アートコラム

世界で最も有名な日本人洋画家、技法の謎が徐々に明らかに

2016/02/02

エコール・ド・パリの一人として活躍した藤田嗣治。一般に「パリ派」とも訳されますが、特に彼らにグループとしての主義主張があったわけではありません。第一次世界大戦に前後する時代、1910年代から20年代に異国から芸術家としての成功を夢見て、当時最先端都市であり芸術の都だったパリに移り住んだ画家たちを総称してエコール・ド・パリと呼びます。

絵画に留まらず音楽や文芸や舞台芸術での成功を目指して、おそらく数千とか数万という単位で世界中から芸術家たちが集まっていた時代。そのなかで画家として成功したのがロシア出身のシャガールやポーランド出身のキスリング、ブルガリア出身のパスキン、リトアニア出身のスーチン、イタリア出身のモディリアニ、スペイン出身のピカソたちでした。彼らの特徴は画風が「自己流」だったということ。外国からきた彼らはそのオリジナリティで勝負したのです。これに呼応してユトリロやルソー、ボーシャンなどフランス人でも正統な美術教育を受けた職業画家ではなく、ほかの仕事を持ちながら独自の画風を形成した素朴派と呼ばれる画家もエコール・ド・パリと呼ぶのは、「自己流」という共通点があるからです。

実は当時、日本からは洋画家を中心に数百人規模の画家や画家のタマゴたちが渡仏していましたが、藤田の成功は突出していました。なぜ藤田だけがこれほどの成功をおさめることができたのかは、簡単にいえばオリジナリティがあったから。日本画で使う面相筆を用いた独特の細い線描と透き通るような肌がその特徴でした。近年の研究で白い肌を表現するために下地にシッカロールを混ぜていたことが分かりましたが、これなどは他のどんな画家も、日本人でさえ思いもつかない藤田独自の技法だったといえるでしょう。ここにきて藤田の評価が高まるとともに、フランスでも藤田という画家自身について、そしてその独自の技法についての研究が、多くの研究者によって進んできています。今後もさらなる研究によって、徐々に明らかにされていくことでしょう。

 

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藤田嗣治「横たわるブロンドの裸婦」

 

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