絵画に相続税はかかる?評価方法・鑑定費用・売却の選択肢を解説
大切なご家族が遺した絵画や美術品。「絵画にも相続税がかかるの?」「どのように評価されるの?」と疑問を持つ方は少なくありません。
実は、絵画は現金や不動産と同じく相続財産として扱われ、相続税の対象となる可能性があります。しかし、絵画の評価方法や申告手続きは一般的な財産と異なり、専門的な知識や注意が必要です。
この記事では、「絵画 相続税」をキーワードに、相続税がかかるケースや評価のポイント、鑑定費用、申告手続き、そして売却して現金化する方法まで、初めての方にも分かりやすく解説します。
絵画に相続税はかかる?

大切な方が遺した絵画。「これって相続税の対象になるの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、絵画の相続税に関する基本的な考え方や評価方法、注意点について分かりやすく解説します。
絵画も相続財産になる
絵画は現金や不動産と同じく、「相続財産」として扱われます。相続が発生した際、絵画や美術品も遺産分割や相続税の計算対象に含まれるため、見落としは禁物です。
特に、絵画は希少性や作家の評価によって価値が上昇するケースも多く、有名作家の作品は市場価格が安定しやすい傾向があります。
そのため、資産として遺したいと考える方も少なくありません。
正確な評価が必要なため、専門の鑑定士に依頼して市場価格や取引事例をもとに価値を算出するのが一般的です。
相続した財産全体の価値が基礎控除額を超える場合
相続税は、遺産全体の評価額が「基礎控除額」を超えた場合に発生します。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるため、例えば相続人が1人の場合は3,600万円が目安です。
絵画単体でこの金額を超えるケースは稀ですが、他の財産と合算して基礎控除額を上回る場合、絵画の評価額も相続税の課税対象となります。
特に複数の高額な絵画や美術品を所有している場合、合計額が想定以上になることもあるため注意が必要です。
相続財産全体の価値を把握し、基礎控除額を意識して手続きを進めましょう。
家庭用財産として扱われる場合
絵画の中でも、市場価値が低く一般的な家具や家電と同じような扱いになる場合は、「家庭用財産」として一括評価されるケースがあります。
例えば、1点あたりの評価額が5万円以下の作品は、家財道具の一部としてまとめて申告できるため、個別に相続税の対象とならない場合が多いです。
絵画の中でも作家が直接手掛けている原画や版画と違い、プリント絵画は高額になるケースは少なく、家庭用財産として評価されるケースが多いです。
ただし、価値が高い場合は個別評価となる可能性があります。思わぬ高額査定となる場合もあるため、必要に応じて専門家の意見を仰ぎ、適切に対応しましょう。
絵画の相続税評価方法

絵画や美術品は現金や不動産と違い、価値の判断が難しいため、適切な評価方法を知っておくことが大切です。
ここでは、絵画の相続税評価に用いられる主な方法として「市場での取引価格を基準にする方法」と「専門家(鑑定士)による評価」の2つを詳しく解説します。
実際に市場で取引された価格を基準にする
絵画の相続税評価では、まず「実際に市場で取引された価格(売買実例価格)」を基準にする方法が一般的です。
相続が発生した時点で同じ作家や類似作品がどのくらいの金額で売買されているかを調べ、その市場価格を参考に評価額を決定するやり方です。
例えば、オークションの落札価格や美術商の販売実績、買取業者の査定額などが具体的な参考資料となります。
市場での流通量が多い作家や作品の場合、この方法は客観性が高く、納税者と税務署の双方にとって納得しやすい評価方法です。
ただし、1点ものや市場での取引事例が少ない絵画については、この基準が使えない場合もあります。
専門家(鑑定士)が作品の価値を評価する
市場での取引事例がない、あるいは希少価値が高い1点ものの絵画の場合は、専門家(鑑定士)による評価が重要になります。
この方法は「精通者意見価格」と呼ばれ、美術品の知識や経験が豊富な鑑定士が、作家名や制作時期、保存状態、芸術的価値などを総合的に判断して評価額を算出します。
鑑定士による評価は、信頼性が高く、相続税の申告時にも根拠として認められやすいのが特徴です。
また、鑑定書を取得しておくことで、万が一税務署から指摘を受けた場合にも適切な説明が可能になります。
鑑定には費用がかかるものの、市場価格が不明な場合、トラブル防止のために迷わず専門家に相談しましょう。
絵画の鑑定書発行には費用がかかる

絵画を相続や売却の際に正しく評価するためには、専門家による鑑定書の取得が重要ですが、鑑定書の作成には一定の費用がかかります。
翠波画廊の鑑定書取得代行サービスの料金は以下の通りです。
- 日本人作家:1点あたり11,000円(税込)
- 海外作家:1点あたり55,000円(税込)
料金には、写真撮影や海外送金などの実費が別途かかる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
鑑定書を取得することで、作品の真贋や資産価値が明確になり、相続税の申告や将来の売却時にもスムーズな手続きが可能になります。
相続税対策や資産価値の把握のためにも、必要に応じて鑑定書の取得を検討しましょう。
絵画の相続手続き

絵画を相続した場合、どのような手順で手続きを進めればよいのか悩む方も多いでしょう。しかし、基本的な流れを押さえておけば、相続手続きはスムーズに進められます。
ここでは、財産のリスト化から専門家による評価、そして税務署への申告まで、絵画を含む相続手続きのポイントを分かりやすく解説します。
すべての財産をリスト化
絵画を含む相続手続きをスムーズに進めるためには、まず故人が所有していたすべての財産をリスト化することが重要です。
現金や預貯金、不動産だけではなく、絵画や骨董品などの動産も財産目録に記載しましょう。
特に絵画は、第三者から見ても資産価値があるものとして扱われるため、見落としがないよう注意が必要です。
リスト化の際は、パソコンやエクセルを使って項目ごとに整理すると分かりやすくなります。また、評価額は手元にある資料や通知書をもとに記載し、全体像を把握することが目的です。
財産を一覧にすることで、その後の評価や分配、申告の手続きがスムーズに進み、相続人間のトラブル防止にもつながります。
絵画の価値を専門家に依頼して明確化
財産リストに絵画を記載したら、次はその価値を正確に把握することが大切です。
絵画は作者や保存状態、希少性などによって評価額が大きく異なるため、専門の鑑定士や美術商に査定を依頼しましょう。
専門家による評価は、相続税の計算や分配時の根拠資料としても非常に重要です。鑑定書が発行されれば、税務署や他の相続人にも納得してもらいやすくなります。
また、オークションの落札価格や市場での取引事例も参考にされるため、信頼できる専門家を選ぶことがポイントです。正確な評価をもとに、相続財産全体の価値を明確にし、次の手続きへ進みましょう。
税務署への申告
絵画を含めた相続財産の評価が終わったら、相続税の申告手続きに進みます。
相続税の申告は、相続開始から10ヶ月以内に税務署へ行う必要があり、期限を過ぎると加算税や延滞税が発生するため注意が必要です。
申告時には、戸籍謄本や遺言書、絵画の評価書など必要書類を揃えて提出します。評価額が基礎控除を超える場合は、相続税が課税されるため、正確な計算が求められます。
専門家による評価書があれば、税務署からの指摘やトラブルを防げ、スムーズな手続きにつながります。早めに準備を進め、期限内の申告を心がけましょう。
申告漏れが発覚した場合のペナルティ

絵画を含む相続財産の申告漏れが発覚した場合、税務署から厳しいペナルティが科されます。
相続税の申告や納付には「被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内」という明確な期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと延滞税や加算税が発生します。
例えば、申告自体をしなかった場合は「無申告加算税」が課され、税務署から指摘を受けて申告した場合は本税の15%(納付税額が50万円を超える部分は20%)が追加で必要です。
納付が遅れた際には延滞税も発生し、2か月以内であれば2.9%、それ以降は年9.2%と高額になる可能性も否定できません。
さらに、財産を意図的に隠したり仮装した場合には「重加算税」として本税の最大40%が課されるなど、悪質と判断されるとより重い罰則が科されます。
申告漏れに気付いた場合は、できるだけ早く自主的に修正申告を行うことで、ペナルティの軽減が期待できます。相続税の申告は期限内に正確に行い、申告漏れや納税の遅れを防ぐことが大切です。
申告漏れの原因とよくあるケース

絵画を相続した際、申告漏れが発生するケースは少なくありません。ここでは、実際によく見られる申告漏れの原因について詳しく解説します。
絵画の価値を把握していない場合
絵画の申告漏れで最も多い原因のひとつが、「価値を正しく把握していないこと」です。絵画は現金や不動産と違い、その価値が一目で分かりにくい資産です。
特に、作者や作品の希少性、保存状態などによって評価額が大きく変わるため、相続人が「大した額にはならない」と自己判断してしまうケースが少なくありません。
しかし、実際には高額な評価となる場合も多く、申告を怠ると後から税務署に指摘され、追徴課税や加算税などのペナルティが発生します。
相続財産として認識していない場合
絵画が相続財産に含まれること自体を認識していないケースも、申告漏れの大きな要因です。
絵画や美術品は預貯金や不動産のように名義が明確でないため、遺品整理の際に見落とされやすい傾向があります。
また、被相続人がコレクションを家族に知らせていなかった場合や、押し入れや倉庫にしまい込まれていた場合など、存在自体に気付かず申告しないまま手続きが進んでしまうケースもあります。
さらに、税務署は美術品の販売先リストや購入記録を把握している場合も多いため、後から申告漏れが発覚しペナルティを受けるリスクも少なくはありません。
相続時には、家の中を丁寧に確認し、見落としがないよう注意しましょう。
鑑定を怠った場合
絵画の価値が分からないまま鑑定をせずに申告を済ませてしまうことも、申告漏れの原因となります。
専門家による鑑定を行わず、「安いものだろう」と自己判断で申告しなかった場合、実は高額な価値があったと後から判明するケースも珍しくありません。
また、鑑定を怠ることで正しい評価額が分からず、結果的に過少申告や無申告となり、追徴課税や重加算税などのペナルティが発生するリスクが高まります。
絵画の価値は素人判断が難しいため、必ず専門家に鑑定を依頼し、正確な評価額をもとに相続税の申告を行うことが、トラブル回避のポイントです。
絵画を売却して現金化する選択肢

相続した絵画を現金化する方法として、売却を選ぶ方は少なくありません。
絵画は評価や分配が難しい資産ですが、現金化することで納税資金を確保できたり、相続人間のトラブルを防ぐ効果も期待できます。
相続した絵画を現金化したい場合、画廊やギャラリーへ買取を依頼するのがおすすめです。
画廊は美術品の専門知識が豊富なスタッフが多く在籍しているため、作品の本当の価値を見極めたうえで、相場よりも高い価格で買い取ってもらえる可能性が高いです。
また、画廊には熱心なコレクターや常連客がいる場合も多く、需要が高い作品であれば思わぬ高値がつくケースも珍しくありません。
さらに、画廊やギャラリーではその場で査定してもらえるため、安心して取引できる点も大きなメリットです。買取後は店舗で大切に販売されるため、作品の扱いにも信頼がもてます。
一方、リサイクルショップや一般的な買取専門業者では、美術品としての価値が正しく評価されず、安価な査定になるリスクもあります。
「せっかくの絵画を納得のいく価格で売りたい」「大切にしてきた作品だから、信頼できる専門家に任せたい」と考えるなら、画廊やギャラリーへの売却を検討するのがおすすめです。
まとめ
絵画は現金や不動産と同じく相続財産として扱われ、相続税の対象になる場合があります。
特に有名作家や希少性の高い作品は高額評価となるケースも多く、正確な価値の把握と専門家による鑑定が重要です。
評価額や申告手続きに不備があると、追徴課税などのペナルティが発生するため、早めの準備と適切な対応が求められます。
翠波画廊では、真贋に細心の注意をはらい、鑑定書取得の代行サービスを提供しています。また、店頭や配送、出張での買取サービスも実施中です。
相続や売却でお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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