アートコラム

あの画家に学ぶ100年時代の人生戦略

2019/01/09

2018年の敬老の日、厚生労働省は100歳以上の高齢者(センテナリアン)が日本に約7万人いると発表しました。中曽根康弘元首相も、2018年に100歳の誕生日を迎えています。
ちなみに7万人のセンテナリアンの約9割が女性だそうです。やはり女性は男性より長寿ですね。
画家にも100歳以上の高齢者は少なくありません。驚くべきことに、その多くが100歳を超えても現役を続けているのです。
今回は、以前もご紹介した画家さんに新たな画家さんも加え、改めてご長寿の美術家を特集します。

 

100歳を超える美術家として最も著名なのが、翠波画廊でも作品を取り扱っている篠田桃紅さんです。
1913年生まれの篠田さんは、2019年に数え年で107歳。国際的に評価される書家として、老いてますます盛んな姿を見せてくれます。

 

油絵の画家としては、1916年生まれで数え年104歳の入江一子さんをあげることができます。シルクロードをライフワークとして描き続ける入江さんは、100歳を過ぎてからも成長を実感するほど絵に情熱を傾ける現役画家です。

画家ではありませんが、写真家の笹本恒子さんも数え年で106歳。1914年生まれで、若い頃は絵の勉強をしていましたが、挿絵の仕事を通じて新聞社で仕事をするようになり、後に女性報道写真家の第一号となりました。

 

海外では映画『100歳の現役アーティスト』で有名になった、103歳のミニマル・アートの画家、カルメン・ヘレラさんがいます。1915年生まれのヘレラさんはキューバ生まれですが、アメリカ人男性と結婚して渡米してから本格的に絵を描き始めます。20代から作品を発表し続けた彼女が美術界に認められたのは、なんと89歳になってからでした。

 

以上は、2019年現在も存命の現役アーティストたちですが、物故作家の中にも100歳越えの方は少なくありません。

 

画家として有名なのは、翠波画廊でも作品を取り扱っている小倉遊亀さんと片岡球子さんでしょう。お二人はそれぞれ数え年で享年106歳と104歳。日本の女性画家の草分けとして、画壇を牽引してくれました。

 

 

彫刻家では、男性の平櫛田中(ひらぐし・でんちゅう)さん、北村西望(きたむら・せいぼう)さん、竹内不忘(たけうち・ふぼう)さんを、挙げることができます。女性に比べて寿命の短い男性ですが、彫刻家は仕事柄、肉体が頑健だからでしょうか、お三方はそれぞれ数え年で108歳、103歳、103歳の天寿を全うされました。

 

最後に、男性画家で100歳越えのセンテナリアンとして、翠波画廊でも作品を取り扱っている奥村土牛さんをご紹介します。
1889年生まれの奥村さんは、1990年に亡くなったときには、数え年で102歳でした。
本名を義三という奥村さんの雅号の土牛は、中国の寒山の漢詩「土牛、石田を耕す」から取ったものです。
自叙伝によれば「石ころの多い荒れ地を根気よく耕し、やがては美田に変えるように、お前もたゆまず精進しなさい」と父親がつけてくれたものだそうです。

 

その言葉通り、奥村土牛さんは美術学校の教師を続けながら、地道に絵を描き続けました。
そして、数え年74歳で文化勲章を受章し、戦後画壇を代表する日本画家となったのです。

 

余談ですが、奥村さんがあまりにも高名になったため、没後に遺族に課される相続税も巨額になりました。だからといって現金が多く残っているわけでもなく、高額な絵が売れるわけでもなく、困った息子さんたちは不出来なスケッチを燃やしたり、作品を美術館に寄付したりして、評価額を減らしたそうです。それでも相続税負担は重く、納税を済ませるのには時間がかかりました。
その顛末は『相続税が払えない―父・奥村土牛の素描を燃やしたわけ』(ネスコ)に詳しく書かれています。興味のある方はご一読を。

 

ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で説いたように、今や多くの人が100年を超える人生をおくるようになりました。
数え年114歳で大往生された画家、後藤はつのさんが絵を描き始めたのは73歳のときで、初めての個展の開催が102歳でした。何歳からでも、新しい挑戦を始めることはできます。
さて、今年はどんな新しい試みに取り組みましょうか。
もし初めて絵を買う場合は、ぜひ翠波画廊にお手伝いさせてください。

 


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