巨匠を魅了した版画制作
版画を作るというのは、絵を描くのとは違う大変な手間と労力が必要になってきます。 また、大がかりな設備が必要で工房に行かなければならないとか、サイズの大きなものは作りにくい、思った色が出せないなどの制約がいろいろあります。 ではなぜ、20世紀以降のほとんどの画家が多かれ少なかれ手間暇のかかる版画制作に労を惜しまず取り組んだかというと、それは画家にとって予期せぬ効果、思わぬ発見があったからです。偶然から生まれる魅力
シャガール「オデュッセイア:キルケー」
1975年(リトグラフ)
現に多くの画家が版画制作の最終段階の版に紙を当て、刷り上がる瞬間が最も気持が高揚すると言っています。
特にシャガールは版画制作に情熱を傾け、生前に約1100点のリトグラフとその他、銅版画、木版画、リノカットなどの多くの版画を残していますが、
「私は版画が大好きです。また、石版画の石、銅版画の版に触れる時、お守りを手にした時のような神聖で豊かな気持ちになるのです」と語っています。
それは版画を作る行為が自分の意思で100%コントロールできるものではなく、制作の段階での偶然性によって生まれる色彩の効果が、時には当初の予定したもの以上の仕上がりとなってくる版画の不思議な魅力を言い得ているのだろうと思います。
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