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静かに動き始めた市場~Banksy版画をめぐる現在地

美術市場の変化は、いつも静かに始まります。
大きな見出しになる前に、まず現場の空気が変わる。
それを肌で感じられるかどうかは、長く市場と向き合ってきたかどうかにかかっています。
ここ数年、現代アート、とりわけ版画市場は、落ち着いた時間を過ごしてきました。
一時の熱気が収まり、「いまは動かないほうがいいのではないか」と感じていた方も多かったのではないでしょうか。
数年前の熱狂が嘘のように、Banksyの版画もまた、その流れの中にありました。
しかし現在、その市場に小さな、しかし確かな変化が起きています。

価格よりも、先に変わるもの

「Bomb Love」2003年 シルクスクリーン 150部
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市場が動き始めるとき、最初に変わるのは価格ではありません。
変わるのは、アーティストや作品の「選ばれ方」です。

 

最近の公開の取引を注意深く見ていると、
• オークションでの落札率が増えてきている
• 再び市場に出た際、評価が大きく崩れにくくなっている
• 購入後、慌てて手放される作品が減って流通量が減っている

といった傾向が、一部のアーティストに見て取れます。

 

派手な上昇ではありません。
むしろ、落ち着いた動きです。
しかし、だからこそ私たちは、この変化を信頼できるものだと感じています。

版画が映す、市場心理の現在

 

版画は、美術市場の中でも特殊な存在です。
同じ図柄が複数枚あるため価格の比較がしやすく、情報も多く、その分、買い手の心理が非常に素直に反映されます。
だからこそ、市場の回復は、まず版画から始まることが少なくありません。
今回のBanksy版画の動きも、長い調整期間を経て、「評価が落ち着くべきところに落ち着いた」そんな印象を受けます。
これは、価格が戻ったという話ではなく、市場が成熟したという話です。

選ばれる作品には、理由がある

バンクシー公式認証機関「ペストコントロール」のCOA

現在、安定して関心を集めているBanksyの作品には、いくつかの共通点があります。
Banksyという作家の本質が、端的に伝わるモチーフ。
社会への視線が、いまも有効なかたちで残っている作品。
時代背景を知るほどに、読み解きが深まる表現。
一方で、話題性だけで注目されていた作品は、以前ほどの勢いを取り戻していません。
これは市場が冷えたのではなく、見る側が成熟した結果だと私たちは考えています。

 

市場が落ち着くと、これまで軽視されがちだった要素が、再び意識され始めます。
署名の有無、モティーフの人気度、制作された背景や、当時の状況。
これらは本来、作品の価値を語るうえで欠かせない要素です。
低迷期には見過ごされがちだった「違い」が、いま、静かに評価へとつながっています。

Banksyという、いまだ例のない存在

「赤い風船と少女(Balloon Girl)」 引用:Banksy

ここで、あらためて考えたいのが、Banksyというアーティストの特異性です。
匿名性を保ち続けながら、現代社会に鋭い問いを投げかけ、ときに世界を驚かせる「出来事」そのものを作品化してきた作家。
このような存在は、美術史の中でも決して多くはありません。
Banksyは現在、あえて静かにしているようにも見えます。
しかし、それは終わりを意味する静けさではなく、次の一手を内包した沈黙と捉えることもできるでしょう。
もし、再び世界を「あっ」と言わせるような予想外の行動やパフォーマンスが起これば、市場の評価が大きく動く可能性を秘めている。
それは、これまでの歴史が示してきた事実でもあります。

 

美術市場は、これまで何度も同じ道を歩んできました。
熱狂があり、調整があり、そして、本当に残るものが選び取られていく。
今回のBanksy版画市場の動きも、その延長線上にあるものです。
「戻った」のではなく、次の段階に進んだ
私たちは、そう捉えています。

いま、作品を見るということ

「Grannies」2006年 シルクスクリーン 500部
詳細はこちら>>

これからBanksyの版画をご覧になる際、「価格がどうなるか」だけを気にする必要はありません。
なぜこの作品なのか。
なぜ、いま再び選ばれているのか。
自分自身が、この一枚と長く向き合えるかどうか。
そうした視点で見ていただくことで、市場の数字とは別のところに、作品そのものの価値が立ち上がってくるはずです。
静かな回復の兆しは、いつも大きな声では語られません。
だからこそ私たちは、いま、このタイミングを仕入れの時期だと考えています。

資産性の高いアート作品をお探しの方は、ぜひ翠波画廊にご相談ください。

 

 

翠波画廊代表 髙橋芳郎

株式会社ブリュッケ(翠波画廊)代表取締役。
美術大学卒業後、都内の画廊での修行を経て、1990年に独立。 2001年、故郷の秀峰の名を冠した「翠波画廊」をオープンさせる。
以降長きにわたり、ピカソ、マティス、藤田嗣治、ユトリロ、ローランサン等フランスの近代巨匠から、
ウォーホル、キース・へリング等現代アートまで幅広く扱う。

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