビューに回答しています。その映像はYouTubeでも見ることができます。
以下は、2003年のバンクシーの個展「Turf War」の宣伝のために受けたテレビインタビューです。
インタビュアーのITVヘイグ記者は、この青年が本物のバンクシーかどうかは分からないが、エキシビションは公式のもので、プレス担当者も人を騙そうとしているようには見えなかったと述べています。
ちなみに現在のバンクシーはこの映像について「ノーコメント」としています。

 

 

同じく2003年のガーディアン紙でのインタビューでは、「白人、28歳、ジーンズ、Tシャツ、銀歯、銀のチェーン、銀のイヤリング、無精髭のカジュアルスタイル。ジミー・ネイルとストリーツのマイク・スキナーを足したような顔」で、タバコを吸いギネスビールを飲んでいたと書かれています。
バンクシーがこの当時から替え玉を使ってメディアを煙に巻いていたというわけでなければ、1974年前後生まれのブリストル出身のヨーロッパ系イギリス人ということがわかります。

 

バンクシーの正体を知る人は多い

バンクシーが有名になってから、彼の正体を知ろうとメディアは躍起になり、過去のインタビューを掘り返して、さまざまな推理が披露されました。
2003年のBBCのインタビューで「あなたの名前はロバート・バンクス(Robert Banks)ですか?」と聞かれたバンクシーは、「私はロビー(Robbie)だ」と答えています。
また、バンクシーと旧知の仲だというDJのゴールディーがバンクシーについて語っている途中で、彼のことをうっかり「ロブ(Rob)」と呼んでしまったことも話題になりました。
ロブやロビーというのは、ロバートやロビンといった名前の略称です。
この事件から、バンクシーの正体はゴールディーの友人のロバート・デル・ナジャ(3D)ではないかという噂が広がりました。
ロバート・デル・ナジャはイギリスの人気トリップホップ・バンド「マッシブ・アタック」のフロントマンです。
ロバートの愛称がロブであること、ブリストル出身であること、バンド結成前の1980年代にゴールディーと一緒にグラフィティと呼ばれるストリートアートの活動をしていたこと、マッシブ・アタックがコンサートを行った街でほぼ同時にバンクシーのグラフィティが出現したことが何度かあったこと、バンクシー自身が影響を受けたアーティストの一人にロバート・デル・ナジャの名前を出していることなどが証拠としてあげられました。
しかし、ロバート・デル・ナジャは1965年生まれで、インタビューに出てきたバンクシーのプロファイルからは年を取り過ぎています。マッシブ・アタックのコンサートとバンクシーの作品の地縁も、バンクシーが地元ブリストル出身の人気バンドであるマッシブ・アタックのファンであっただけと解釈することもできます。そもそも、影響を受けたアーティストに自分の名前をあげるでしょうか?
それにロバート・デル・ナジャはとあるコンサートで「自分はバンクシーではない」と明確に否定しました。

 

別の方向からバンクシーの正体について推理してみた

バンクシーが音楽好きであることは、多くの広告仕事を断っているのに、とあるロックバンドのアルバム・ジャケットのアートワーク全般を引き受けたことからもわかります。

そのバンドはイギリスの代表する人気グループ、ブラーの7枚目のアルバム『シンク・タンク』です。
アルバムは2003年の発売当時にイギリスのポップ・ミュージック・チャートで1位になり、バンクシーのアートが大衆的に広まるきっかけになりました。
ちなみに、バンクシーの描いたジャケット原画は2006年にオークションにかけられて、6万2400ポンドで落札されたそうです。

Blur『THINK TANK』2003年(バンクシー)

ちなみに、ブラーはアルバム『THINK TANK』だけでなく、アルバムからカットされた3枚のシングル曲のジャケットもバンクシーに頼んでいます。いずれも、いかにもバンクシーを感じさせる、風刺の効いたアートワークです。

Blur『Out of Time』2003年(バンクシー)
Blur『Crazy Beat』2003年(バンクシー)
Blur『Good Song』2003年(バンクシー)

それにしても、皮肉屋のバンクシーがここまで商業作品に協力するなんて、よほど強力なコネクションがあったのでしょうか。
ブラーのメンバーは、アートスクールの卒業生だったり、カレッジでファイン・アートを学んだりアートへの造詣は深いのですが、それだけでは説明のつかない親密さです。
イギリスの大衆紙メトロは、ブラーのメンバーによる別プロジェクトのゴリラズで、ヴィジュアル面を担当する漫画家のジェイミー・ヒューレットがバンクシー本人ではないかとの推測を記事にしています。
バンクシー作品の商用利用などでバンクシーに入る売上などを辿って行くと、多くの場合、ヒューレットの関係する会社に行きつくというのがその理由です。
具体的には、バンクシーの映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』の制作会社「Paranoid Pictures」の親会社は、バンクシー作品の認証機関「Pest Control」でした。そして「Pest Control」の親会社が、バンクシーらのストリートアート作品の版画を制作するためにスティーブ・ラザリデスが設立した前述のプリントハウス「Pictures On Walls」です。この「Picture On Walls」のたった一人の株主がジェイミー・ヒューレットでした。
面白い推理ですが、ジェイミー・ヒューレットも1968年生まれでやや年長で、ブリストルではなく南部のウェスト・サセックスの出身ですし、そもそも「ロブ」と呼ばれることがないのでバンクシーではないと思われます。おそらく、ジェイミー・ヒューレットは、スティーブ・ラザリデス同様にバンクシーの正体を知るスポンサーの一人なのでしょう。
バンクシーのオフィスは公式にこの噂を否定していますし、ジェイミー・ヒューレットも現在は「Picture On Walls」の株を手放しています。

 

ついに判明したバンクシーの正体とは?

2008年、大衆紙メール・オン・サンデーはブリストルでバンクシーの友人たちにヒアリングして、有望な候補者を見つけます。その名はロビン・ガニンガム。1973年生まれで、ブリストル・カテドラル・スクールに通っていたアーティストです。ガニンガムの本名はロビン・バンクスであるらしく、それがバンクシーの名前の由来だというのです。

 

 

ロビン・ガニンガムはバンクシーに年齢も近く、ロブの愛称を持っていて、ブリストル出身です。一般的には無名の人物ですが、そのSNSなどを見るとバンクシーとの共通点がいくつも見出せます。
そして、バンクシーはインスタグラムで妻の存在を明かしていますが、ロビン・ガニンガムにもジョイ・ミルワードという奥さんがいます。コロナ禍の最中、バンクシーがインスタグラムに投降した写真には「ぼくが家で仕事をすると妻が嫌がる」とユーモラスな一言が添えられています。浴室いっぱいにネズミの落書きをされたら、それは妻だって怒ることでしょう。

 

 
 
 
 
 
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このようにロビン・ガニンガム=バンクシー説は非常に有望でしたが、有名人ではなかったため続報もないままになりました。実際のところ、バンクシーの正体が判明するよりも、正体不明の謎のアーティストという神話が継続することをアート業界もメディア業界も、そして私たちも望んでいます。バンクシーの正体がはっきりしても良いことはないのです。
ブリストルにあるギャラリーのスタッフは次のように語っています。「彼の素性が明るみに出そうになったことが過去何度かあったが、ブリストルの住民はそれを防ぐために話し合って行動した」、「彼はサンタクロースのような存在。その夢を台なしにしたくないとみんなが思っている」

ところで、2008年にメール・オン・サンデーに掲載されたロビン・ガニンガムの写真は、2003年にインタビューに答えていた若き日のバンクシーの映像とはあまり似ていないように見えます。これはいったいどういうことでしょうか。調べたところ、さらに古い1995年のバンクシーのインタビュー映像が見つかりました。

 

 

この映像に出てくるバンクシーは、メガネをかけた顔といい、中肉中背の体型といい、ロビン・ガニンガムの写真にとてもよく似ています。この当時のバンクシーはまったくの無名であったため、遠目での映像とはいえ、まったく顔を隠すことなく映っています。もしかすると、有名な2003年のバンクシーのインタビュー映像とその当時に撮影されたという写真のほうがフェイクなのかもしれません。そもそも顔出しを嫌がるバンクシーが個展「Turf War」の宣伝のためとはいえ、このときだけばっちりと撮影されていることのほうが不思議なのです。その顔がイケメンであることも、モデルを使った替え玉であることをうかがわせます。インタビューを担当した記者が「バンクシーの顔についてはまったく覚えてないんだ」と語っていることも、いかにも打ち合わせがあったように聞こえます。


そうして2016年、再び新たな情報が出ました。ロンドン大学クイーン・メアリーの研究者たちが連続殺人犯などを追うために使うジオグラフィック・プロファイリングによって、ロビン・ガニンガムがバンクシーと同一人物であると断定しました。
研究者たちは、ロンドンとブリストルに点在する約140のバンクシー作品のロケーションと諸情報からバンクシーが頻繁に出現する“ホットスポット”を特定し、そこに現れる人物を調べました。その結果、やはりロビン・ガニンガムこそバンクシーであると結論づけられたというのです。
研究者たちは、バンクシーの正体を暴くことにはそれほどの興味はなく、この方法をテロの犯人の操作などに役立ててほしいと示唆しています。私たちも謎は謎のままにしておいたほうがいいのかもしれません。

 

音楽と美術を融合するヤング・ブリティッシュ・アーティストたち

以下は余談ですが、ブラーはバンクシーだけでなく他の現代アーティストとも関係が深いバンドです。
ブラーのメンバー4人のうち3人は、1980年代後半にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジでアートを学んでいます。
このカレッジは、ヤング・ブリティッシュ・アーティストと呼ばれるイギリスのニュー・ジェネレーションの芸術家を多数輩出しています。

輪切りの牛のホルマリン漬けやダイヤモンドの頭蓋骨で知られるダミアン・ハーストも、ブラーのメンバーと同時期にゴールドスミス・カレッジに通っていました。その縁で、ブラーの代表作『Country House』のプロモーション・ビデオの監督も務めています。
ダミアン・ハーストは、1998年にブラーのメンバーの一人と一緒にFat Lesなるバンドも結成していますから、相当仲がよかったのでしょう。

Blur『Country House』1995年・プロモーション・ビデオより(ダミアン・ハースト)

また、2000年にブラーが発表したベスト・アルバムのジャケットを描いたのは、同じくゴールドスミス・カレッジで学んだ現代アーティスト、ジュリアン・オピーでした。
東京オペラシティ・アートギャラリーでは、今年2019年の7月から9月までジュリアン・オピー展が開催され、盛況だったそうです。

Blur『The Best of Blur』2000年(ジュリアン・オピー)

バンクシーにしろ、ハーストにしろ、オピーにしろ、人気が出始めた頃にいちはやく目をつけて起用するのが、アートロックバンド、ブラーのセンスの良さと言えるでしょう。
実際、バンクシーは2004年以降、商業ビジネスとのコラボレーションをしていません。NIKEやマイクロソフトといった大手企業からのオファーも断っているそうです。

 

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