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BANKSY《Sale Ends》は、どこがアート作品なのか?
~なぜバンクシーはバージョン2を作ったかの謎に迫る

バンクシーの数多い版画作品の中でも人気のある《Sale Ends》。
「SALE ENDS TODAY」(本日セール最終日)と書かれたポスターを前に、嘆き悲しむ人々を描いた絵です。
「セール最終日」を嘆くということは、おそらく買い物が好きな人々なのでしょう。
しかし、彼女たちはフードをかぶっていて、どことなく巡礼者のような信仰心のあつい人々にも見えます。
今回は、この絵の意味をひもといてみましょう。

ぎりぎり合法の展覧会を開くバンクシー

BANKSY《Sale Ends Today》2006 ©Christie’s

バンクシー《Sale Ends》(セール・エンズ)は、2006年9月にロサンゼルスの工業倉庫で開催された「Barely Legal」(ベアリー・リーガル)展で初めて公開された作品です。
「ベアリー・リーガル」は、バンクシーがアメリカで知名度をあげるきっかけになった個展で、展覧会名の意味は「かろうじて合法」。バンクシーらしい挑発でした。
その言葉通り、この展覧会には、全身を赤と金でスプレーペイントされた、生きている象が展示されました。
「動物虐待」と非難された作品ですが、事前にロサンゼルスの動物愛護協会の許可をとっていたので「かろうじて合法」と認められました(合法であっても、批判はたくさん寄せられます)。
なぜバンクシーがそこまでして象にこだわったかといえば、「Elephant in the room(部屋の中の象)」という英語の慣用表現とひっかけるためでした。この言葉は「見えているのに誰もそれに触れようとしない」という意味です。
展覧会のチラシには次のように書かれていました。
「部屋の中に象がいる。私たちが決して語ろうとはしない問題がある。事実として、人生は公平にならない。世界中で、17億人がきれいな飲料水を飲むことができない。20億人が貧困ラインより下の生活をおくっている。世界は最悪だと言いながら実際には何もしようとせず展覧会を訪れる愚か者によって、毎日、何百人もの人々が病気になっている。無料のワインを一杯いかが?――バンクシー、ロサンゼルス、2006」
これは、富裕層の娯楽となっているアート業界に対するバンクシーの皮肉でした。
そんななかで展示された《セール・エンズ》は幅4メートルを超える横長のキャンバス作品です。

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キリスト教の宗教画のパロディ?

© f_snarfel / Crucifixion © Giotto di Bondone c.1320

バンクシー《セール・エンズ》に描かれたのは、消費社会を象徴する「セール」の最終日を告知するポスターと、それを見ておおげさに嘆き悲しむ4人の女性たちの姿です。
天を仰いで嘆く女性たちは、キリストの磔刑を悲しむキリスト教の信者たちのパロディです。彼女たちのローブや仕草は、ルネサンスやオールド・マスターの宗教画を彷彿とさせます。
モノやカネが現代人にとって「ほとんど宗教的信仰」として崇拝されていることを批判的に示唆して、資本主義や拝金主義を揶揄した作品なのでしょう。
当時は、ブラックフライデーなど大規模セールの活発化に象徴される過度な消費文化への関心が高まっており、こうした現象への非難を込めて制作された作品と考えられます。

よくできた作品だったので版画としても販売された

Sale Ends © Banksy 2006

展覧会の目玉の一つともいえる《セール・エンズ》は、「ベアリー・リーガル」の展覧会場で実際に販売された6種類の版画の1枚に選ばれました。
《Sale Ends》、《Grannies》、《Applause》、《Festival》、《Trolleys》、《Morons》の6種類の版画は、シルクスクリーン制作で、1枚あたり56×76cmのサインなしエディションとして売られました。価格は1枚500ドルです。
この6種類の版画は、エディションナンバーでは500部となっていますが、実際に販売されたのは100枚だったので、希少価値が高く、バンクシーの版画の中でも人気が高いものとなっています。
また、サインありエディションも2007年に150部限定で制作されました。

バージョン2が作られたほどの人気作品

Sale Ends V2 © Banksy 2017
《セールス・エンズ》の版画を制作したのは、バンクシー公認の印刷会社Pictures On Walls(壁の絵)でした。
しかし、2017年いっぱいでバンクシーはPictures On Walls(POW)との関係を断つことにしました。
その理由についてバンクシーは「ベンチャー反資本主義者に乗っ取られたので、2017年12月31日をもって取引を終了する」と述べています。
これによってバンクシーはこれまでおこなってきた自前の版画制作を終了することになり、それを記念して最後に《セール・エンズ》のバージョン2(V2)の版画を500部制作しました。
バージョン2では4人の女性に加えて1人の男性が追加され、バンクシーの版画の販売(セール)終了を嘆くという意味合いが付け加えられています。
バンクシーの人気の高まりにともない、この新板は抽選販売となりました。業者が並んで入手して高値で転売するのを避けるための措置です。
2017年のサイン入り《セール・エンズ》V2は、バンクシーの人気が爆発した2021年4月には、オークションで5万2,500ポンド(手数料込み)を記録しました。
さらに2021年5月には、キャンバス版の《セール・エンズ》がクリスティーズのオークションにて手数料込み606万ドルで落札されました。これは当時のバンクシー作品の落札記録に迫る高額でした。

翠波画廊では、世界に一点の貴重な肉筆作品から比較的手頃な版画作品まで幅広く取り扱っています。
ぜひご覧になってください。

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