藤田嗣治 「ねこ」特集
藤田の描くネコ・猫・ねこ
横たわる乳白色の女性のそばにいるネコ、少女に抱かれる猫、自画像とねこ。 藤田はさまざまな作品に猫を登場させています。その姿は、気まぐれで時に野性的、そうかと思えば甘えているような、生きた猫の姿です。これは、藤田が実際に猫を飼い、常に猫に触れ、観察していたからこそできる表現ではないでしょうか。 毛の柔らかさや茶目っ気のある姿勢、体のあたたかさ。猫への愛と、デッサン力の高さがうかがえます。 藤田と猫との暮らしは、拾ってきた猫がいつの間にかアトリエに住み着いたのが始まりだそうですが、藤田は猫を友達であり、家族だと語っています。猫を飼っている方はもちろん、動物がお好きな方ならこの気持ちに共感できますよね。

人気の挿画本「猫の本」って?
人と共に描かれる猫のほか、1匹1匹の特徴をとらえ個性豊かに描かれた作品もあります。 「猫の本」は1930年に500部発行された挿画本。20匹の猫が1ページごとに生き生きとした姿で描かれ、マイケル・ジョセフの書いた、猫についてのストーリーが添えられています。猫には、旧約聖書やギリシア神話に登場する古代王朝の女王などの名前がつけられていて、気品ある表情もうかがえます。 圧巻なのが凛とした姿や愛らしい表情のほか、柔らかな体のラインと毛並みの表現。 藤田作品のファンの方はもちろん、猫好きの方にもたまらない一枚です。

藤田作品の価格高騰のワケ
2016年4月3日の香港のオークションで「猫とヌード」油彩100号が39,400,000香港ドル(日本円で約5億7千万円)で落札され話題となりましたが、同作品はその僅か2年前、2014年の3月にロンドンで開催されたオークションで、手数料込 £1,202,500(日本円で約2億5千6百万円)で落札されたもの。 2年で2倍以上に価格が高騰していることに驚かされます。 どうしてここまで、価格高騰が続いているかというと、藤田は生前に驚くほど多くの作品を描いたものの、油彩作品などが市場に出る数は少なく、世界的オークション会社のセールにも年間を通して油彩作品は数えるほどしか出ません。それに反して、お探しのお客様は多く、作品の価格がどうしても高くなってしまうのです。 また、中国人の富裕層が近代フランス絵画にも興味を持ち、美術市場に新たな買い手として参入してきていることも新たな要因の一つであるようです。

藤田研究者の第一人者、ビュイッソン氏による鑑定
藤田は人気が高い分、贋作も多く出回っています。 翠波画廊では、油彩、水彩、素描などの肉筆画は、日本で公式の鑑定機関の東京美術倶楽部の鑑定書付きのものを、また藤田のカタログレゾネに準ずる文献に記載のない版画は藤田研究の第一人者で鑑定家の、シルヴィ・ビュイッソン氏に鑑定をお願いしています。ビュイッソン氏の証明印や証明書が付いている作品の取り扱いもしています。 また、「猫の本」のような挿画本は本の状態で出版されるので、1枚1枚の版画には通常サインがありません。そのため当画廊ではできるだけセットの状態で仕入れ、間違いのない作品だけを販売しています。
今後、藤田作品の評価や価値が大きく下がることは 考えにくいといっていいでしょう。
そう考えると、買い時を逃さないことと 真贋の確かなものを持たれることをおすすめします。
これを機に芸術的価値、資産的価値、両者を備えた 藤田の「猫」をお家に迎えられてはいかがでしょうか?