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アート投資、胡散臭さの向こう側にある確かな現実(前編)

“投資”ではなく“時間”が教えてくれたアートの真価

ウォーホル「リズ」オフセットリトグラフ 約300部

かつて私は「アートを投資として語ること」に、正直なところ強い違和感を抱いていました。
価格が上がる、儲かる、値動きがどうだ、そうした文脈で語られるアートは、どこか胡散臭く、本来の美術のあり方から遠ざかっているように感じていたからです。
それを謳い文句にして作品を販売すること自体が、画廊として無責任なのではないかとさえ思っていました。
翠波画廊では長年「まず美しいと感じるか」「この作品を本当に所有したいと思えるか」という感覚を、何より大切にしてきました。
それは感情論ではなく、アートの本質的価値を見極めるための、最も誠実な態度だと考えてきたからです。

長い時間が教えてくれた、アート価値の確かな積み上がり

ピカソ「闘牛士」1959年 リノカット 50部
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しかし近年、市場と向き合い続ける中で、私自身の考えにも少しずつ変化が生まれてきました。
印象派からエコール・ド・パリ、そしてアメリカのポップアートに至るまで、美術史に確かな位置を占める近代巨匠たちの作品を、30年、50年という長い時間軸で振り返ると、ひとつの事実が浮かび上がってきます。
それは、短期的な上下はあっても、本質的な価値は失われず、経済的価値もまた、ともに静かに積み上がってきたという事実です。
売買のタイミングを見計らい、短期間で利益を得ようとする発想は、アートの本質とも、市場の実態とも相容れないものです。
だからこそ、短期的な値動きを前提とした「投資話」には、私は今も慎重であり続けています。
これは投機とはまったく異なるということです。
流行を追い、値上がりを煽り、売り抜ける、そうした世界とは別の場所で、アートは時間とともに評価を深めてきました。

供給は止まり、需要は増え続ける

藤田嗣治「少女像」油彩
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近代巨匠の作品が新たに作られることは、もう二度とありません
作家はすでに亡くなり、供給は増えず、優れた作品ほど美術館や財団に収蔵され、市場から姿を消していきます。
一方で、世界の富裕層は増え、「確かな文化資産」を求める人は確実に増え続けている。
その結果として、価格が“後からついてくる”——それが近代巨匠作品の歩んできた道筋です。
日本ではまだ一般的な考え方とは言えないかもしれませんが、欧米では、アート作品を単なる「投資対象」としてではなく、株式や不動産と並ぶ資産ポートフォリオの一部として組み込む考え方が、広く定着しています。
それは価格変動を追いかけるためではありません。
時間に耐え、価値を失いにくく、文化的裏付けを持つ資産を、長期にわたって保有するための選択です。
アートは、資産分散という意味でも、精神的な満足という意味でも、極めて特異な役割を果たしてきたのです。

創作の未来に参加するという選択

井上神節「冬麗アソベの風」日本画 10号
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ここでひとつ、はっきりさせておきたいのですが、アートは短期の投資には決して向いていません
ただし、アートを「投資」という視点で考え得る領域が、まったく存在しないわけではありません。
それは、これからの時代を担う若いアーティストの将来性に賭け、その作品を購入することで応援するという行為です。
まだ評価が定まっていない段階で作品を迎え入れ、作家の歩みを見守り、ときに支えながら、その成長に夢を託す。
そこには、価格の上昇を計算するというよりも、創作の未来に参加するという意味合いが強くあります。
また作家にとっては、作品を購入してくれる存在が何よりの励みとなり、次の制作へと進む力になります。

資産としてのアートを誠実に提案するために

ギィ・デサップ「パリの夜(エッフェル塔)」油彩 12号
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もっとも、これも結果を急ぐようなものではありません。
評価が定まり、社会的な位置づけが築かれるまでには、やはり長い時間が必要です。若い作家に託すという行為もまた、短期の投機とは正反対の、忍耐と継続を前提とした関わり方だと言えるでしょう。
翠波画廊では、短期的な話題性よりも、資産として長くお持ちいただける本物の作品を、多くの方にご提案していきたいと考えています。
次回は、「資産承継を超えてー美意識と教養を手渡すアート」をお届けします。

資産性のあるアート作品をお探しの方は、ぜひ翠波画廊にご相談ください。

 

 

翠波画廊代表 髙橋芳郎

株式会社ブリュッケ(翠波画廊)代表取締役。
美術大学卒業後、都内の画廊での修行を経て、1990年に独立。 2001年、故郷の秀峰の名を冠した「翠波画廊」をオープンさせる。
以降長きにわたり、ピカソ、マティス、藤田嗣治、ユトリロ、ローランサン等フランスの近代巨匠から、
ウォーホル、キース・へリング等現代アートまで幅広く扱う。

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髙橋芳郎『なぜ人はアートに惹かれるのか』
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―知識人や富裕層がアートを買う理由、美と所有の本質」

 

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その戸惑いは、ロマン主義以降の “心で味わう鑑賞” と、現代アートの “意図を読み解く鑑賞” が同じ空間に並び立つ二重構造に理由がありました。
本書はその経験を凝縮した、待望の4作目です。
絵を見る喜びとはどこにあるのか。なぜ人は作品に惹かれるのか。日々お客様と作品の前で交わしてきた視点や気づきをもとに、アートが持つ魅力と価値を、専門知識に頼らず読み解いていきます。

 

単行本:228ページ
出版社:晶文社
著者:髙橋芳郎

 

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