お知らせ

見逃していませんか? 今年注目の展覧会!

2018/05/31

エコール・ド・パリの時代、日本人洋画家の中で唯一世界的な成功を収めた、藤田嗣治。

藤田の没後50年にあたる2018年、フランスのマイヨール美術館でも回顧展が開催され、

世界的に藤田への注目が集まっています。マイヨール美術館での展示では、

平日午後でも入場待ちの列ができるほど盛況のようです。

そしてここ日本でも、2つの注目すべき展覧会が開催されます。

 

1つは、東京都美術館で7月から開催予定で、その後京都国立近代美術館に巡回する、

「没後50年 藤田嗣治展」。初来日の肉筆作品も含め、過去最大規模の藤田の回顧展ということで、今年の日本の美術展の中でも、一番と言っていいほどの話題をさらっています。

 

そして藤田のファンであれば見逃せない、もう1つの展覧会が、現在目黒区美術館にて開催中の
「没後50年 藤田嗣治 本のしごと-文字を装う絵の世界-」です。
こちらは、先に挙げた回顧展に比べると、「本のしごと」というマニアックな展示内容ですが、本の挿絵という大衆的な作品を通して、巨匠画家の藤田の素顔が垣間見える展覧会として、ファンの間で話題となっています。
画家藤田嗣治を理解する上で必見の展覧会ということで、先日翠波画廊スタッフが鑑賞しに行ってきました。その模様をお届けいたします。

 

「エロスの愉しみ:室内のカップル」1927年 ポショワール

 

目黒駅から徒歩10分ほどの、目黒川沿いに佇む目黒区美術館。中に入ると、大きく4つのテーマに分かれて展示がされていました。

 

まず、1919年サロン・ドートンヌで出品した6点すべてが入選し、パリ画壇においてその頭角を現しはじめた33歳の藤田が、はじめて手掛けた『詩数篇』に始まり、1920年代にフランスで出版した数々の挿画本。続いて、1930年代日本に帰国してからの本の表紙や挿絵などのしごと、そして戦後日本を離れ、再びフランスに渡った藤田が残した代表作まで、3つの時代の流れと共に作品が展示されています。それに加えて藤田が愛した猫をテーマとした展示のゾーンがあり、没後50年の節目にふさわしい、充実した展示内容となっていました。

 

「四十雀」挿画本

挿画本とは?

藤田が手掛けた挿画本とは、そもそもどのような本なのでしょうか?

挿画本とは、古典文学や現代の詩人などによる文章に、画家がイメージを膨らませて挿絵を描いた本のことです。その多くは限定部数のもと、版画技法や紙にこだわって制作された豪華本でした。19世紀後半から20世紀に、美術作品の普及を目指した画商や出版者からの依頼により、挿画本の制作は盛んとなり、希少価値の高い芸術作品として、愛書家や絵画の愛好家たちの収集対象となりました。藤田のほか、ピカソやシャガール、マチス、ルオーなど巨匠画家たちがこの頃、多くの挿画本制作を手掛けています。

(挿画本について、さらに詳しい解説はこちらもご参照ください。→ 版画について 挿画本 >>

 

 

50冊以上もの挿画本を手掛けた藤田

生涯で50冊以上の挿画本を手掛けた藤田ですが、その大半は1920年代に制作されたものです。怪奇小説、喜劇、自伝小説、愛をテーマにした詩集や散文など、様々なジャンルに渡りますが、なかでも『日本昔噺』『芸者のうた』『お梅さんの三度目の青春』など、日本の文化や風習に関する本の挿絵を多く手がけていたことが印象的でした。この頃の藤田はフランスで高く評価され、国際的な成功を収めたのにもかかわらず、日本画壇からは冷ややかな目で見られていた時期でした。それでも日本人であることを誰よりも意識していた藤田だからこそ、こういった日本に関する本のしごとも積極的に手掛けたのかもしれません。

「お梅さんの三度目の青春:雪の日(スイート版)」1926年 銅版画

 

日本での本のしごと、そして再びフランスへ

1929年藤田は実に17年ぶりに日本の地を踏みます。その際は数ヶ月の短い滞在でしたが、4年後の1933年、本格的に帰国し日本に拠点を移します。日本での本のしごとは、挿絵のみならず、雑誌の表紙や新聞連載など多岐に渡りました。

しかし日本が敗戦すると、藤田は戦争画を描いた戦犯だという強いバッシングを受け、日本画壇に対して強く失望します。藤田はアメリカ経由でフランスへ渡り、その後二度と日本に帰ることはありませんでした。

1950年フランスに戻った藤田は、精神的苦痛を強いられる日本を離れて自由な制作環境を取り戻し、晩年に至るまで、名作と呼ばれる挿画本を残しています。この頃に出版された『魅せられし河』『四十雀』などの挿画本は、藤田の代表的な版画作品として数えられます。翠波画廊のお客様にも大変人気の作品たちを美術館で眺めて、こうした名作をお客様の元に届けられる喜びを改めて感じました。このレポートの最後に、翠波画廊お勧めの藤田の挿画本をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

 

「四十雀:詩人」1963年 リトグラフ

 

今回の展示会では、挿画本をはじめとする本の仕事の他に、藤田が10代の頃に親しい友人に宛てた絵ハガキや、最初の妻とみに宛てた手紙、そして戦後ニューヨークに滞在していた頃の絵手紙も展示されていました。
藤田の手紙からは、妻に対する愛情や、コミカルな一面など、藤田の性格や人柄といった部分を垣間見ることができ、挿絵の作品と並んで、素顔の藤田像がうかがい知れる展示でした。

 

展示も大充実の「没後50年 藤田嗣治 本のしごと-文字を装う絵の世界-」。
目黒区美術館では6月10日(日)まで開催中です。

今後、藤田の絵を飾ってみたいなと考えていらっしゃる方には、作品が制作された背景や、藤田の画業の中でどういった位置づけの作品なのか、大変参考になる展覧会です。

ぜひこの週末に訪れてみてはいかがでしょうか。

 

藤田嗣治の挿画本から、

翠波画廊お勧めの3点はこちら!

 

「魅せられし河:お針子娘」

1951年 銅版画 315部

価格:お問い合わせください

 

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藤田65歳の誕生日を祝して出版された挿画本「魅せられし河」。今では高級ブティックが立ち並ぶ、フォーブール・サントノーレ通りに関する本です。その美しい街並を”魅せられたる河のようだ”と 詩的に表現した著者のイメージにあうような、全26点の挿絵を藤田が描いた名作です。エッチングによる美しくなめらかな線で、パリの風景や人物がいきいきと描かれたこの挿画本により、藤田はパリ市から名誉ある勲章を与えられます。

「魅せられし河」のなかでもとりわけ人気が高いこちらの作品は、藤田の得意とする美しい女性像を堪能できる作品として、お勧めの一枚です。

 

「魅せられし河」その他の作品 >>

 

 

「猫の本:アビハイル」

1930年 コロタイプ 500部

価格:お問い合わせください

 

お問い合わせ >>

 

1930年、数か月の日本滞在を終えた藤田は、アメリカ経由でパリに戻ります。わずかなニューヨーク滞在中に出版されたのが、「猫の本」です。 藤田が前年パリで描いた素描をもとに、フランスの手漉きのアルシュ紙にコロタイプで印刷され、500部限定で制作されました。それぞれの猫には、イギリス人の詩人マイケル・ジョゼフがつけた猫の名前と書き下ろしの短文が 添えられています。

前足をぐっとのばす「アビハイル」の仕草からは、愛猫家だった藤田の観察力の高さが感じられます。

 

猫の本」その他の作品 >>

 

 

「小さな職人:魚屋」

1960年 木版画 261部

価格:お問い合わせください

 

お問い合わせ >>

 

パリの風俗をテーマとしたアルベール・フルニエとギイ・ドルナンのテキストに藤田の21点の多色刷り木口木版の挿画が入った作品。ブルジョワ的な職業ではなく、フランスに昔ながら存在する物売りや職人たちを、茶目っ気たっぷりの子どもの姿で描いた、藤田晩年の代表作の1つです。

生涯にわたり子供を多く描いた藤田。藤田自身には子どもがいませんでしたが、こんな言葉を残しています。「私の画の子供が、私の息子なり娘なりで一番愛したい子供だ。」

 

「小さな職人」その他の作品 >>

 

年々注目が増している藤田嗣治、まずは版画作品から手元におかれてみてはいかがでしょうか。

現品は画廊にてご覧いただけます。価格に関してもお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

藤田嗣治作品一覧はこちら >>

 

 

 

 

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