版画のエディション表記
限定数がない版画は価値がない?
今では向かって左下にエディション、右下にサイン(署名)をするのが世界的なコンセンサスとなっていますが、画面右下にサインをするようになったのは19世紀末頃からです。 版画にサインと限定数を記すというのがオリジナル版画の必須条件となったのは、1960年のウィーンでの国際造形美術会議以降です。それ以前の20世紀の巨匠による版画でも、エディション、サインの無いもの、あるいはエディションが無くサインだけがされたものといろいろなパターンが存在しました。エディション番号の有無
藤田嗣治「四十雀」セット(リトグラフ21点入り)1963年 261部
連作版画や装画本としてセット売りされた版画の場合などは、作品の仕様や限定数、版元や制作年が記載された「奥付」と呼ばれるページにまとめてサインされている場合もあり、一点一点の版画にはサインが有りません。
ただし巨匠のオリジナル版画であれば必ず限定数を決めて制作されています。カタログレゾネ(作品総目録)を紐解けば限定数を確認することができます。
藤田嗣治「小さな職人」奥付。藤田の直筆サイン、エディション、エディションごとの説明が記載。
今日の常識に当てはめて、サインとエディション番号の記載が無ければ美術的価値が低いのではないかと思われている方もいるかもしれません。しかし、版画にサインとエディション番号を記す習慣が無かった時代の版画や挿画本に挿入されて売られた版画作品にサインとエディション番号が無いというのは不自然なことではないのです。
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