本作品はピカソの作った原型から型取りして作られた100部のセラミック（陶器）に釉薬をかけ焼成したものです。
頬の赤みを帯びたオレンジ、周りに施された緑の釉薬は焼成する過程で1点1点、色や形が違ってきます。
そのため100部作られていても同じものはありません。
それもまた本作品の魅力かと思います。

ピカソは1947年から1971年にかけて、皿や鉢、水差しや花瓶など633種もの異なるセラミック作品をラミエの工房で制作しました。
父ジョルジュとともにその現場に携わった息子アラン・ラミエはその正確な記録を残すためにピカソのセラミック作品のカタログ・レゾネ(総目録)を編纂しました。
ピカソが生涯に制作したセラミック作品の全貌をまとめた最も権威ある文献です。

このレゾネには、限定数で制作されたセラミック作品633点のカラー図版と共に詳細な情報(タイトル、制作年、サイズ、技法、限定部数)が記載されており、制作年の順に番号が振られた各作品は、A.R XXX番という表記で識別されます。例えば最初にご紹介する作品は、A.R 36番です。
1988年に刊行され、現在では入手困難なこのカタログレゾネは、美術の研究者や専門家にとって欠かせない資料であり、真贋の判断や価値評価の基準として世界中で用いられています。
翠波画廊でもこのレゾネに掲載された間違いない作品をご紹介しております。

黒曜石のような深みのある黒地に、生き生きと彫り込まれた牧神（パン）の顔。その表情は、どこかユーモラスで、見ているだけで心が安らぎます。
ピカソならではの奔放な線と、温かみのある陶器の質感が融合し、時代を超えて愛される普遍的な魅力を放っています。

「黒い顔」は、単なる陶器ではありません。それは、20世紀美術の巨匠、パブロ・ピカソの息吹が感じられる、まさに生きた芸術作品です。
限られた数しか存在しないため、手に入れること自体が大変貴重な機会となります。

陶器の作品ですが保護を兼ね、額装して絵画と同じように壁に飾っていただけるよう後ろには紐を通してあります。
絵画と同じ様に壁に掛けていただいても、皿立てに乗せて飾っていただいても場所に合わせて楽しんでいただけます。

ピカソが晩年、精力的に取り組んだセラミック作品は、絵画や彫刻とはまた異なる、独特の魅力を持っています。
土という素材と向き合い、自由な発想で生み出された作品群は、ピカソの豊かな創造性の新たな側面を私たちに示してくれます。

南仏の明るい陽光の下、ラミエ工房の職人たちの熟練の技とピカソの芸術的な感性が融合して生まれた「黒い顔」。
その一つひとつには、ピカソの魂が宿っていると言っても過言ではありません。お手元に置くことで、ピカソの芸術をより身近に感じ、日々の生活に彩りと深みを与えてくれるはずです。

この特別な「黒い顔」との出会いを、ぜひこの機会に実現してください。

限定100部という希少性から、購入を検討されるようでしたらまたとない機会です。
今回は3種の「黒い顔」をご用意いたしました。